星とカワセミ好きのブログ

2024.02.06
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カテゴリ: 河合奈保子さん
河合奈保子さんは1986年10月5日、NHKの『レッツゴーヤング』リハーサル中に舞台のセリ穴から転落し、第一腰椎圧迫骨折で入院しました。

その闘病生活などを河合奈保子さんが記した本「わたぼうし翔んだ」が、1983年5月20日に発売されました。その中で「恵方巻」について記載があるので紹介します。


「わたぼうし翔んだ/河合奈保子/1983年5月20日初版発行/ワニブックス」

(p75~77:恵方とイワシの頭)
節分の日に”豆まき”をして、年の数だけ豆を食べるのは、日本中どこも同じだと思います。
でも、大阪にいた時は、その他に巻寿司も食べたんです。”無病息災”で暮らせるように・・・。
恵方(えほう)(陰陽道で、その年の干支にもとづいて、年徳神(としとくじん)のある方向を吉の方向として定めたもの)に向かって、願い事を念じながら、巻寿司を一本丸ごと食べるんです。
食事中は、いっさいしゃべってはいけません。お茶を飲みながら、ただ一心にモグモグと口を動かすのだけれど、それは一種異様な雰囲気で、あまり格好のいいものではありません。
家族4人が、巻寿司を手に持って、うつむきかげんで食べてる姿 ー 想像するだけでもくらーくなりそうでしょう?

大阪では、節分の日になると、その年の恵方の方角が新聞に出るし、お寿司屋さんでは、それ用の巻寿司が売られ始めます。ちょうど太巻きとノリ巻の中間の太さのもので、中には、ほうれん草にかんぴょう、高野豆腐が入っているそうです。
わが家では、見た目もキレイなように、遠足風のものを作ってもらいます。
ほうれん草にかんぴょう、薄焼き玉子にピンク色のでんぶを入れて・・・。でも巻寿司になったのは、15年ほど前からで、お寿司屋さんとノリ屋さんのインボーだ、なんて声もあります。

昔は恵方に向かって、一心に念じごとをしながら、塩ぼしにしたイワシを丸かじりしたそうです。
イワシは、安くて栄養のある庶民の食べ物だったそうで”質素に暮らす”ということを意味したそうです。また、イキがよくてピチピチしているところから”元気に暮らせるように”との願いも込められたそうです。
そして、そのイワシは、夏の間に食べた枝豆のカラをほしたもので焼いたとか。これは”倹約”を意味したのでしょうね。
現在では巻寿司に変わってしまったものの、イワシも食卓へ登場します。でも、わが家では、おとうさん以外は好まないし、焼いたあとの臭いが強烈なので、省略します。(換気扇をつけても、ダメみたい)
食べたあとのイワシの骨は、頭をヒイラギナンテンの枝にさして玄関につるしておきます。
鬼が来ないようにとの魔よけだったのでしょう。ドラキュラのニンニクと同じですね。(この説明は、おとうさんや親戚のおばあちゃんに教えてもらいました。もしかしたら、チョッピリ違う所があるかもしれません)
この風習を信じる人は、日本中どこへ行こうと続けるようです。
たまたま節分の日に、東京で、イワシの頭をつけたドアを見たことがあります。


病院での約束通り、節分の日になると、みんなで巻寿司を食べました。
今年は、帰りが遅かったので、一人で食べました。夜中に食べると太るなあと思いつつ、南南東の方向を向いて。(今年の恵方は、南南東の方角でした)
マネージャーの佐藤さんは、吹き出しそうな顔をして見ているだけ。おかあさんがいくら勧めても、食べようとしません。
あとになって、そのわけがようやくわかりました。他の人に、こんなふうに話していたんですよ、まったくもう。
「奈保子の家では、節分の日に、みんなで巻寿司を食べるんですよ。白装束に身をかためて、額には白い三角の布をつけて・・・。開け放した窓から、お月様に向かって、ただモクモクと食べるだけなんですが、一心に念じながら食べている姿が実にいい。もう、おごそかなもんでした。見ていて、胸をうたれましたね。ボクですか? ええ、ああいうのは、ちょって遠慮させてもらいましたけれど・・・」



「わたぼうし翔んだ/河合奈保子/1983年5月20日初版発行/ワニブックス」





↓ 河合奈保子さん。








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最終更新日  2024.02.14 18:57:35
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