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ジョセフ・E・スティグリッツ(楡井浩一=訳)「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」(徳間書店、2006.11)を図書館で借りて読んだ。筆者は、2001年「情報の経済学」への貢献でノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学の教授である。グローバル化やグローバリズムという言葉が、世の中に氾濫しているが、改めてグローバリズムとは何かを理解するために読んだものである。もともと経済学の領域には土地勘がないことから、この本の読破には時間がかかった。通常、岩波新書クラスであれば、だいたい1ページ~1.5ページ/1分で読める。したがって、一冊200ページ程度であるので、読了に3時間程度すなわち通勤他の読書時間で3日程度で読める。ところが、この本は、平均して2ページ/3分程度のペースでしか読めなかった。内容が深いことに加え、文章に触発されて考えさせられることが多かったことも影響している。これは、悪い意味でなく、とてもいい本であることの証左である。筆者は執筆時点で、既に、アメリカの住宅バブルがはじけて経済成長が維持できない懸念を示している。その上で、アメリカと世界銀行・IMFの新興国に対する誤った経済政策を、堂々と指摘している。説得力は強力である。グローバル化とは、商品・サービス・資本・労働のフローが増加することにより世界各国の経済がさらに緊密になることを言う。グローバル化は、「明るい未来=世界中の人々が生活向上の恩恵に浴す」ことをもたらすはずであったが、現実は、大きな利益にありつく人々が誕生する一方で、更なる生活水準の低下に苦しむ人々が存在するという、格差が増大する問題を生み出した。この本は、グローバル化自体が問題なのではなく、グローバル化の進め方が問題であったことを示そうとしている。グローバル化の形は、先進国の利益を増大させる形が採用されてきたし、世銀・IMFを通して途上国に押し付けられた経済システム(アメリカモデル)が、国情を無視して大きな損害を与えてきた。加えて、先進国内にも、アウトソーシングの脅威と非熟練労働者の賃金低下という不平等を拡大させもする。これらを正すには、民主的でグローバルな協調行動が必要不可欠というのが、簡単に言うと本書の要旨である。これらを踏まえ、日本でのグローバル化を考えてみる。日本では、米英に見られるようなコールセンターや会計業務、システムエンジニア等のサービス産業の海外アウトソーシングという形での労働の海外移転は、日本語という障壁のため顕著ではない。また、コスト競争力確保を目的とした製造業の労働者の海外移転も、高付加価値製品の国内確保の考え方からそう顕著でもない。実際、リーマンショックまでは製造業の輸出は絶好調だったはずだ。日本の問題は、つまるところ、派遣法改正に伴う非正規雇用者の増大による、サービス業での非熟練労働者の低賃金固定化(労働者の供給が多ければ賃金は下がる)と製造業での雇用調整の容易化である。一見、グローバル化による非熟練労働者の賃金低下のように見えるが、実際は、グローバル化の問題の本質とは異なると思われる。今の製造業企業の問題は、単に、世界的な総需要の大幅な減少と比較的サブプライムローン問題に無縁なための円高であり、設備の先行投資との需給ギャップの調整問題であるにすぎず、グローバル化とはの関係ないものと判断できる。と、こんなことを読みながら考えていました。いい本です。(評価:星四つ ★★★★☆)世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」2002「人間が幸福になる経済とは何か」2003
2009.01.30
