トヨタがプリウスなどで採用している「トヨタ・ハイブリッド・システム(THS)」は大型の電池、モーター、電力制御装置で構成しています。エンジンを停止した状態でも電気で走行でき、ガソリンの消費量を大幅に抑えることができます。
特許の無償開放で多くの自動車メーカーがHVに参入すれば、基幹部品である電池やモーターなどの生産数量が増えてコスト低減が進み、普及が加速するとみられています。HVの市場が拡大すれば、先行して手がけてきたトヨタ、そしてグループの部品メーカーの販売も拡大するとの考えが背景にあるとみられます。
世界で環境規制が強化され、HVに再び脚光が集まっていることも後押ししています。電気自動車(EV)などの「排ガスゼロ車」の製造・販売を一定割合で自動車メーカーに求める中国の「NEV規制」、米国の「ZEV規制」が注目されています。
ただ、世界的には自動車メーカー別に燃費の平均値を規制する「CAFE」規制への対応の方が喫緊の課題として認識されています。例えば、世界で最も厳しいとされる欧州では1キロ走行当たりの二酸化炭素(CO 2 )排出量の目標値の平均を 21 年に 15 年比で3割近く引き下げ、平均 95 グラム以下にすることを求めています。ガソリン車の燃費に直すと1リットルあたり 24.4 キロメートルの水準です。
欧州では未達の場合、罰金が科され、調査会社の試算では 2000 億円近くを支払う企業が出る可能性も指摘されています。EVの普及に時間がかかる中、燃費改善効果の高いHVが各メーカーに課された目標を達成する「現実解」だとの見方もあります。
(2)トヨタのHVの技術は何が優れている?
トヨタのHVはエンジンとモーターを使い分けて走行することで、大幅な燃費改善効果が期待できる「ストロング(強力)型」と呼ばれています。トヨタが世界でリードしているのはこの分野です。
これに対し、最近は「マイルド(簡易)型」と呼ばれるHVを製造・販売するメーカーも増えてきました。エンジンを主要動力源とし、小型の電池とモーターで停止時や発進時にアシストする仕組みです。ストロング型よりもシンプルな構造のため、参入しやすいという特徴がありますが、燃費改善効果は比較的小さくなります。英調査会社のIHSマークイットの予想では、 30
年にはマイルド型の方が普及が進むとされています。トヨタの特許開放は各自動車メーカーをストロング型に誘導する狙いがあり、HVの「主役」を巡る競争も背景にあります。
出典:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43268630T00C19A4I00000/
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