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2015.10.07
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カテゴリ: 映画(き)


パティ・デューク、ばんざーい!!

1962 アメリカ
ヒューマン

監督
アーサー・ペン
Cast
アン・バンクロフト
パティ・デューク

インガー・スヴェンソン

ストーリー
1880年にアメリカ南部のアラバマ州で産まれたヘレン・ケラー。
ヘレンは生後1歳半で高熱を出し、そのせいで目が見えず耳が聞こえなくなってしまう。
やがて7歳になったヘレンは、たった独り、闇の中で自由に生きていた。
彼女に知識や教育を与える物はなく、ただ動物の様に本能のままに生きていた。
南北戦争時代の大尉である父親アーサーは、ヘレンを施設に入れる事を考えていた。
しかし母親ケイトは側に置いておきたいと考えており、義兄のジェームズはヘレンに愛想を尽かしていた。
アーサーは、ヘレンは仕事の邪魔ばかりし、産まれたばかりの赤ん坊にも危険だと考えていたが、ケイトの熱意に負け、家庭教師を呼ぶ事にした。
こうして呼ばれたのはまだ20代と若く、自身も視力に障害を持つアニー・サリバン。
ボストン盲学校の卒業生だった。

しかしケイトは逆に、ヘレンの気持ちを分かってくれる人として期待するのだった...。





感想
三重苦のヘレン・ケラー、有名ですね。
目が見えない、耳が聞こえない、話せない。

今、この歳で目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなるのを想像しただけでもとても恐ろしいですが、ヘレンは1歳半でそうなってしまったのです。

分かるのは唯一、感触と匂いだけ。

しかし三重苦の子供に「教育」なんか出来るのか?
もしかしたら、やろうとさえしなかったのかもしれません。
だからこそ彼女はワガママで暴れん坊で、野生的です。
母親に甘えたい時に甘え、食べたい時に食べ、悪い事をしても誰も叱らない、何が悪い事かすらわからない、人を引っ叩いても誰も怒らないんです。
こんなのは人間らしいとは言いません!!
人として生きるには「教育」が必要です。

もしかしたらヘレン・ケラーを「奇跡の人」と考えている人も居るかもしれませんが、「奇跡の人」というのは実はサリバン先生を指していて、ヘレンを「動物」から「人間」に変えた素晴らしい人物です。

食事のシーンでは好き勝手に人の皿から手づかみで食べるヘレンを、皆、放ってます。
サリバン先生が「そんなのは教育ではない、必要なのは愛や哀れみではない」と語る言葉が本当に素晴らしいです。
私もそう思います。

現代でもたまに居ますが、「うちの子に限って間違いはない」とか「うちの子は悪くない」とか現実を見ずにただただ盲信して可愛がるバカ親の様です。
お前らがそんなんだから、ヘレンは粗暴なんだよ!と何故わからないの?と。
その粗暴すら愛せる心があるなら、なぜ教育しなかったの?と。

それもサリバン先生の言う様に「諦めて受け入れる方が簡単だから」です。
イライライライラしてしまいます。

この作品は台詞が少なく、愛と哀れみの両親と教育のサリバン先生の概ね2派で構成されていて、話す内容も突き詰めたものだけです。
とても簡潔でかつ確信的な話ばかりです。

だからこそ重要なのは三重苦のヘレン・ケラーを「演じる」という事。
そしてサリバン先生を「演じる」という事。

パティ・デュークは「ナタリーの朝」で(下の方にあるカテゴリ別一覧検索「映画(な)」から見れますのでよろしくどうぞ)初めて知り、「この人は天才だ!」と思ったんですが、その時に「ヘレン・ケラーを演った」と知りいつか観たいとずっと思ってたんです。

期待に応えるどころか、期待以上の天才っぷりでした!!

