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幼稚園の夏休み、母親の宿題として『言葉集め』というのをやりました。 子供の新鮮な目で見た感想や独創的な発想を記録に残しておこうというものです。 その中から特に面白かったものをピックアップしてまとめたプリントをいただきましたので、いくつか紹介したいと思います。 ~年少組~ ・ろうそくの熔けたろうを見て 子 「ろうそくの涙だね。」可愛い~(*´ェ`*) ・日本三名園は?という問いに 子 「幼稚園!」子供にとってはそうだよね。゚(゚ノ∀`゚)゚。 ・ゴミ箱を覗き込んで 子 「燃えるごみっていうけど燃えないね、いつまでも」『燃やせるゴミ』が正しいっ(b´∀`) ・吐いて具合が悪かったので 母 「ちょっと様子見ようか」 子 「おなか切って?」ガクガク((・ω・;))ブルブル ~年中組~ ・両手をぐるぐる回して円を描くようにしていたので 母 「何してるの?」 子 「今しあわせをすくってるの」何があったんだΣ (´Д`ノ)ノ ~年長組~ ・子 「ママのブヨブヨのお腹は『致命的なミス』だね!」な・・・( Ф曲Ф) ・ざりがにの本を読み聞かせていると 子 「あれ?ボクまだ脱皮したことないよ。」大きくなったらちょっと剥けるよ・・・(mm*)キャッ 宿題をもらったときは「この年になって宿題Σ(´A`)」って感じでしたが、とてもいい記念になりました。 お正月で着実に体重を増やし『致命的なミス』のお腹、リアル私です (=゚ω゚)ノコニャニャチハ ちなみにうちのヒットはコレ↓ ・お風呂で洗面器にお湯を少し貯めておく息子。 使おうとすると 息子 「お魚かわいそう!」 ポニョを見て以来、全ての洗面器にポニョがいると思っているらしいです(´v`*) 年末年始にそれぞれの実家に帰省、さらに母の還暦祝いの旅行に行っていたのでRSを全くしていません。 なので今日はリアルネタと小説のみです(*- -)(*_ _)ペコリ リアルネタが見たい方 ⇒ 我が家のだめんず・うぉ~か~ 小説の続きを読みたい方 ⇒ 翼の行方編 その五 翼の行方編 その六
January 29, 2009
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最近「だめんず・うぉ~か~」(倉田真由美著)を読み出し、はまっています。 だめんず=ダメなメンズ うぉ~か~=渡り歩く人 ダメ男ばかりと付き合ってしまう女性の体験談を紹介しているマンガです。 まあ誰でも記憶を辿れば一回くらいはありますよね、うっかりダメ男と付き合ってしまったイタ~イ経験Σ(ノ∀`*) でもこのマンガで紹介される女性は「幸せになりたい」と願いつつも、何度も何度も繰り返してしまうのです。 借金、ヒモ、浮気、変態、マザコン、暴力、ストーカー、虚言壁、麻薬中毒。 「一回ヒドイのにあたれば懲りるだろうに何で繰り返すの?嘘じゃない?」って思う人がいるかもしれませんが、いるんですよ本当にそういう人。 我が家のだめんず・うぉ~か~、私の妹です。 姉の私が言うのもなんですが結構美人だし(私と全然似てないのです・・・)、気立てはいいし、本当にいい子なんですよ。 でも妹の歴代の妹の彼氏はすべてだめんずでした ε(-ω-`;)ハー 中でも極めつけだったのが元旦那(つまり妹はバツイチ)。 今日は「マジでこんな人がいるんだΣ(=д=ノノ」と驚いた彼のことをだめんず・うぉ~か~風に紹介したいと思います。 初めて「彼氏なの♪」と紹介されたときから、私の中では警鐘が鳴っていました。 なにしろ私の目を一切見ない。こちらが話しかけてるのに顔を妹の方に向け、そちらに返答を返す。 シャイにしたってちょっといきすぎです。 本当にこれで社会生活を送れているのか? それが第一印象でした。 やがて適齢期だった妹は結婚を決意。 