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ブライアン・トレーシー(金森重樹=監訳+大須賀典子=訳)「大富豪になる人の小さな習慣術」(徳間書店、2005.11)を図書館で借りて読んだ。著者は、米国で最も有名なコンサルタントで叩き上げの大富豪らしい。本の題名はベタだが、内容は意外にもいったって真面目でまともな本である。一般的に、邦書でなく洋書の翻訳本は、翻訳する手間とある程度売れることを見通す必要があるので、良書のスクリーニングをくぐり易い。そういったことで、比較的良書が多いのであろう。この本も、この例に漏れていない。大金持ちになれた秘訣は、小さな良い事を習慣づけて、日々実行していったからであり、その習慣を紹介している。その前に、成功の定義をしており、それは「成功とは、人生を自分の思いどおりに生き、自分の好きなことをして、自分が賞賛と敬意をいだく人たちをそばにおく力である」らしい。少しピンとこないが、健康+好きなことをする+経済的な自立+理想的な人間関係が成功の要素ということのようだ。では、特に、大富豪になるための習慣とは何か。色々と本の各所に格言が散らばっているので、自分が気に入った所のみをピックアップすると、「自分が好きだ!」と何度も口にする・日々の目標を設定する・自分から主導権を取りに行く・「これから100万ドル(1億円)以上貯める」と今すぐ決断する かな。もちろんこれだけでうまくいくわけではないが、何せ目標を定めてひたすら頑張ることのようだ。頑張る行動が、習慣になり成功に導いてくれる。 思考は目的につながる。目的は行動へと発展する。行動は習慣を形成する。 習慣は性格を固める。そして、性格が人の運命を決める -トライオン・エドワーズまあ、いまどきこの物があふれた現代社会において、「大金持ちになりたい」なんて夢を持つ日本人は少ないと思う。が、それ以上に、「大金持ちになろうと本気で頑張る人」はもっとはるかに少ないんじゃあないかと思う。その点からいえば、大金持ちレースの競争は、競争率も低く、比較的楽のようにも思える。そんな気持ちにさせてくれる本であった。なお、再度言うが、この本に胡散臭いところはない。良書である。(評価:星四つ ★★★★☆)大富豪になる人の小さな習慣術
2009.01.29
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村上正邦+平野貞夫+筆坂秀世「自民党はなぜ潰れないのか 激動する政治の読み方」〈幻冬舎新書066〉(幻冬舎、2007.11)を図書館で借りて読んだ。国際関係や政治は、過去の出来事や登場人物を記憶しておくことが必要であり、この分野は不得手であるのために、あえて読んでみたものである。読後感として、思ったよりも面白い本であった。特に、平成5年から平成6年にかけての、初の非自民細川連立政権誕生秘話や、自社さ連立村山政権の自民党政権奪還秘話など、本当に迫力のある内容であった。実際に起こったことに違いないのだが、ここまで内情を活字にしてもいいのと思えるほどである。その他、既に政界を引退した3人であるから言えることであろうが、一般に受けが良い、小泉純一郎・加藤紘一・塩川正十郎・田中真紀子・小池百合子・河野一郎等ぼろくそに具体例を挙げてけなしている。逆に、一般にあまり評判の良くない、小沢一郎・森喜朗・鈴木宗男等は、良い点を具体的に挙げて褒めている。なんか不思議なものだ。ただ、書名の「自民党はなぜ潰れないのか」には、あまり意味はありません。本の内容とはほとんど関連はない。恐らく、「見えない裏で、政権維持と政権奪還に蠢く優秀な政治家も以前はいたから」といったことを言いたいんだと思う。しかしながら、つくづく先日のアメリカの第44代オバマ大統領(47歳)の就任式を見て、日本の政界においても「出でよ、彗星のごとき救世主」と心の底から思ってしまう。いい本でした。読んで損はありません (評価:星四つ ★★★★☆)自民党はなぜ潰れないのか
2009.01.22