もちろん本当は見えてるので、おかしいぞというシーンも3ヶ所は気付きました。
ひとつは水差しを地面に叩きつけて割った後、地面で割れた水差しを踏まずに跨いでいたんですね。
そして食事のシーンではスプーンを投げるんですが、サリバン先生には当たらない様に投げている事。
そして自分で靴下を履く時に形をきちんと調べてないのに、正しく履いた事。

しかしそれ以外は本当に見えず聞こえずなんじゃないか?というほど素晴らしかった!
粗暴な振る舞いも本当に本当に素晴らしかったです。

サリバン先生役のアン・バンクロフトも本当に素晴らしかったです。
教育者としての強固な意志と、誰よりもヘレンの身近に居て、世界を分けてあげたいという愛を持っていました。
それをヒシヒシと感じるんです。
観客側は彼女が心からそう思っていると感じるんですね。

映画というよりは舞台劇に近く、ワンカットがとても長かったです。
しかしそれによって素晴らしい作品になっていました。
食事のシーンは本当に見応えがあって、壮絶で素晴らしかったです。

この舞台を観たかった!
観ても英語だからわからんけど。笑
アン・バンクロフトとパティ・デュークの舞台を目の前で観たかった!と本気で思うほどに素晴らしい演技でした。
これこそアカデミー賞に納得!!

「WARTER」のシーンに関しては本当に難しいシーンだよなーと感じます。
ヘレンの中に何が起きたのか?
物には名前があって意味があるという事をなぜあの瞬間に理解したのか?
こればっかりは、本人にしかわからない事なのかもしれません。
パティ・デュークは天才でしたが、このシーンにおいては、誰にも表現出来ないのかもしれません。

いずれにせよ壮絶を極める食事シーンは、役者としての魂の全てがこもっていると言っても良いぐらいの完成度です。
そしてヘレンとサリバンという2人も同じくらいの完成度です。
両親も見事な演技でしたし。

ただの一般ピーポーである私が「この映画はダメだ、この役者はポンコツだ」と言ってる事が、どんなにおこがましい事か、穴があったら入りたい、偉そうに文句言ってすいませんでした!と思うほどに役者としての素晴らしさを見せつけられました!!笑

舞台が好きな人も楽しめますし、映画好きの人にもぜひ1度は観ていただきたい作品です。
ちょーオススメです!

my評価10点(10点満点中)





概要
1866年~1936年にアメリカに実在し、ヘレンに言葉を教えた女性アン・サリバンと、1880年~1968年にアメリカに実在した三重苦の女性ヘレン・アダムス・ケラーを描いた同名戯曲の映画化作品。
原作はアメリカの劇作家、ウィリアム・ギブスン。
1959年に初演され、大好評となり1961年までロングラン上演された。
そして翌年1962年に映画化。
映画化にあたり出演者は舞台と変わらずそのまま出演した。
第35回アカデミー賞では主演女優賞をアン・バンクロフトが、助演女優賞をパティ・デュークが受賞。
監督賞、脚色賞、衣装デザイン賞にノミネートされた。
そのほかゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞などでもノミネートされた。
この時パティ・デュークは16歳であったが、舞台化時は12、3歳であり、彼女の演技力の高さが伺える。
彼女はその後1969年の「ナタリーの朝」でゴールデングローブ賞を受賞すると、テレビに多く出演する様になり、1979年と1986年にはエミー賞も受賞し、1979年にリメイクされた「奇跡の人」ではかつてヘレンを演じたパティが、今度はサリバン役を演じた。


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Last updated  2015.10.07 13:40:40 コメントを書く


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和希ちゃん8383 @ Re:キス&キル〜自由気ままに映画日記(08/22) ツルノカミさんお久しぶりです。 コメント…
ツルノカミ @ Re:キス&キル〜自由気ままに映画日記(08/22) 和希ちゃん8383さん、 お久しぶりです。 …
和希ちゃん8383 @ Re[1]:男と女の不都合な真実〜自由気ままに映画日記(07/03) ツルノカミさん コメントありがとうござい…

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