さるのちえ

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2009年08月04日
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カテゴリ: スポーツ雑話
戦後、住むに家なく、食べるに米もない、惨めな敗戦国・日本だった。「神州不滅」を叩き込まれていた軍国少年だった私に、生きる勇気を与えてくれたのは、古橋広之進さんと力道山と湯川秀樹博士だった。

なかでも、古橋さんの水泳は、アメリカで行われた「水泳競技会」で見せた世界記録だった。あの当時のことをテレビのインタビュウで語っていた古橋さんの話では、「勤労奉仕で指を一本切断したハンデを負い、泳法を研究した。プールの掃除をすると、ヒキガエルが見つかったので、それをついいつの蛋白源として食べた。お粥ばかりの食事だったが、農家でサツマイモをもらってきて、それを米に換えてたべた。」と語っていたのを覚えている。

打ちひしがれていた敗戦国日本だったが、その古橋さんがアメリカで群を抜く記録で勝ったというニュースは、どれほど惨めなこころに勇気を与えてくれたことか。アメリカ人たちは、彼のことを"Flying fish of Fujiyama"(フジヤマの飛び魚)と絶賛したという。満足な食事もせず、ふんどしの上にスフの海水パンツをはいた古橋さんは、記録を次々に塗り替えたのだった。

その「フジヤマの飛び魚」が、世界水泳開催中のローマで急逝されたというニュースは、まさに青天の霹靂だった。お年は81歳というご長寿だったが、あまりにも突然のことに、出場していた選手たちもショックだったに違いない。60年前、敗戦国・日本のために尽くしてくださった古橋さんは、いつも請われると「泳心一路」と揮毫されたという。

こころからご冥福をお祈りさせてもらう。





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最終更新日  2009年08月04日 09時38分00秒
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