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本田直之(ほんだ・なおゆき)「仕事に役に立ち、継続的なリターンを得る レバレッジ勉強法」(大和書房、2007.10)を図書館で借りて読んだ。レバレッジシリーズで有名な著者の著作である。レバレッジ(=梃子〈てこ〉)という言葉を初めて聞いたのは、多分10年位前であろうか。仕事に関連した、とある官庁の報告書の中に、限られた対策でより大きな効果を得るという意味の文脈でレバレッジを利かす(あるいは、かける)という表現があり、辞書を調べて意味〈てこの原理を応用するという意味〉を知った覚えがある。とても、斬新でスマートな表現であったと感心した。今回の本は、ビジネスマンが新たな勉強を始めるにあたって、どのような勉強法が”よりすくない投資でより大きな成果を得る”ことができるか記載している。すなわち、ビジネスマンの限られた時間・お金・投入労力で、新たな勉強の結果の最大限の効果を得る方法を具体的に示した指南書である。こういった本にしては、割と嫌味や自慢話も少なく、ストレスなしに読める。また、その勉強法もいたってまともであり、正攻法で的を得た指摘も多い。短時間で読めるし、結構気に入った本であった。他のレバレッジシリーズの本も読んでみようと思う。(評価:星四つ ★★★★☆)レバレッジ勉強法・関連文献 大人のための勉強法
2009.01.21
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リチャード・ドーキンス(日高敏隆+岸由二+羽田節子+垂水雄二=訳)「利己的な遺伝子〈増補新装版〉」(紀伊國屋書店、2006.5)を図書館で借りて読んだ。文句なく、めちゃくちゃ面白い本で、とても惹き込まれた。今年2009年は、進化論のチャールズ・ダーウィン生誕200年の年であるとともに、著書「種の起源」発刊150年の年に当たる。その因果もあり、書名は知っていたが改めて読んだものである。この増補新装版は第3版に相当し、第1版が1976年に刊行され、第2版が1989年に追記された後、初版30周年記念記念版として刊行された本である。したがって、大部分は30年以上前に執筆されたものであるが、その内容は現在でも燦然と輝いている。主張の核心は、まとめると「生物は自然淘汰によって進化してきた。進化してきたものは、絶滅せずに生き残ってきたのだから、なんであれ利己的なはずだ。淘汰の、したがって自己利益の基本単位は、種でも、集団でも、個体でもなく、遺伝子である。すなわち、遺伝子の目的が生きのびることという意味において、遺伝子は利己的と言える。」である。うまく表現できないが、これは衝撃的である。例えば、「生物自体は、我々人間も含め、遺伝子が住むための生存機械である」と言える。こんな短い言葉で説明すると、なんだか反発を受けそうだが、この本を読めば、全く専門的知識がなくとも筆者の意図が、十分に楽しめて納得することがわかるであろう。たとえば、自然淘汰は遺伝子単位であることを念頭におけば、”なぜ老いて死ぬのか”や”男女(雄雌)の性別はなぜあるのか”、”なぜ、親は子の世話をするのか”、”哺乳類や鳥類はなぜ子育てをするのか”、”どの種をとっても、なぜ出生数が調整されているのか”、”働きアリや働きバチはなぜひたすら女王の子孫のために働くのか”などの疑問でもさえ説明がつく。答えは全て、次世代に遺伝子をより多く残すことから説明されるのだが、詳細は本書を読んでもらうことを期待する。遺伝子淘汰に加えて、「進化的に安定な戦略」(ゲーム理論でいうナッシュ均衡と同じ)を生物がとることを念頭におけば、”自然界では、同種殺しや共食いはみられないのはなぜか”・”男女比はなぜ50:50なのか”・”動物界の繁殖システム、一夫一婦制・乱婚・ハーレム制はなぜあるのか”も興味のある説明である。これらの答えも本書を読んでね。いずれにせよ、ページをめくるたびに、一つ一つの事柄の説明のたびに、惹き込まれる。少なくとも、この2-3年間で読んだ本の中では、最高傑作の面白さである。ほとんどの人に読まれるべき本であるし、また読むことができると思う。(評価:★★★★★)〈参考文献〉・グールド「パンダの親指」・ドーキンス「延長された表現型」「盲目の時計職人」利己的な遺伝子 増補新装版〈既読参考〉・ナッシュは何を見たか・見えざる敵ウィルス・生物と無生物の間
2009.01.20
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和田秀樹(わだ・ひでき)「大人のための勉強法」〈PHP新書112〉(PHP研究所、2000.5)を図書館で借りて読んだ。「バカとは何か」と同じ筆者であり、前回懲りたのにもかかわらず表題に魅かれ借りてしまったものである。大人(正確には社会人であろう)になって勉強したくなる気持ちは分かる。大学生で受験勉強から解放され遊び呆けて就職し、最初は何もわからずただ見よう見まねで覚えるだけで時間が過ぎ、ようやく仕事に慣れると俄然仕事が面白くなり時間が過ぎ、そうこうしていると役職になり部下や後輩のマネジメントも違った面で面白くなり、出世して更に仕事に責任が加わり会社の経営一翼を担っている気がして更に面白くなる。こういった企業人で過ごすうち、決して、会社に大きな不満がある訳でも、何か別の野心がある訳でもないが、ふと、将来の行く末を考えながら、こう思うはずである。「そういえば、ずっと会社のために働いてきたなぁ。ここらでちょとは自分のために投資してもいいんじゃあないかな」ってね。ここで、もう一歩踏み出す何か(同僚以外の知人の背中を押してくれるアドバイスなど)があれば、何らかの大人のための勉強することになるはずである。自分もそうであったし、実際その後の影響や波及効果で、結果として読書が習慣化したわけである。とはいえ、この本の内容がいわゆる経営学の組織行動でいう「中年の危機」を扱ったものではない。あくまで、受験勉強の延長線上にある、大人が改めて勉強する際のノウハウを、例によって筆者の独りよがりの傲慢な思い込みで、いいたいほうだい書きなぐった本である。ただし、唯一、筆者と同意することは、「大人のほうから勉強を始めてほしい」という主張である。大人になると、仕事に関係しない勉強は誰からも強制されることはない。すなわち、大人の勉強は自発的で自己管理でしかない。それでもやるからには、相当の覚悟と忍耐力(と家族の協力)が必要であり、自分自身を磨き高めてゆくことに他ならないからである。こういった「感覚」は、体感したものにしか分からないと思うが、少なくともそういった努力をする人たちを応援したい気持ちになることは確かである。久々に、3-4年前の気持ちを思い出させてくれた本書に、内容は別として多少感謝している。また、大人も「なるべく早く、勉強するこことに目覚めてほしい」と心の底から願っている。(評価:星二つ ★★☆☆☆)大人のための勉強法
2009.01.19
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田中利幸「空の戦争史」〈講談社現代新書1945〉(講談社、2008.6)を図書館で借りて読んだ。以前、「三千年の海戦史」を読んで、とても面白かったので海戦の次は空戦ということで借りたものである。実は内容は、空の戦いや国家の空軍戦略や戦闘機・武器の性能のたぐいの話では全くなく、最初から最後まで空爆(爆発物を使う空からの攻撃)のうち、「非戦闘員である一般市民の殺傷を目的とした無差別爆撃が、なぜ非人道的と考えられながら、ごく普通の戦闘方法として用いられるようになったのか」に徹底して焦点が当てられている。確かに昔から、海戦や陸戦は主に戦闘員同士の戦いであるのにもかかわらず、なぜ、無差別爆撃という非戦闘員の殺傷を目的とした戦闘行為が許されているのか不思議であった。この疑問が氷解しただけでもとても意味のある本であった。空爆の歴史は、1783年11月21日にパリ郊外で人間が乗った気球が歴史上初めて空を飛んで以降、1849年のオーストリア・イタリア戦争(第一次イタリア独立戦争)において、オーストリア軍が考案した風船爆弾(ショックヒューズ付き爆薬を取り付けた小型風船)がベニス攻撃に使用されたことで始まる。その後、1903年12月17日に米国オハイオ州のライト兄弟が最初の飛行機浮揚に成功して以降、第一次世界大戦中の1914年8月30日のドイツ軍機によるパリ攻撃(鉄道駅を狙って投下した爆弾がそれ、市民の女性一人が死亡)が、本格的な空爆の始まりである。19世紀末には、空からの攻撃や空爆が、近い将来の戦争において主要な戦術の一つになるであろうことは予測されていた。と同時に、この戦術を採用するか否かによって戦場での優劣がはっきりと分かれ、勝敗の決着がつくまでの戦闘期間がきわめて短くなり、結果的に戦闘での死傷者数が少なくなるという楽観的見通しもあった。