かりん御殿

かりん御殿

June 23, 2008
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カテゴリ: 旧(身内話)
さて、実は、我が家が警察のお世話になるのは
今回が初めてではないのである。

それは、今から12年近く前のこと....
ロンドン郊外の(3日前のブログで書いた)
街に住んでいた頃の事だ。
長男は、まだ2歳になっていなかったと思う。
非常に活発なお子様であった。
よく、幼児が危険な物をいじらない様に
「赤ちゃんガード」なる品物が売られているが

はずしてしまうくらいの悪知恵は発達していた。

幼児が、ビデオデッキに何かをつめてしまう
「事故」を防ぐ為の「ビデオガード」も
長男は、即、そのからくりを解き、はずし
(そもそも、ビデオデッキにビデオ以外
入れようとした事すら無かったのだが)
ビデオ以外の物が入っている事を怒ったくらいだ。
それに比べて、夫、当時30代後半は
いつも、この「赤ちゃんガード」に、ひっかかり
癇癪を起こして、いくつか壊していた。
これじゃ「中年男ガード」だ。


テレビでビデオを見る方法まで習得できず、
(配線オタクの私が配線し、さらに、マルチの
 リモコン使用だったので彼には難しすぎた)
2歳にもならない長男に「頼んで」
ビデオをつけてもらっていたという強者だ。


組み立てた際、普通の人だったら、
テーブルの面(大板)を床に置いて、
その面の四隅の角の上に脚を取り付けるところを
テーブルの下にもぐりこみ(大板を背中に
載せた状態で)脚を固定させようと
もがきながら「手伝って~」と叫んだ男だ。
常に、
常人の気づかない最も困難な方法を察知し
「狭き門」から入る、という修行者なのである。


話を元に戻すと、当時、我が家の電話は、
幼児の手の届かない所に置いてあった。しかし
ある日、この電話に興味を持った長男は、
イスを運んで来て(ガキいや幼児時代から
えらい力の大きい子どもであった。)
「999」と押してしまったのである。

これが、我が家のお子様(大)の
「マイファースト999」初通報なのである。

事態に気づいていなかった私は、長男が
受話器をもって遊んでいるのだと思い
受話器を置いた。しかし、
受話器を置いた時に出る「切れ音」がしない。
何度も、がちゃがちゃ切ろうとした後、
受話器を耳にあてると、弱りきったような
男性の「はろー」という声がする。
「?ん?電話?」と、不審に思いながら
「はろー」と答えると、勢い付いた相手が
「こちら999緊急電話ですが、どうしました?」
と、聞くではないか!!!
どうしたも、こうしたも、お子様がいたずらした
だけだ、と、恐縮しながら事情を話して謝った。

相手は、非常に、友好的で、
「999に電話をすると、こちらが切らない限り
 ずっと通話状態が続くんです。ですから
 もし、また、この様な事故が起きたら、
 【無理矢理切ろうとせず】オペレーターに
 事情を説明してくださいね♪」
と、切った。お兄ちゃん、何度も耳もとで
受話器を電話に叩き付けるような音を聞かされ
さぞかし不愉快であっただろうに、冷静。
さすが、プロっ! えらいぞ!

しかし、それから半時間もたたなかっただろうか
いきなりドアベルが鳴った。
ドアの「覗き窓」から外を見ると....
【防弾チョッキ】をまとった
がたいの良い警察の兄ちゃん二人が
立っているではないか?!!!

ぐわぁぁぁっ
逮捕されるぅぅぅっ
と、思ったわけじゃないが
抵抗もせず、即、ドアを開けると
私の横にいた長男は
突然現れた「盛装の警察官」に大喜び。
はしゃぎ始めた...。
それを見た警察官、笑いながら
「999に通報があったので、とりあえず
 様子を見に来ただけです。」と説明し
長男に対し
「電話に触っちゃだめだよぉぉ」
と、諭し
「電話は、お子さんの手の届かない所に
 置いてくださいね♪」と
バカ親に、明るく注意し、即、立ち去った。

ロンドン・メトロポリタン警察
お疲れさまでございますっ!!!!
警察のお時間を無駄にしてしまって
申し訳ございませんっ!!

当時は、まだ、なかったはずの
「警官の時間を無駄にした罪」
というのが現在は成立している。
これが、あてはまるかどうかは疑問だが
「警官の時間は、こうやって無駄にされるのだ」
と、当時、実感した。
それと同時に、こうやって、警官が
動いてくれるというのは
(私が住んでいた地域は全く危ない所では無い)
なんて心強いのだろう、とも感動した。


前置き(だったんですよっ)が
長くなってしまったが、そんなわけで
今回も、また、警官が来るんだろうなぁと
私は、待ち構えていた。
「フランスとオランダの試合なのになぁ」
と、暗い気持ちになったが、とりあえず
夕食をすませてしまおうと家族をせかし、
試合を見ながら、待った。
待った。
待った。
オランダに2対0でド負けしていたフランスの
アンリが一矢報いたと思ったら、一分後
カウンターアタックの王者オランダに
さらに一点入れられ
無惨に4対1で負けても、
警察は来なかった。

次の日も、その次の日も、来なかった。

ロンドンと、この県との警察で、
決まりが違うのか、それとも時代の変遷か
わからないが、結局、警察は来なかった。

そして、
その事に、私は、若干、不安になった。
もし、次男が、本当に危険な目にあって
通報したとしても、そばにいる大人が
さらっと受け答えしてしまえば
横で、どれだけ、子どもが泣き騒ごうが
警察は、納得してしまって、
助けに来ては、くれないのだ.....

いや、虐待通報係の人は、こんな
「叱られた子どもの腹いせ電話」に
慣れているだけかもしれない。
経験と「勘」で危ないか否か
わかるものなのかもしれない。

本当に危ない目にあっている子どもは
次男のように泣き叫ばないものなのかも
しれない.....。


「叩く・ぶつ」という英語は種々あるが
「おしりペンペン」の様な「叩く」は
普通「smack」という。
他にも、ばしっと強く重く叩きつける動作
「wack」などもあるが、次男が、
「He smacked me」ではなく
「He hit me」と言ったのは、故意だ。

これを、数年前、幼稚園児だった次男は
先生が嫌いで、幼稚園に行きたくない理由として
先生が「hit」すると私に訴えた事がある。
どの様にhitしたのか動作で説明させると
いかにも子どもの喧嘩の様な叩き方だったので
「嘘だな」と判ったが、とりあえず、友人達に
頼んで、同じクラスの子ども達にも、さりげなく
チェックしてもらったが、事実では、なかった。

よく子どもは嘘はつかない、正直だ、と言うが
私の経験では、子どもは、
「自分の保身の為には、いくらでも嘘をつく」
ものだ。
嘘をつくつもりではなく、自分の幻想だか
考えていた事を、本当にあったかのように
(勝手に思い込んで)話す子もいる。
だから、大人は、決して
子どもの話を額面通り受け取ってはいけない。

いや、額面通り受け取ってはいけないのは
子どもの話だけでは、ない。
あらゆる全ての談話にせよ文章にせよ主張にせよ
額面通り受け取るのは非常に危険な事だ。


ところで、何故、次男は
通報という手段に出たのか、
どう思うか夫に聞くと...

なんと、怒りくるった次男の
「パパなんて警察に通報してやるっ」
に、夫は
「いいよ。通報したいならしてごらん」

「できるものならやってみろ」ではなく
火事の通報もできなかった次男が
どこまで通報できるのか?と
(これじゃ、まるで、そそのかしだが)
売り言葉に買い言葉的でもあるが、
とにかく、
「通報するのは次男の自由だから止めない」
と、次男に告げたらしい。

(警察の方、すみません。)

結局、次男は、泣きじゃくっていて
今回も、名前や住所どころか
何が起きたのかも説明できなかった..。

次男が幼いのかどうか判らないが
9歳になっても、ちゃんと「通報」するのは
難しいものなんだな、と
感慨深い一件であった。

============
こんな結末で、すみませ~~ん。





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Last updated  June 25, 2008 08:48:10 PM
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