彼の家に挨拶に行くと両親共に好意的に迎えてくれたと言っていました。 その次の日、家に電話があり義母「○○(琵琶湖の傍の吹きさらしの場所)に土地買っといたから^^」 挨拶の翌日なのにもう買われてるΣ (´Д`ノ)ノ ってか普通相談しません?(´・ω・`) その後も『私指定の大工さんに頼んで』『焼き杉の板の本格的な和風建築を』『間取りはこんな感じで』と義母が次々に勝手に決めていきます。大工さんが「お嫁さんの意見もお聞きになったら?」と気を使ってくれましたが、全く耳に入らず。 妹の『△△(滋賀で新婚さんが住みたい所No.1のおしゃれな町)に』『こぢんまりしたマンションを借り』『いつか洋風の可愛い家を建てたい』という希望は全てスルーされました。 さらに挨拶に行ったときはずっと別居という話だったのに、「ここ私の部屋ね~♪」と自分用の部屋を作り、ちゃっかり『いずれ同居^^』に話を摩り替えていました。 しかし彼は何も言えず、ずっと義母の言いなりだったそうです。 (義母がどんな人でも本人がしっかりしてればいいので、ここが決定的にダメ) 私ならこの時点で結婚を止めるところですが、妹は 「結婚したらしっかりしてくれるだろう。」 と妙なプラス思考でそのまま結婚に突き進んでしまったのでございます・・・。 土地は買ってもらいましたが建物は自分たちが払わなければなりません。こだわりの大工さんなので建築費がバカ高く、正直普通の家を土地つきで買ったほうが安いです。 安月給の旦那では到底払えないので共働き。 義母「あんたたちに任せておくといつまでたっても返せないから」と、旦那の通帳も妹の通帳も義母が預かり、月々の生活費のみ(ありえないくらい小額)を渡されるというシステムに。 そのくせよく食べる旦那。 しかも粗末な内容だと文句を言う旦那。 よって妹は近くにある自分の実家から食材を持ち出してごはんを作っていました。 どんなに仕事が遅くなっても買い物は業務用スーパー(遠い)に走ります。 何故なら一々旦那にレシートをチェックされ、 「なにこの豆腐100円って。業務用なら30円で売ってるだろ?」と言われるからです。 30円の豆腐って・・・味するんすか・・・?(  ̄ロ ̄) 毎朝5時半に起き、ばかでかい旦那の弁当箱におかず(必ず5種以上)を詰める妹。 彼は冷凍食品や惣菜や夕飯の残りが嫌いなのですべて朝に手作りするのです。 自分が仕事が遅くても旦那は帰りが早く、玄関の鍵を開けて早々「ごはんまだ~?」の声。 ゆっくりする暇もありません。 忙しくて土曜日も出勤していたので、せめて日曜くらいたくさん寝たい。 にもかかわらず毎週日曜朝8時に来てまだ眠る妹に声をかける義母(合鍵もってるので勝手に入ってくる)。 「○○ちゃ~ん、草むしりするわよ~!」 黙って勝手にむしっててくれよ・・・┃━┏┃ また私が息子を出産・退院して数日したとき、家に突然ノンアポで来たことがあります。最初は普通にお祝いを言っていましたが、すぐに「○○ちゃんが子供作らなくて困ってるのよ。あなたからもなんとか言ってちょうだい!」と・・・。子供出来ないのを全部女のせいにするってアンタ一体いつの時代の人・・・いや・・・だいたい嫁の実家にノンアポ・・・生まれたばかりの子供がいる家にノンアポ・・・ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン… 一事が万事超マイペースな義母。 とにかくすべてノンアポ、相談なし、意見してもスルー。 挙句の果てにストレスと過労で体調を崩した妹に一言、Σ(´Д`)はぁああああああ!? ちなみにその場に旦那がいましたが、何も言わなかったそうです。 私 「それ、私なら3日で離婚してるよ?」 妹 「でも彼は真面目でいい人だし・・・。」いやいやいやいやいや!レシートチェックだけでも十分きもいし!! 