また、爆撃の破壊的影響があまりにも大きいために戦争はそう簡単には起きなくなり、平和な世界になると予測する者もあった。しかしながら、現実はそうはならなかった。当初は、敵国の軍事施設を爆撃目標としていた爆弾が、その周辺に落ち非戦闘員の殺傷につながり、その報復の連鎖で無差別爆撃が容認されていった。その際の空爆の目的は、「敵国人の戦争意欲を挫くこと」であった。第一次世界大戦では、結果として、空爆が敵国市民に多大な恐怖心を与え、そのことによって敵国社会の秩序を乱し、ひいては戦勝に貢献できる可能性があるということが軍の理論として採用された訳である。また、第二次世界大戦においては、この理屈が徐々にエスカレートし、爆撃機の爆弾搭載量向上や殺戮能力の高い高性能焼夷弾も開発され、戦略爆撃(敵国の生産力を労働力も含めて減退させる爆撃)と呼ばれた、非戦闘員の攻撃対象とした無差別爆撃さえ一般化されていった。かくして第二次世界大戦中に、1945年の春までにはドイツ131の都市が、英米軍それぞれ100万トンの爆弾による空襲を受け、60の主要都市はすべて破壊され、60万人の死亡者と350万戸の全壊家屋数に至った。また、日本においては、非白人に対する米国の人種差別もあり、当初から都市の焦土化を狙った容赦のない無差別攻撃であった。1945年3月10日零時8分から開始された午前2時半までの東京での絨毯爆撃で一般市民9万7千人が死亡したことをはじめ、米軍は日本本土に16万8千トンの爆弾・焼夷弾を、全国100あまりの都市に投下し、空爆だけで56万人の死亡者に至ったわけである。なんて悲しい不合理な事実だろう。静かな怒りを感じる。名著と思います。ぜひ、一読すべき本です。 (星五つ:★★★★★)空の戦争史
2009.01.17
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坂東眞理子(ばんどう・まりこ)「女性の品格 装いから生き方まで」〈PHP新書418〉(PHP研究所、2006.10)をブックオフで買って読んだ。本書は、藤原正彦「国家の品格」(新潮新書、2005.11)に続く”品格物”の2007年のベストセラーであるが、内容が薄く浅すぎる。藤原教授の広い知識と深い洞察とは比べ物にならない。何でこんな本が売れてしまったのか不思議な感じがする。ブックオフ105円均一で十分だ。具体的な品格のある振る舞い方として、「長い人間関係を大切にする」「花の名前を知っている」「感謝はすぐに表わし記録する」「欲望を肯定し欲望を達成するべくチャレンジすることを奨励するのではなく、自分でコントロールする」について、個人的に気に入った箇所はある。でもねぇ~・・・品格を気にする方はどうぞ内容より読み易いことに重きを置く方はどうぞ広く深い内容に重きを置く方は「国家の品格」の方へ(星二つ:★★☆☆☆)女性の品格
2009.01.15
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横田増生(よこた・ますお)「潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影 躍進するIT企業・階層化する労働現場」(情報センター出版局、2005.4)を図書館で借りて読んだ。アマゾンを利用する人は多いと思う。自分もそうだ。他のWEB書店と大きく違う点は、そのレコメンデーション機能の優秀さであろう。これこそ、ONE-TO-ONEマーケティングに他ならない。ただいくら優れた機能を持っていても、自分の書籍の入手方法(特定の手に入れたいと思った書籍はアマゾンか楽天Books、特定のジャンルでブラブラと眺めて気になる本があれば買うのはジュンク堂あるいはブックオフ、ほとんど全てのジャンルでブラブラと眺めて気になる本があれば借りるのが図書館)は、そのスタイル自身が自分にフィットしていると思うので多分これからも変わらないだろう。さて、筆者はフリーのジャーナリストで、本書は2003.11から2004.3までの半年間(2か月毎の契約)、時給900円のアルバイトとして千葉県市川塩浜の日通アマゾン商品センター(物流センター)で、ピッキング作業(在庫から注文の本を探して抜き出す作業)につき、この体験を潜入ルポとしてまとめたものである。