和希ちゃん8383のブログ

和希ちゃん8383のブログ

PR

Profile

和希ちゃん8383

和希ちゃん8383

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

2015.03.19
XML
カテゴリ: 映画(き)


サスペンス

監督
アンドリュー・ラウ
Cast
リチャード・ギア
クレア・デインズ
アヴリル・ラヴィーン
ラッセル・サムズ


ストーリー
公共安全局で働く監察官エロル・バベッジ。
彼の仕事はかつての性犯罪者を監視する事、
勤続18年のベテランだった。
しかしエロルに退職の時が迫っていた。
エロルの代わりを務めるのは、新米監察官のアリスン・ラウリーという若い女性だった。
アリスンへの指導を兼ねて、退職までの時間をアリスンと共に行動する事になったエロルは、自分が監察している元・性犯罪者の元へ連れて行く。
エロルは犯罪を憎み、そして犯罪を犯した人物達も憎むかの様な振る舞いだった。
アリスンはそんなエロルを「彼はやり過ぎだ、もう罪は償っているし再犯はない」と信じていた。
彼らも自分達は真っ当だと主張していた。
しかしエロルは誰一人信じなかった。

そんなビオラはエロルが毎日自分の元へ来る事、そして自分も夫に暴力を受けていて仕方がなかった事、自分も被害者だという事をアリスンに訴える。
女性への性的な暴力で起訴されたエドマンド・グルームスにも会った。
一見普通の男に見えたが、エドマンドの恋人ベアトリスは前歯がなかった。
エロルはエドマンドは変わっていない。
ベアトリスに暴力を振るっていると悟る。

そんな時、エロルの担当区域で、少女ハリエット行方不明事件の知らせが入るのだった...。





2006年に公開された「ディパーテッド」は2002年の香港映画「インファナル・アフェア」のリメイク作品。
この「インファナル・アフェア」を手掛けたのが、今作で監督を務めるアンドリュー・ラウである。
「インファナル・アフェア」がリメイクされた事で、彼の知名度は上がり、今作でハリウッド監督デビューを果たした。
作中では、19世紀を代表するドイツ人哲学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェの有名な格言が引用されている。
「怪物と戦う者は、自らも怪物とならぬよう気をつけるべきだろう。長い間、深淵を覗き込む者は、深淵からも覗き込まれているのだ。」という格言である。
アメリカでは2分に1人の割り合いで女性・子供が性犯罪に巻き込まれている。
登録されている性犯罪者は50万人以上と言われ、1人の監察官が1000人を監視している。
今作のポイントでもある「性犯罪者の所在公開」は日本でも議論されている。
アメリカでは、この「性犯罪者の所在公開」が再犯を防いでいるのも事実であるが、一方で、周囲の人間の過剰な反応から、性犯罪者が殺されてしまうなどの事件も起こっている。





my評価9点(10点満点中)

悲しいかな...。
今作の作りにも問題はあるんですが、風評を見る限り、誤解してる人が大勢居ますね。

エロルは決して性犯罪者達に暴力を振るったり、銃で脅したりしていませんよー!!
いや、もしかしたら脅すくらいはあるかもしれませんが、概ね、あれは彼の妄想を映像化してるんですよー!!

ここが誤解されているために、随分と作品の意図と違った解釈してる方が居るようです。

話の繋がり方やラストシーンをちゃんと観れば、彼の妄想であると分かるはずなんですが...。

それにもう一つポイントがあります。
それはニーチェの詩です。
これは私が、作品が誤解されていると思うポイントであると同時に、作品の面白ポイントとも考えていますが。
「怪物と戦う者は、自らも怪物とならぬよう気をつけるべきだろう。長い間、深淵を覗き込む者は、深淵からも覗き込まれているのだ。」

ニーチェの詩をふまえて、この作品のリチャード・ギアがなぜ苦しんでいるのか?を考えてみて下さい。
そうすれば分かります。

あれは葛藤です!!

