ツートップ戦略が今夏の販売戦略上、非常に大きな影響をもたらしたことは確かだ。6月18日に開催されたNTTドコモの株主総会で、Xperia Aは発売後約1カ月で、累計販売台数がおよそ64万台に、一方、GALAXY S4も約32万台に達したと発表した。その後、両機種はそれぞれ約80万台、40万台を超えたと報道されており、ツートップに指名された2機種の販売が大きく伸びていることが分かる。
しかしその一方で、電気通信事業者協会(TCA)が発表した携帯電話事業者別純増数を見ると、夏商戦が本格化した6月はソフトバンクモバイルが24万8100、auが23万2200の純増を記録する一方で、NTTドコモの純増数は5900のマイナスとなっている。同月の携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の利用者数を見ても、KDDIが8万5300、ソフトバンクモバイルが5万9900の増加であるのに対し、NTTドコモはなんと14万6900のマイナスと、流出傾向に歯止めはかかっていない。
6月の加入者数推移が公表され、従来と変わらず、NTTドコモが他社にユーザーを奪われている図式が明らかになったことから、「NTTドコモのツートップ戦略は失敗だった」との声も聞かれている。しかしここで、忘れてはならないことがある。それは、そもそもツートップ戦略の主たる目的は、純増数やMNPの改善ではないということだ。今回のツートップ戦略は、iPhoneを積極販売し、NTTドコモからユーザーを奪う他社に対抗する目的以上に、自社のフィーチャーフォンユーザーをスマートフォンに移行させる狙いが大きかった。
日本におけるスマートフォンの普及率は現在4~5割といわれている。しかし、ユーザー数の多いNTTドコモのスマートフォン普及率は、各種数字から見るとそれよりもやや低く、3割程度と見られる。それゆえ、フィーチャーフォンユーザーをできるだけ早くスマートフォンユーザーに移行させることが、同社の現在の最重要課題となっているのだ。それによって、ARPU(月間電気通信事業収入)の向上、現在同社が注力している「dマーケット」などスマートフォン向けサービス利用の拡大、さらにはXiへの移行を加速させたいのである。
ツートップ戦略も、スマートフォンの知識が乏しく、選ぶのが難しいフィーチャーフォンユーザーに対して、分かりやすい選択肢を与えて乗り換えを後押しするのが主な狙いだ。どちらかというと"攻め"よりも"守り"の意図が強いものなのである。
実際、Xperia AやGALAXY S4の販売台数推移が非常に好調な状況を見る限り、この戦略には一定の成果があったと評価できる。とはいうものの、ツートップ戦略以降も、他社にユーザーが奪われている現状に変わりはなく、今後"攻め"の戦略が求められることも確かだ。今やMNPを利用すると、「毎月割」「月月割」の適用でiPhone 5の本体が一括で0円、さらに基本料も割り引かれるのが当たり前で、2年間「iPhone 5」を3千数百円で持てるという状況になっている。加えて、数万円単位のキャッシュバックが得られる店舗も少なからずある。
つまり、iPhoneを扱う2社間の競争の激化で、iPhoneに対する店頭での料金施策が一層激しくなり、「iPhoneを買うのが最もお得」という市場環境に陥っている。そうした状況のあおりを受ける形で、NTTドコモのユーザーが、他社のiPhoneに流れているというのが、現状のようだ。
出典: http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20130716/1050816/?n_cid=nbptrn_top_bunya&rt=nocnt
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