充電が必要ない。電池交換しなくても動き続ける。といっても、SFでも怪しい疑似科学でもない。そんな便利な小型の装置が、実用化されつつある。
関西大学 で機械工学を教える谷弘詞教授(59)らは、自動車のタイヤ内で発電する「発電機」を開発し、7月に発表した。「ダンロップ」ブランドでタイヤを製造販売する 住友ゴム と共同研究した。
生じる電力は、タイヤの空気圧を測るセンサーに使う計画だ。空気圧が下がると、異常発熱やバースト(破裂)、重大な交通事故を起こすおそれがあるからだ。
欧米では事故防止のため、車に空気圧センサーの導入が広がっているが、電源は電池式で、充電や交換の作業が必要だった。国内でセンサーを普及させるためにも、手間がかからないのが望ましい。
そこで、谷さんらが注目したのが摩擦の力だ。車のタイヤ回転時に生じる摩擦で発電できれば、充電・交換不要のセンサーができると考えた。
異なる有機材料で作った特殊なフィルムを二枚重ね合わせ、金属製の電極で挟み込んだ。地面に触れるたびに大きく形を変える車のタイヤの内側に付ければ、フィルムに生じる摩擦から、わずかな電気が得られる仕組みだ。
「時速150キロで走行すれば、タイヤ内で受ける衝撃は500~600Gになる」と谷さん。発電機が厳しい環境に耐えられるようにシリコーンゴムでコーティングし、素材を工夫して発電効率を上げた。
フィルムの詳しい素材などは秘密だが、実際にタイヤ内にとりつけて発電に成功。空気圧センサーを使ったり、計測データを 無線通信 で車載システムへ送ったりするのに必要な電力を賄うめどが付いたという。
谷さんは「今後、自動車は今以上にセンサーの塊になる。タイヤには路面状況や摩耗状態を知らせるセンサーがつくかもしれない。『摩擦発電』のような発電方法は日常的に使われるようになるだろう」と話している。
身の回りにあって使われていないわずかなエネルギーを集めて発電に活用することを「環境発電」や「エネルギーハーベスティング」という。電気を使いたい場所で、装置が壊れない限り発電可能で、電池や配線が不要になるため、小型機器の電源として注目されている。NTT/NEC ミリ波(40GHz)高速移動車両で安… May 25, 2026
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