第一妻がこんな目に合ってるのに庇わない奴をいい人とはいわんぞ?! 数限りなくツッコミ入れてきましたが、妹は平和主義で我慢強い人間です。 自分さえ我慢すれば全て丸く収まると思っているのです・・・(´;ω;`)ブワワッ へとへとに疲れたある日、妹は交通事故を起こしました。 前の車のおかまをちょっと掘っただけで双方怪我はなかったのですが、事故相手がタチの悪い人で 「俺の日給は5万以上や!それもちゃんと保障せぇよ!」 とごねるごねるごねる。 保険会社を通してくれと言っても直接携帯電話にかけてきて交渉してきます。そんな要求が保険会社に通るわけないというのを知ってるので、気の弱そうな妹をターゲットにしているのです。 そんなときにも旦那は見てみぬ振り。 泣いて応対を頼んでも「しゃあないやん、自分のことやろ?」と逃げの一手。「俺はいざとなったらやる男や。」と言ってたけど、お前の『いざ』は一体いつやねん!!( Ф曲Ф) さすがに切れて、実家に戻ってきました。 実家に戻った日の夜、妹が電話をかけてきました。 妹 「お姉ちゃん・・・私・・・うちに帰ってきてん・・・。」 私 「おめでとう!おかえり~(*´▽`*)」 間髪いれず晴れやかにお祝いを言いました。 本当にその言葉以外浮かびませんでしたよ、ええ。 実家に帰ってから母と近くのイタリアンレストランに行ったとき、「美味しい・・・!私こんなん食べたかってん・・・。」と泣いた妹。 何万もするコースではありません。1050円のランチです。 結婚生活中、妹は一度も外食をさせてもらっていなかったのです・・・。 話を聞いて思わず泣きましたよっ。・゚・(ノд`)・゚・。 実家に帰ってきてからやっと妹が打ち明けたのですが、結婚以来旦那とはセックスレスだったらしいです。 旦那は本当は現実の女性が苦手で(結婚前は無理して隠していたとのこと)、もっぱら興味の対象はエロゲとAV。 当然子供が出来るはずないのに、義母は子供が出来ないことを全て妹のせいにして詰っていました。100%自分のせいなのに旦那はいつものごとく見て見ぬ振りでした。 しかしこのセックスレスが重大な離婚事由に相当するため、離婚自体はスムーズに行ったのが不幸中の幸いでした。 もっと色々ありましたが、エピソードがたくさんすぎて書き切れません。 話を聞く度に『開いた口がふさがらない』とはこのことだというくらいあんぐりと口が開いてしまい、あやうく顎を外しそうになりました。 こんなひどい生活を2年我慢し続けた妹。 だめんず・うぉ~か~ではうぉ~か~にありがちな特徴として ・母性本能が強い(しっかりした人より『自分がついてなきゃ』という人に惹かれがち) ・責任感が強い(ダメ男でも途中で放り出せない) ・妙なところでポジティブ思考(『いつか変わってくれるかも』と根拠のない期待) ・自己評価が低い(自分を安く売りがちで悪いことがあると自分の責任と感じる) ・平和主義(争うより自分が我慢する方を選ぶ) というのが挙げられていましたが、妹は全て当てはまっております。 美点になりそうなものばかりなのに、いい人すぎるといい目を見ないというこの不思議! 優しくなくていい、我慢強くなくていい、もっとわがままになって今度はちゃんといい男を選んで欲しいと切に願うリアル私なのでした (TωT)ノ~~~シアワセニナレヨ~
January 29, 2009
