misty247

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2014.05.18
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 運転していたら、日没の時間が近づいてきました。走っている道は、山間と市街地を繰り返し抜けていく郊外の道で、西側には海がありました。道は海岸に寄ったり離れたりしています。空は夕焼けで染まり始めていました。
 どこか海岸近くに車を止めて、夕焼けをみよう。

 そのあたりは、和歌山市の南、国道42号線。
 山間を抜ける道からの眺めは、海と岬だけの整理された夕景になります。そういう眺めが特等席かなと思って、よい場所を探しながら車を走らせていました。
 しかし42号線は流れのある道。ここはどうかなと迷いながらだと、流れに掴まってなかなか止まれません。駐車しておける場所でもないといけません。ちょっと無理だなと見送っているうちに道は海から離れてしまい、さらには市街地に入ってしまいました。
 夕景もまた釣瓶落とし。
 特等席にこだわるのはやめて、海が見えた交差点を西に曲がって、人気のない海岸沿いの道に入り、適当なところで車をとめました。
 そこは海南市の名高というところでした。

 目の前の海は、四方を埋め立てに囲まれていました。しかも小型船舶の係留に使用されているようで、雑他なことこの上ない眺めでした。遠方には高圧線が横切り、水平線は埋め立て地に建つ工場に隠れていました。海と岬だけの整理された夕景、当初イメージした特等席とは大違い。

 夕景に染まりゆく漁港を歩きまわり、満足いくひとときを楽しみました。

 あとで調べて知りました。名高の地から眺める海を、昔は名高の浦と呼び、万葉集に四首詠まれていることを。そのうちの一首。

 紫の 名高の浦の 靡き藻の 心は妹に 寄りにしものを (巻11-2780)

 (紫は名高の枕詞。袈裟同様、紫は名高い方の服の色、という繋がり)
 実際の景色は、古の歌の描く景色ともまた大違い。
 でも、どこかで切なさが呼応しているようで、これはこれでいいかなと写真を眺めながら思いました。

20140518名高の浦





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Last updated  2014.05.18 22:31:12
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