一層の事、憎むべき性犯罪者なんぞ、みーんな殺してしまえばいいのです。
彼の妄想の様に...。
そうすれば、再犯の危険もなく、人々が平和に暮らせるのだから。
そして彼自身も犯罪者達を憎みながら苦しんで生きる必要もなくなるのだから。

彼らはマトモな人間ではなく、犯罪者なのだから。
しかし、心のどこかで、彼らも同じ人間である事を知っている。
罪を償っている。
彼らを愛する人々もいる。

だからリチャード・ギアは苦しんでいるのです。
自らの欲望に任せて、性犯罪者達を殺してしまったら、ニーチェの詩通りに「自らも怪物」になってしまいます。

とっても素晴らしい作品なのに、悲しい事です。
「消えた天使」という題名も、この世には天使なんて心の綺麗は者はいないという比喩であると考えています。
しかし、自らの欲望に負けないのは「天使」じゃないのでしょうか?
少なくとも「悪魔」では絶対にないはずです。

面白い事に、あの妄想が妄想なら「天使」で現実なら「悪魔」なんて、言えないのが「人間」だと思いませんか?

あの妄想は現実ではなくとも、彼の心の中にしっかりと息づいている「闇そのもの」です。
だからやっぱり天使なんて呼べる心の綺麗な者などいないよという比喩表現で「消えた天使」なのだと思います。

さらに「完全なる飼育」で(下の方にあるカテゴリ別一覧検索「映画(か)から見れますのでよろしくどうぞ)今作の印象的なセリフについてふれました。
「彼は私の人格を殺した」
これはレイプ被害者のセリフで、レイプという犯罪がそーゆーものである事を象徴するセリフだと書きましたが、正確にはちょっと違います。
暴力、性的な暴力を振るわれ続けた結果、そうなったというセリフです。

人格を殺す。
命ではなく、人格を、です。

何度考えてもやはり印象的です。
だって人は記憶喪失にならない限り、その事柄より前の自分には絶対に戻れないのだから。
戻る努力をすれば、報われるのか?
それもわかりません。
「完全なる飼育」でも書いたように、事件を乗り越え、元に戻れたら幸せだけど、元の自分に戻れない可能性もあると。

元に戻れなかったら?
その答えはこの作品の中にあります。

エロルにとって退職は救いでしょうね。
あのまま仕事をし続けたら、彼も確実に怪物になっている事でしょう。

この作品、私はめちゃめちゃ泣きました。
性犯罪の被害者はもちろん、加害者、そしてエロル、さらにこれからエロルの後任になるアリスンも、皆が心に傷を背負う、もしくは背負っているのです。

エロルの様にアリスンも苦しむのかもしれません。
「あなたと私は同じ」と言われるかもしれません。
いやいや、エロルは同じではないですがね。

私が観た映画史上、最も素晴らしい「ミスティック・リバー」も(下の方にあるカテゴリ別一覧検索「映画(み)から見れますのでよろしくどうぞ)同じく、全員が傷を背負っていて、今作も同じ様な雰囲気のある作品です。

そして愚かで、悲しく、憎むべき犯罪が身近にありました。
こーゆー作品は重いです。
だからお腹を空かせて(映画を観るぞー!って気分て意味です。笑)ぜひ!観ていただきたいです。
オススメです。



消えた天使 デラックス版【字幕・吹き替え】アンドリュー・ラウ


消えた天使 デラックス版【字幕・吹き替え】アンドリュー・ラウ


【中古】DVD▼消えた天使▽レンタル落ち【ホラー】【10P01Mar15】





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.03.19 13:17:27 コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Comments

和希ちゃん8383 @ Re:キス&キル〜自由気ままに映画日記(08/22) ツルノカミさんお久しぶりです。 コメント…
ツルノカミ @ Re:キス&キル〜自由気ままに映画日記(08/22) 和希ちゃん8383さん、 お久しぶりです。 …
和希ちゃん8383 @ Re[1]:男と女の不都合な真実〜自由気ままに映画日記(07/03) ツルノカミさん コメントありがとうござい…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: