ギルガメッシュ夫妻には、皇太子のラガシュと、隣国アッシリア出身の大臣ハルゴンに嫁いだ娘ライラがいましたが、ギルガメッシュが 65 歳になった時、二人揃って内密の話があるからと国王である父に会いに来たのです。
しかも、母のニン・ウルク王妃には絶対知らせないようにとの条件を付けて。
ギルガメッシュは不審に思いながら二人に会うと、ラガシュの妃ミラの侍女と、ライラの侍女が母に呼ばれて手伝いに行ったきり行方不明になってしまったと言うのです。
ギルガメッシュは、ミラとライラの侍女は美女揃いで、誘拐されたに違いないから大々的に捜索しようと答えると、二人は彼を制して実は侍女の失踪は今回が初めてではなく、5年前から冬至の祭りの時に一人ずつ行方不明になっており、何れも最後の足取りは王妃の宮殿で途絶えていたこと、今回は二人同時だったため心配になって王の耳に入れることになったことを話しました。
今まで全く彼の耳には入っていなかったので訝ると、王妃が、行方不明になった娘たちの家族に金貨と高価な宝石を贈って黙らせたと言うのです。
それは確かに二人の言うように怪しいと思ったギルガメッシュは、二人にまた母から侍女を所望されたら、とにかく先に報告しろと命じて帰しました。
ギルガメッシュは、悪魔を崇拝する者たちが若者の生き血をすすることによって不老不死を保つとの迷信を持っていることを知っていたため、ニン・ウルクにそれとなくたずねてみましたが、彼女は『迷信を信じたりはしませんわ。』と素っ気無く答えたため、単なる偶然かと思って、王宮内の警備の強化を命じました。
しかし、ラガシュとライラの言うことにも根拠があり、怪しいと思ったため、近衛隊の中の選り抜きの特殊部隊の隊員に命じ、王妃ニン・ウルクとライラ、ミラの3人の行動を監視させました。
程なく特殊部隊から、王妃の奇妙な行動に関する情報が報告されました。
彼女は、毎月満月の夜の翌日、何か怪しげな薬を大金をはたいて買い求めているとの情報でした。
彼女は、丁度満月が生理にあたるため、その前後は一人で王妃の宮殿にこもっているのが習慣だったのです。
しかも、その薬を持ち込んだのは出入りの商人ではなくイュンから来ているとのことだったので、ギルガメッシュは妃に直接確かめました。
すると彼女は悪びれることなく、夫のために自分は若返りの秘薬を買い求めているのだと答えました。
ギルガメッシュにしてみれば妃は彼女ただ一人であり、精力旺盛だったため生理の時以外は毎晩のように彼女を抱いていて、どうもそれらしい薬を飲んだ後の妃がとても淫乱に魅力的になることに気付いていました。
だから、若返りよりも媚薬のようなものかとその時は深く考えず、それ以上の詮索はしませんでした。
その後特に目立った動きはなかったため、たんなる偶然かと思い始めた翌年の夏至近くになって、今度は王妃が密かに身よりの無い少女を集めているとの情報が入ってきました。
そして夏至の前夜、7人の少女が彼女の宮殿に呼ばれ、そのまま消息を絶ったと言うのです。
流石に不気味なものを感じ始めたギルガメッシュは、ラガシュとライラに、今までの調査結果を知らせ、母の行動に十分注意するように命じました。
ところが、ライラと義姉のミラは、同じ歳で仲が良く、お互いの子供3人も仲良かったので二人で示し合わせて、今度母のニン・ウルクから侍女を所望されたら、二人揃って侍女に変装して行ってみましょうと危険な約束をしたのです。
冬至かと思っていたら、秋分の夜に儀式を行うので侍女を一人ずつよこしてもらいたいとニン・ウルクは二人に頼んできました。
二人は夫に告げずに白い肌に染料を塗って褐色に見せかけ、ヒンダス国境付近の出身の侍女と偽ってニン・ウルクの宮殿に入りました。
ギルガメッシュは、予てから秋分も危ないと考えていたため、特殊部隊から侍女が入っていったとの連絡を受け、ラガシュとハルゴンに連絡を取ったところ、ミラとライラが行方不明と聞くや、自ら軍勢を率いて妃の宮殿を急襲しました。
使用人たちは、主人のニン・ウルクから誰も入れるなと言われていたため抵抗しましたが、相手が国王や皇太子、大臣の軍勢と知るや渋々中に入れました。
3人は、神殿の奥の隠し部屋に突入すると、あっと叫び声を上げました。
そこには、ライラとミラだけでなく十数人の少女が裸で横たわっており、その中の何人かは首から血を流していたのです。
そして、ニン・ウルクは、なんと娘のライラの首から血をすすっていました。
ギルガメッシュは、ラガシュとハルゴンにミラとライラの容態を確かめさせましたが、二人を含めて全員麻薬を飲まされたのかほとんど意識のない状態ながら、首を傷つけられていたライラ他3人も、発見が早かったので命には別状がなさそうでした。
画像は、3か月が過ぎて、元気いっぱい家中走り回っているカメ一郎とカメ四郎です。
あるサヴァン症候群の男のお話 124 May 23, 2023
あるサヴァン症候群の男のお話 121 Apr 16, 2023
あるサヴァン症候群の男のお話 120 Apr 14, 2023
Calendar
Comments