この頃の雑誌の論調を見るがよい。如何に皮肉な文章の多くなったことよ。哲学概論一冊読んだことのないような政治家が、「自由」を論じ、「個人」を論ずるのだからたまらない。聞かされた方では皮肉になるのも無理はない。
思ったより日本国民は賢明であるということを知らなければならない。
p.207 昭和13(1938)年「近々抄」『近きより』第2巻第2号<二月号>
思いつきやら、行きがかりやら、乃至は、自己の旧式な趣味やらを、強行するようなことが少しでもあると、国民は政府の為すところ全体に対し、甚だ不信の念を抱くに至る。
p.206 昭和13(1938)年「近々抄」『近きより』第2巻第2号<二月号>
忠君愛国者を製造するために、高等試験に国史を必須科目にする由、形式主義の弊、終にここに至る。歴史は知らなくとも田舎のおやじさんは忠君愛国者であり、歴史を研究して足利尊氏を崇拝する者もある。愛国者は一定の型から生まれる者ではない。
p.208 昭和13(1938)年「近々抄」『近きより』第2巻第2号<二月号>
ダンス・ホール禁止、パーマネント・ウェーブ禁止、広告用日ノ丸の旗禁止々々々々 [1] 。国民はまるで感化院に入れられたるが如し。
p.210 昭和13(1938)年「近々抄」『近きより』第2巻第2号<二月号>
[1] 一九三七年一〇月、国民精神総動員中央連盟結成以後、市中には国粋主義と偏狭な排外思想が横行して、国民生活の統制と著しい干渉が本格化した。

不拡大、現地解決の主義も敗れて大戦争となり、速戦速決の方針も壊れて、今や三転して長期戦となる。希図外の事を仕出かして今後に如何なる対策やある⁇ 挙国一致の体好き掛声で現当局の施為によかれ悪かれ追随、時に盲従を強ゆる傾あるは国家を誤る本にして甚だ不可也。《後略》(《昭和十三年》一月二十六日)
p.1216 宇垣一成 『宇垣一成日記2』
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