まあ、潜入ルポといってもアルバイトでアマゾン・ジャパンの実態を知りうる範囲は限られているし、単にIT企業をはじめとするサービス産業が、熟練の要らない使い捨てのアルバイトを低賃金で働かせてる現場の悲惨さを「潜入」と称して報告したとしても、今更「それで何か」・「みんな知ってるよ」って感じではある。別に、「潜入ルポ サイゼリア」でも「潜入ルポ ユニクロ」でも「潜入ルポ 山田電機」でも、みんなおんなじ感じになってるんだろうなって気はする。とは言うものの、ひねりもどんでん返しもなく淡々と読みやすいことは確かである。でも、得られることは少ないなぁ~。(星三つ:★★★☆☆)アマゾン・ドット・コムの光と影
2009.01.15
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倉田真由美(くらた・まゆみ)「だめんず症候群」〈扶桑社新書001〉(扶桑社、2007.3)を図書館で借りて読んだ。いつもなら読まないジャンルであるが、新年初の図書館ということもあり、余分に借りた一冊である。”だめんず”とは「だめな男」の意味であり、”だめんず症候群”とは「どうしてもだめな男とつきあってしまう女の恋愛症状」を意味する。「週刊SPA!」に連載中の「だめんず・うぉ~か~」の書き下ろしエッセーと言ったところである。内容は・・・、特にない。ストーカーや暴力男、借金男、浮気男など、本当にダメな男の話であり、読んでこれといって何かを得られるわけではない。この本のとりえといったら、扶桑社新書の栄えあるNO.001の創刊であることと、1時間半もあれば読み切れることかな・・・普通の人にはおすすめできません(星二つ:★★☆☆☆)だめんず症候群(シンドローム)
2009.01.13
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宋文洲(そう・ぶんしゅう)「やっぱり変だよ 日本の営業」(日経BP出版センター、2002.4)をブックオフで買って読んだ。少し前にはやった本だが、読んでなかったので購入した。 筆者は、中国山東省出身で1985年に北海道大学大学院に国費留学の後、IT企業の「ソフトブレーン」を立ち上げた創設者である。日本企業の営業部門の現場は、精神論が支配的で戦略性がなく、更にはIT活用が著しく劣っていると指摘していることが本書の趣旨である。 正直そのとおりだと直感的には思うが、私は営業部門でないので確信はない。でも、多分どこの会社でも、長く勤務しているとその会社や業界の常識が染み付いてしまい、白紙の新鮮な視点から眺めると、やっぱり変だよ・どこか変だよ・おかしいよ、ってことになることは間違いないと思う。 筆者は、くどいほど「私は日本文化を理解している」・「この苦言を愉快に思わない読者も聞いてほしい」と低姿勢で本書の苦言を表現している。私は、まったく気にならなかったが、むしろ、中国人が日本で成功することを快く思わない人々と、筆者との数々の衝突や軋轢が、これまであったんだろうなと想像された。 この本で最も気に入った個所は、「経営や営業にとっての情報とは、何かの目的を達成するために事前につかんでおけば有利に事を進めることができる兆候です。目的があって有利に進めようとするからこそ、必要な情報が見えてくるのです。」である。結構、名言でしょ。 まあ、いまさら買って読むほどじゃあないかな。(星三つ:★★★☆☆)やっぱり変だよ日本の営業
2009.01.11
