おぢさんの覚え書き

おぢさんの覚え書き

2018.04.21
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カテゴリ: 近代
​​何とも気味の悪い事件が起きた。4/16日、参議院議員会館の前で民進党の小西洋之氏に対し、統合幕僚監部指揮通信システム部の30代の 3等空佐 が「お前は国民の敵だ」と繰り返し罵声を浴びせるという出来事があった。

「おまえは国民の敵だ」小西洋之議員、統幕所属の自衛官から繰り返し暴言を受けたと明かす
 (HUFFPOST)

自衛隊員も一国民であるとはいえ、国家公務員であり政治的活動は制限されている。直接的に自衛隊員倫理規定に抵触はしないかもしれないが「お前は国民の敵だ」の罵声では脅しのようであるし、意図としてもそういうことだろう。

おぢさんは黙れ事件を思い出した。小西議員は5・15を思い出したようで、翌十七日、参院外交防衛委員会で「軍部が「お前は国民の敵だ」と犬養毅首相を暗殺した5・15事件もある。防衛相で調査するか」と質した。詳細が明らかにされ、適切に処分されることを望む。

気になるのは「お前は国民の敵だ」という言葉だ。国民の敵はおそらく国民ではない「非国民」ということだろう。自衛官が「非国民」という言葉で国会議員を罵る。軍人が気に入らない事を言う人間を「非国民」と叱りつけた戦前を彷彿とさせる。

小西議員の背後には小西議員に投票した47万人以上の有権者がいる。自衛官はこの人達に向って「お前らは非国民だ」と罵ったようなものだ。自衛隊員倫理規定は、自衛隊員に国民全体の奉仕者であることを求めている。自衛隊がこの人達は国民、あの人達は非国民と決めるとなればどうなるか?80年前に戻れそうだ。

戻る前にもう一題。



「まさに内憂外患、多事多難の時であります。そういう時であるからこそ、総理にも、ぜひお参りをいただいて」(自民党 尾辻秀久 元厚労相)

このような声にも関わらず、5/9に予定されている日中韓サミットを考慮してか、例大祭に合わせた参拝はしないようだ。

とりあえずは良かった。これからも、率先して参拝しない姿勢を首相には示していただきたい。まあ、この問題はこれからに期待することとして。80年前に戻ろう。

靖国参拝が愛国の行為と云えるかは微妙だが、正木氏は靖国に祀られる戦死者の霊に敬意を表すことを主張していた。

一、靖国神社
 靖国神社は明治神宮と共に国民の力強い崇敬の対象である。四月二十五六日頃、参詣人はまるで洪水のようにおし寄せていた。
 私の家はその近くであるが、この戦争の始まる頃まで、側を通っても脱帽することを忘れていた。
 ところがある日、今度上海の情報部長になって転任する内閣情報官喜多長雄氏が、私に、同氏の倫敦滞在中の話をしている中に、英国人は倫敦の政治街セノタフを、たとえタクシーに乗って通る時でも、必ずそこにある無名戦士の墓に向って脱帽し、喜多氏の如き外国人でも皆と一緒に脱帽しないと変に感ずるほどであったと聞かされ、さすが英国人は偉大なる国民であると感ずると共に、私もそれからは必ず脱帽敬礼することにした。
 大抵私はバスか自動車で通るのであるが、バスの場合は私の他に一、二名は脱帽している。
 それは形式的のように思えるかも知れないが、脱帽敬礼する度に、涙ぐましき感が湧きあがって来るので、やはりその度に戦死者の霊が乗り移るような気がする。
 日本人は一般に、知人などと会った時など敬礼が過ぎるようであるが、それを少し倹約して、祖国のために長き前途を犠牲にした未知の霊に敬意を表そうではないか。
p.270-271 昭和13(1938)年「街路に拾う」『近きより』第2巻第4号

ここに表された正木氏の考えがその後どうなったのか興味がある。ともかく、この時点で正木氏は所謂愛国者だったのは間違いない。真正非国民のおぢさんとはわけが違う。

​     四、愛国葉書 [1]
 本誌所載の諸名士からの葉書回答の礼状に、せめて愛国葉書を使用して感謝の情を現わそうと思って、麹町郵便局へ買いに行ったら、売り切れて無いという。明日は来るかと問えば不明だという。あの葉書は余り感心した図案ではないが、その趣旨には大賛成なので、私は中央郵便局へ問合わせることを要求した。《中略》
 すべてこの頃の官庁のやることは「××週間」といったような、鳴物入り短期の仕事が得意のようだ。先日も街の諸所に「防犯週間」というポスターが沢山出ていた。泥棒に一週間の休暇を与えるような気がしてならなかった。

[1] 「航空思想普及と民間航空振興をはかるため」の献金(三銭)つきの五銭ハガキで、一九三七年六月一日から発売されたもの。これと同時に、同じ趣旨の「愛国航空切手」(各普通料金に二銭加算)も発売になり、あわせて航空献金として、民間航空機拡充費にあてることを目的とした。
p.274 昭和13(1938)年「街路に拾う」『近きより』第2巻第4号​

「泥棒に一週間の休暇」にはニヤけてしまった。
それにしても正木氏は愛国だなあ。。。
正木氏はこの通り愛国心にあふれる人物である。しかし、単純な勘違い愛国者はこの国を亡ぼすと思っていたのだろう。

今頃になってもまだ独支間の腐れ縁が清算されていないのは変な話しだ。欧洲の外交はかく複雑巧妙なるものらしい。日本の単純な愛国主義者などの到底想像もつかぬものだ。
    〇
 けれど日本の過去十年間の社会風潮は、民間の浪人または半浪人愛国者の支配下にあったのだ。文部省などは何等の権威なく、ルンペン議員、売名議員の質問に震え上がって、ひたすら目前の擁護に汲々として来たものだ。快漢荒木文相、よく魂の入れ換えを行い得るや否や。
p.287 昭和13(1938)年「近々抄」『近きより』第2巻第5号 <八月号>

今も当時に近いものがある。
前川氏授業に圧力の安倍チル・赤池議員が『ちびまる子ちゃん』にも圧力...
社説:前川氏授業調査 教育をゆがめる行為だ (秋田魁新報)
日本の中等学校で外国語をやめることを主張するのが愛国主義者であるかの如く流行しているが、ムッソリーニが独、仏、英、何語でも自由に会話するのを知ったら、ちょっと意外に思うであろう。
p.292 昭和13(1938)年「近々抄」『近きより』第2巻第5号 <八月号>

中学校の英語教師をしていたことのある正木氏としては、外国語教育をやめるというのは黙ってはいられない話だったのかも知れない。
外国語をやめることを主張した過去の愛国主義者、「友達に国境はな~い!」のコピーにいちゃもんを付ける現代の愛国主義者、何か重なるものがある。




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Last updated  2018.05.27 11:01:54
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