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再びブルボン公爵邸の前に戻ると門番が再び慇懃な態度で二人を追い払おうとした。しかし比翼が門番の耳元で二言三言ささやくとはっと驚いた顔で邸内に入り、ふたたび出てくるとうやうやしい態度で彼らを屋敷の中へ招き入れた。 『何を言ったんだ?比翼。』 『俺だってたまには頭使うの。ま、今回は黙って見てろよ。』 煌びやかなシャンデリアがいくつもついた長い廊下を進むと金色のノブがついた白い扉に行きあたった。案内をしてくれた黒いスーツの護衛二人が両開きのドアのノブをそれぞれ引くと、乳白色に輝く大理石を敷き詰めた豪奢な部屋が眼前に現れた。ドアから部屋の中央にあるテーブルまでは濃緑色の絨毯が敷かれ、いまにも飛び立ちそうな姿勢をとった鷲の剥製が隅に据えられている。導かれるまま二人は繊細な刺繍が施された布張りのソファーに腰掛けた。「なにこの椅子。かってぇな。」「こういうのが貴族の中では流行りなんだろ。」「流行りだかなんだかしらねぇけど、ったく肩のこる部屋だぜ。」 どうにもリラックス出来ない部屋で待つ事10分あまり、館の主人が現れた。裏町で流れ者の世話をしていたときは質素で機能的な衣服だったが、今日はところどころ銀糸の縁取りがついた真紅のシフォンのドレスを身にまとっていた。扇で口元を覆ってはいるが、その老いは隠せない。あの時見た彼女は30代半ばほどであったが、本来の年齢は70を優に越していると思われ、皺だらけの手と華美な衣装とのギャップがひどく不気味だった。 暑くもないのに扇を軽くそよがせながらソファーに腰を下ろすと、なんの挨拶もなく唐突に夫人はこう尋ねた。「あなたたち?私の欲しいものをくれるというのは?」 『ちょっと比翼、何のはな・・・』 『いいから、お前は黙っとけ。』 小声で素早く連理を制すると、比翼は女に向き直った。「それは後ほど。まずは我々の質問に答えていただいてからです。」 連理が驚いて比翼を見た。 へえ、こいつこんな口の利き方もできたんだな・・・。「あら、エルフが一人前に人間と交渉ってわけ?」「私が奥様の望むものを提供できるというのは一目見ればお分かりでしょう。取引に見合う価値のある情報をそちらがお持ちかどうか、それが分かって初めて商談に入れるというものです。」「ずいぶんと強気なのねぇ。力ずくで奪うことだって出来るのよ?」「それがいかに難しいかはよくご存知のはず。だから取引のため、この部屋に通したのでのでしょう。屋敷の護衛がエルフを生かしたまま捕らえることができるかどうか、お試しになられますか?」 比翼は端正な顔に悠然とした笑みを浮かべて、そう言い放った。不穏な発言とは裏腹に紅茶を啜り、足を組んでくつろいだ様子に戦闘の意思は微塵も感じられない。 くくっ。 ブルボン公爵夫人は扇で口元を隠してくぐもった笑い声を漏らした。「面白い子ね。あなたの勝ちよ。なんでも聞いていいわ。」 話をするのを嫌ったわけではなく、単にからかおうとしただけらしい。不適な笑みは何を話そうと自分の立場がけして揺らぐ事はないという自信の表れだろう。 篤志家の仮面をつけて集めた流れ者をフィロウィに差し出していた女。自らの欲望のために何百人もの人間を犠牲にしてきた彼女の罪を問うことはもう誰にも出来ない。バリアートのメディチ家が火事になり、全ての証拠は灰燼に帰してしまったのだから。しかし今そんなことはどうでもいいことだった。『これで俺の任務終了~。あとはお前、上手く聞けよな。』『え?』『・・・これ以上この喋り方やったら吐く!見ろよこの鳥肌!!』『あは、分かったよ。よく頑張ったな、比翼。』 この後の質問は連理が担当することになった。「セラチアのことはご存知ですね?」「ええ、もちろんよ。とても仲良くしていたわ。古くからの友人よ。」「いつからのお知り合いですか?」「私たちが花のように美しかった頃から、よ。」 スミレの砂糖漬けをつまみながら夫人は謳う様に言った。はぐらかそうというのか、あるいはこちらがやきもきするのを楽しむつもりなのか・・・。この調子でぼんやりとした問答を繰り返している暇はない。そこで連理はカマをかけてみることにした。「ビガプールの娼館でご一緒だったのではないですか?」「あら、そんなことまで知っているの・・・?」 夫人は余裕に満ちた笑みにわずかに暗い影を滲ませた。セラチアと同様、そのときの事は記憶から抹消したいほどに嫌な思い出らしい。