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湯浅誠(ゆあさ・まこと)「反貧困 -すべり台社会からの脱出」〈岩波新書1124〉(岩波書店、2008.4)を買って読んだ。予想以上に名作であった。 筆者は、東京大学法学政治学研究科博士課程卒の超エリートであるが、路上生活者のボランティア支援活動をきっかけに、日本の貧困問題に取り組みはじめた少し変りものである。しかしながらこの本の内容は、よくあるテレビや出版社の取材活動を取りまとめた本にありがちな、悲惨に見える個々のケース事例のお涙ちょうだいの単なる紹介の羅列とは一線を画している。また、よくある大学教授やエコノミストの研究成果をとりまとめた本にありがちな、実例に基づかない難解な単なる統計分析の独りよがりな主張とも一線を画している。すなわち、筆者が直接直面している相談事例を適度にちりばめつつ、統計データも活用した分析やその論理的な結論・主張したいことを述べ、圧倒的な説得力がある。この書物こそ、難しいことを易しく・易しいことを深く・深いことをおもしろく記述していると言えるのではないであろうか。 一度社会のセーフティネットからこぼれおちると、とめどなく貧困に向かって落ちてゆく社会の現状をすべり台社会と表現している。印象的には、すべり台というよりも蟻地獄か落とし穴のような気もするが・・・。とはいえ、一度読むと、貧困問題が、単に「だって、自分には関係がないもん」「結局、自己責任でしょ」「そんな時間があったらいい仕事探して、貯金しておけばいいのに」なんていう言葉だけでは終わらない現実として、既にこの日本に深く根をおろしており、にもかかわらず、あからさまには見えない状態に置かれていることがよくわかる。 具体的には、既に日本で、非正規労働者は1726万人(2007年)・年収200万円以下の給与所得者が1022万人(2006年)・生活保護受給世帯は107万世帯151万人(2006年)に達する。この現実は、普通に生活していれば気付かないが、社会に貧乏な状態にある人々がはびこっていることの証左である。 少なくとも、日本国憲法で示されている「健康で文化的な生活」を営めるための、社会としての最低限の底上げ(歯止めかもしれない)は必要なことは事実であろう。江戸時代の士農工商のような、下には下がいるので我慢しろとはならないはずである。この点について言えば、筆者の主張のとおり間違いない。 しかしながら、「本当に社会問題で喫緊に取り組まねばならない課題」なのか、「実は、大したことはない問題」なのか判断付きかねる。というのも、筆者の主張の根幹には、「社会が悪いのであって、個人には全く責任がない」「貧困の存在を認めない政治家や官庁が悪い」といった、多分に「政治的におい」が漂い過ぎていることが要因であるように思う。私の思いとしては、貧困の存在は認める・国の責任として貧困は解消せねばならない・ただし私は反貧困の社会活動には与しない、といったスタンスかな。 さすが岩波新書だけあります。みなさん読むべきです。(星五つ:★★★★★)反貧困
2009.01.10
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植田正也「電通 鬼十則」(日新報道、2001.10)をブックオフで買って読んだ。電通の鬼十則は、知られているようで詳しくは知らない・知らないようで広く知られている電通における十の規則である。電通の四代目社長で、広告の鬼と言われ、電通を巨大広告会社の礎を作った中興の祖である吉田秀雄社長が、自ら社員に広告の鬼となれと叱咤激励するため昭和28年(1953年)8月社員のために書き上げたものが、電通「鬼十則」である。従って、社則というよりも社員個人の行動のバックボーン・原理原則となる心構えに近い。この「十則」が本当にすごい。50年以上時が経ても全く色褪せていない。次のとおり。その一、仕事は自ら創る可きで 与えられる可きでないその二、仕事とは 先手先手と働き掛けて行くことで受け身でやるものではないその三、大きな仕事に取り組め 小さな仕事は己を小さくするその四、難しい仕事を狙え そして之を成し遂げる所に進歩があるその五、取り組んだら放すな 殺されても放すな 目的完遂まではその六、周囲を引き摺り回せ 引き摺るのと引き摺られるのとでは永い間に 天と地のひらきが出来るその七、計画を持て 長期の計画を持って居れば忍耐と工夫とそして正しい 努力と希望が生れるその八、自信を持て 自信がないから君の仕事には迫力も粘りもそして厚みすらがないその九、頭は常に全廻転 八方に気を配って一分の隙もあってはならぬ サービスとはそのようなものだその十、摩擦を怖れるな 摩擦は進歩の母 積極の肥料だ でないと君は 卑屈未練になるすべての言葉に魂がこもっている気がする。ずっと前にある企業の工場の入口に大きなスローガンの看板に「打ち込め 魂 仕事の上に」とあった以来の感動ものである。また、こういった社員則を持っている電通マンに対し、たとえその個人が本当はどのような人物であれ、底知れぬ敬意と同時に怖さを感じてしまう。なお、筆者自身は読売広告出身のフリーランサーで、書籍の内容はおべんちゃらと筆者の知識自慢に近く、内容も浅い上に厚みがなく、どおってことない。むしろこの本は、「鬼十則」を深く読み取る機会を与えてくれること自体に価値がある。(星三つ:★★★☆☆)電通「鬼十則」
2009.01.10
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K.ブランチャード=S.ジョンソン(小林薫=訳)「1分間マネジャー 何を示し、どう褒め、どう叱るか!」(ダイヤモンド社、1983.2)をブックオフで買って読んだ。世界の成功哲学50の名著に選ばれている、優れたマネジメントの方法論として古典に属する本であるが、短い文章であり短時間で読める。 1分間マネジメント(1;一分間で目標を設定できること、2;一分間で褒めたたえること、3;一分間で叱ること)を行うマネジャーを「1分間マネジャー」と呼んでいる。そしてこの三つが、マネジメントとして必要かつ十分な優れた手法であるとしている。これは丁度、山本五十六元帥の座右の銘に似ている。 して見せて、言って聞かせて、させて見て、ほめてやらねば、人は動かぬ 山本五十六元帥:座右の銘 ただし、この本で示された25年前にもてはやされたマネジメント手法も、現代のマネジメントスタイルから見ると少々色褪せている。というより、既に意識的にしないまでも、通常の成果主義の報酬体系のもとでは目標設定は当たり前であり、褒める叱るはコミュニケーション重視のマネジメントとして当たり前すぎるからである。 と言うことで、読後感は、あまり感心にも驚きにも乏しかったということである。ただ、本書の中で示される1分間マネジャーの座右の銘は、秀逸である。例えば、・気分の良い部下は、よい成果を生む・目標が行動を促し、成果が行動を持続させる ただ、全体としてちょっともう少し感が残る。(星二つ:★★☆☆☆)1分間マネジャー
2009.01.07
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アルビン・トフラー=ハイジ・トフラー(山岡洋一=訳)「富の未来 (下)」(講談社、2006.6)を図書館で借りて読んだ。先月、上巻を読み面白そうであったので下巻も読んだものである。 本書が発刊されたのは2年以上前で、サブプライムローン問題もリーマンショックも顕在化していない時であるが、本書では既に「世界中の多数の人たちがアメリカの世界支配への懸念を強め、往々にして怒りを募らせている・・・アメリカ国内の制度は危機にあり、第二の波の制度、工業時代の制度が崩壊しかけている」とも明確に指摘している。 本書の中心的テーマは、次の通り。”工業化の第二の波では経済中心の考え方であったが、第三の知識の重要性が高まる。その結果、経済は大きなシステムの一部という地位に戻り、文化・宗教・倫理なども表舞台に登場する。いま起こっている富の革命が技術の動きのように見えるのは、登場した技術が極端に目立つだけで、第三の波の革命も文明全体にわたる変化である。我々は、この波に直面している” 本書には第三の波に関する世界中の知識革命の兆候や実事例が、多数紹介されている。しかしながら、個々の事例を挙げこれに関するコメントをいくら行っても、どこかまとまりを欠き・論理的でない印象が残る。おそらく、筆者が、本当の意味の経済学者や経営学者でないせいかもしれない。この点で、全体として本書の指摘や言わんとすることが、どこかぼんやりして切れ味がないことが非常に残念である。 その意味で、本書は良書ではない。(評価:星三つ:★★★☆☆)富の未来(下)
2009.01.04
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