「そう、私たちは同じ娼館で出会った。私が23歳、セラチアが16の時よ。」 思い出すように目を閉じ、夫人は言葉を紡ぎ始めた。「私はいい働き口があると騙されて田舎から連れてこられたのだけれど、あの子は実の父親に売られて来たっていうじゃない。まだ幼さの残る彼女が不憫でね。お互い身の上話をしてよく二人で泣いたものよ。」 己が身を切り売りする毎日。地獄のようなその場所で、夫人とセラチアは傷ついた小鳥が身を寄せ合うようにして生きてきたのだろう。そんな二人に強い絆が生まれるのは全く不思議のないことだと思われた。「フィロウィという男の事を知っていますね?」「知ってるといえば知ってるけど、私は一度も会った事がないの。セラチアを通して話を聞いただけ。」「いつどこで出会ったのか、ご存知ですか?」「ビガプールには国王の誕生祭というものがあるの。広場には食べ物とワインがふんだんに用意され、町中の人が仮面を着けて踊る、とても賑やかなお祭りよ。その日ばかりは娼婦も貴族もなく、皆が音楽とお酒に酔いしれる。娼館の女たちは滅多に館からは出られないのだけど、年に一回、その日だけは外出が許されるの。祭りの間は門が閉められて街の外には逃げられないから。 娼館に来て何年か目の誕生祭の夜、セラチアが目を輝かせて戻ってきたのを覚えているわ。彼女は『私たちを助けてくれる魔法使いを見つけた』と言っていた。それがフィロウィよ。」「助けてくれる魔法使い・・・ですか。」「私もセラチアも美しかったから、娼館のなかでも特に高級とされているところにいたの。客はもっぱらお金持ちやお忍びの貴族。良いように聞こえるかもしれないけど、とんでもない変態も多くてね・・・つらかったわ・・・。年をとって容色が衰えれば安い娼館へ下げ渡されるだけ、少しでもお金になるうちは決して解放される事はない。私たちは終身刑を宣告された囚人だった。老婆になる前にそこを抜け出すには死ぬか、客に身請けしてもらうかしかない。けれど一度は身請けしてもらっても、金持ちは気まぐれだから飽きればまた売られるなんてこともある。 けれど魔法使いはこう教えてくれたそうよ。 『もし心底惚れさせることができたら・・・?』と。 彼にもらった惚れ薬を馴染みの客に飲ませたの。私はブルボン公爵に、セラチアはメディチ家の当主に。」 娼館で働いていたはずのセラチアが何故メディチ家当主の妻の座につくことが出来たのか、これで納得がいった。 フィロウィは火傷の痛みに悩まされず、再び日の当たる場所で活動できる美しい体を手に入れるため、ホムンクルスの研究を進めたかった。実験に必要な人間や動物、広い施設や物品を得るには強力なパトロンが必要だ。セラチアの心の闇を嗅ぎつけたフィロウィは惚れ薬を調合して渡し、金持ちの男に飲ませて身請けしてもらうよう唆したのだ。彼女をパトロンにするために。「その後セラチアは夫と共に故郷のバリアートに戻ったけれど、親交はずっと続いていた。彼女と私は血の上では他人だったけれど、辛いときも悲しいときも共に過ごしたんだもの、並みの姉妹よりも心の結びつきは深くて魂は双生児のように似ていたわ。 幸福だった数年が過ぎると、私たちはたびたび同じ不安に襲われるようになった。 『惚れ薬の効力はどのくらいもつものなの?』 『年を取って美しくなくなったら夫の気持ちが離れてしまうのでは?』 彼女は再び救いを求めに魔法使いの元を訪れた。するとその魔法使い、今度は交換条件を出してきたというの。これからずっと私たちの力になってくれる代わりにセラチアには実験施設を、私には生贄となる動物と人間を・・・。」 最初にとろける甘い菓子を与え、その味を忘れられなくさせてから自分の本性を見せる。フィロウィらしい汚いやり方だと連理は思った。「そして惚れ薬や若さを保つ薬、土地を肥やす薬を手に入れていた、というわけですね。」「そうよ。一度手にした幸せを手放すことなんて出来なかった。もう一度あの地獄へ戻るくらいなら死んだほうがまし!セラチアも私も、良心などかなぐり捨てて生きてきたの。そりゃ最初は胸が痛んだけれど、過去を取り戻すように美しい衣服や宝石でその身を飾り立てているうちに何も感じなくなっていったわ。何百という人間を殺す片棒を担いできたというのに私、申し訳ないとかそういうこと、全然思わないのよ?心を守るために欺瞞と虚栄を盾にしているうち、いつしかその全てが自分に同化していったんだわ。」 泣いているような、笑っているような、不可思議に歪んだ顔で夫人はこちらに視線を向けた。黄ばんだ白目の真ん中に浮かんだ瞳はどんよりと濁り、その奥を覗くと深い闇に引きずり込まれそうな気がした。「流れ者たちをどうやってバリアートまで運んだのですか?」「裏町の南東のはずれに一軒、誰も住んでいない古い家があるの。その家の地下に移動装置があるから、そこに集めて連れて行ったわ。『もっといい働き口があるから』と言うと彼らは一も二もなく飛びついてくるから人を集めるのに苦労はしなかった。あら・・・私、自分がされたのと同じ騙し方をしていたのね。うふふ、気が付かなかったわ。」「その家に案内していただけますか?」「案内などしなくてもすぐに分かるわ。もう使う事はないと思って戸口に木の板を打ち付けて塞いであるから。竈の灰の下に地下室の入り口があるの、探して御覧なさい。」 夫人は優雅な身のこなしで部屋の端にあるチェストまで歩いていき、取り出した錆びた銅の鍵をテーブルに載せた。どうやらその空き家の鍵らしい。連理はそれをズボンのポケットに滑り込ませた。「私の知っていることはこのくらいよ。ご質問は以上かしら?」「はい、ご協力ありがとうございました。」 連理が席を立とうとすると、夫人は扇を閉じて連理の額のすぐ前へすっと差し出した。「待って。こちらはちゃんと答えたのだから、お約束のものをいただきたいわ。」 すると比翼がすくっと立ち上がり、床が絨毯に覆われていない場所まで出るとこう言った。「何か容器を持ってきてください。」 ブルボン公爵がテーブルの上の呼び鈴を鳴らすと、黒いスーツの男が美しいクリスタルの瓶を捧げ持って入ってきた。「ではここで、失礼します。」 比翼は腰から細身の剣をすらりと抜き、おもむろに両手で構えると一気に左の胸を貫いた。「な・・・比翼っ!!!」 慌てて駆け寄ろうとした連理を目で制止し、ゆっくりと剣を引き抜くと血が噴水のように飛び散り白い床を濡らした。比翼は呻き声一つ立てず、胸から断続的に吹き出る血をクリスタルの瓶の細い口に伝わせて中に注いでいった。 心臓から噴き出る鮮血でいっぱいになった瓶に蓋をして床に置くと、夫人は奪い取るように飛びついた。夫人は部屋の外に出る二人に目を向けることもなく、うっとりした目で丹念に舌を瓶に這わせ、瓶の外側に付着した血を全て舐め取った後は床に零れた血に手を浸し、皺だらけの顔や手に丹念に塗り込め始めた。 全身を血で真っ赤に染めたブルボン公爵夫人は我知らず涙を流し、こう呟いた。「セラチア・・・私たち、なんて遠くまで来てしまったのでしょうね・・・?」⇒つづき
January 29, 2009
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屋敷を出たところで比翼は倒れた。すぐに血が止まったとはいえ、貧血を起こしているに違いなかった。傷口をハンカチで押さえ、道の脇にある芝の上に横たわって休んでいると顔を真っ赤にして連理が怒鳴り散らし始めた。「まったくなんて無茶をしたんだ!いくら僕たちエルフの生命力が強いといったって、心臓に剣を突き刺すだなんて無謀にもほどがある!」「ちょっと静かにしてくれよ・・・傷に響く・・・。」「さんざん僕のことを勝手だのなんだの言って怒っていたけど、お前のやっていることが一番先走りじゃないか!」「でも、こうでもしないとあのオバサンから話を聞けなかっただろ?」 比翼はブルボン公爵夫人に面会を申し込むため館の護衛に、『奥様にこうお伝えください。セラチアやフィロウィについて知っている事をお話しいただければ、エルフの血を差し上げます。』と囁いた。不老不死の妙薬といわれるエルフの血は生きた心臓から直接取ったもののみ効力があるとされている。しかし抜群の敏捷性を持つエルフを生きたまま捕らえ、その血を得る事は至難の業だ。もはや手に入らなくなったフィロウィの薬の代わりにそれを欲しがるはずとふんで、比翼は夫人に取引をもちかけたのだった。「だからといって認めることは出来ないよ、こんな・・・!」「まあいいじゃん、こうして無事だったんだしさ。それよりなんか飲みたいなぁ。あと食べ物も。血を作らなきゃ動けねぇよ。」 比翼の悪びれない笑顔に負け、連理はぶつぶついいながらもビスルを出るときに持ってきた干し肉と水を袋から出した。「これも飲んどけ。」「持ってきたの?これ。プッチニアが目を覚ましたら怒るぞ~。」 高いからとなかなか飲ませてもらえないフルヒールポーションを連理はこっそりプッチニアの鞄から失敬してきたらしい。暖かい薄橙色の瓶を傾けて中の液を口に含むと瞬時に食道から胃までカッと熱くなり、そこからじんわりと熱が広がって全身がポカポカとしてきた。「ところで俺の貴い献血分の話は聞けたんだろうな。」「ああ、僕の推理が間違ってなければ、だけどね。」 しばらく休むと青白かった比翼の顔に赤みが差し、問題なく動けるようになった。裏町に向かってゆっくりと歩きながら、連理がこれまでに考えたことを話し始めた。「公爵夫人から是が非でも話を聞きたかったのには訳があるんだ。」 春の日差しが暖かく降り注いでいたが、裏町には人一人見当たらない。寂れているのはバリアートも同じだが、建物が粗末なだけにより一層荒んだ雰囲気を醸し出していた。「セラチアに協力者がいてビガプールから実験に必要な人間を運んでいると推測したとき、最初僕は黄金色の小麦畑亭の通路を使ったと考えていた。しかし月に一度とはいえ人の出入りの激しい旅館の敷地内にある地下室へ何人もの人間が潜るのは目立つし、危険すぎる。したがって流れ者を人目に立たないように集め、送り出すことが出来る場所がこの裏町にあるはずだと考えた。 そしてそれがもし地下室を持つ古い建物であるなら、そこが昔フィロウィの家であった可能性が高いと。」「裏町に移動装置があるって考えたとこまでは分かったけど、何故地下室があればフィロウィの家になるんだ?」「比翼、お前がもし人に見られたくないものを隠すとしたら、どこに隠す?」 突然の質問に変な顔をしながら比翼はうーんと首を捻って、「え・・・?ん~、そうだな。誰も来ない山奥とかかな。」「そう、普通はそうするよね。秘密の施設なんていうものは街中よりも、比翼の言うように人気のない辺境の地に作る方がいい。どんな場所でも転移装置があれば特に不便はないからね。周囲に強いモンスターでも配しておけばまず一般の人間は近寄れないし、冒険者だって用もないのにそんな所はうろつかない。 しかしフィロウィは実験施設をわざわざバリアートの真ん中にあるメディチ家の地下に作らせた。セラチアの目が届きやすいというメリットはあるだろうけど、それ以上に屋敷の召使や出入りする村人など関係のない人間に発見されるかもしれないというデメリットの方が大きいはずだ。それなのに何故あんな場所に作ったのか、これといって合理的な理由が見当たらない。そこで僕はそれがフィロウィの癖のようなものじゃないかと思ったんだ。」「癖?」「意識せず行っている行動パターンといえば分かりやすいだろうか。たとえば僕たちが一緒に歩くとき、いつもこんな風に僕が左、比翼が右を歩いているだろう?特に意味はないけれど、なんとなくいつも自然にそのポジションを取っている。それと同じようにフィロウィはこれまでもずっと街の地下に住んで実験を行っていて、だからバリアートでも自然に地下に施設を作らせるこという選択をしたんじゃないかとね。」「あ~、確かに地下の穴倉を好みそうな暗~いやつだったしな。」「フィロウィは昔ビガプールの地下のどこかに暮らしていた。醜い火傷の跡を気にして人目を避けていたことから、それはおそらく明るく人通りの多い表通りではなく、こうした裏通りや裏町あたり・・・。」 裏町の南東のはずれに着くと、扉に板を十字に打ち付けてある家が目に入った。屋根が所々腐り落ち、一見したところもう何十年も手入れされていない廃屋のように見えた。「扉を開けるより、壁を壊したほうが早そうだな。」 家の裏に廻り、壁の木が腐りかけた部分を剣で穿り、人一人通れるほどの穴を開けて中に入った。家の中は薄暗くひんやりとした空気が重くたれこめ、埃と黴の匂いに満ちていた。ロープや擦り切れた袋が散乱しているだけで家具らしきものは一切見当たらず、唯一元は人家だったらしいと分かるのは北側の壁際に作られた竈だけだった。 公爵夫人が言っていたように竈の灰をのけると地下へ続く黒い扉が見えた。闇の中を手で探ると金属の梯子らしきものに触れたので、それを伝って慎重に下へ降りた。ランプをかざして周りを見回すと10人も入ればいっぱいになる程度の小さな空間になっていた。「そこにあるスイッチが転移装置みたいだね。」 連理は部屋の隅にある金属で出来た円盤状の物体を指し示した。「ああ、夫人が言っていた家に間違いないみたいだな。けど、ここに来てどうするつもりだ?もしお前の言うようにここが昔フィロウィの家だったとしても、何十年も前に引越しして荷物は全部バリアートに移したはずだろ?見たところ何にも無いみたいだしさ。」 比翼の問いには答えず、連理は懐から短刀を取り出し、その柄を使って地下室の壁をコツコツ叩き始めた。『また説明なしの独走が始まったよ・・・。』 呆れながら比翼はどかっとその場に腰を降ろした。「もう一つ質問だ、比翼。お前なら大事なものを隠すとき、どういう場所を選ぶ?」「大事なもの?そうだな・・・身近だと分かり易過ぎて見つかる危険が高いとは思うけど、かといってあんまり遠い場所だと不安だし、結局自分が目の届く範囲に隠すかなぁ。」「そうだね。それが当然の心理だと思う。」 柄は少しずつ右から左へ進み、隣の壁へと進んだ。「何故僕がここを探そうとしていたのか。 前に裏町を訪れたとき、ある流れ者がこんなことを言っていたんだ。 『数日前にベッドの下で変な音がしたんですが、ある冒険家のやつが原因を調べるとかいって、床を壊して入ったきり連絡がないんです。』と。 そのとき探していたのは炎のモンスターに関する情報だったから特に気にしてなかったけど、これはとても重要な事を示していたんだ。」 コツコツと一定のリズムを刻み、その音を注意深く聞き分けながら連理は話を続けた。 コン・・・。 3つ目の壁からは今までと違う軽い音がした。 連理は壁面に敷き詰められた石を一つ一つ押したり、また上下の壁の音を確かめたりし出した。「転移装置を使って来られるここは、フィロウィにとって近すぎず、且つ目の届く範囲だと言える。大事なものを隠すのには最適の場所だ。 フィロウィにとって大事なもの。失いたくないもの。それは今までに積み上げてきた実験データとその元になった本、そしてこれまでに調合した薬の作り方だろう。しかし膨大な時間を費やした貴重な情報の全てを、紙という脆く儚い媒体一つに託しておくのはあまりにも危険だ。ほんの数滴の水やわずかな火で失ってしまうかもしれないからね。それにもし忌まわしい実験のことが外部に漏れて身一つで逃げなければならなくなったとき、これまでの努力の結晶を全て置いて来なくてはならなくなる。あれほど悪知恵にたけた奴なら必ず別の場所にバックアップを取っておくはずだと考えた。」 ごりっ。 連理ははっとした表情で一つの石を撫でた。「新たに作らせるのではなく、自分の棲家だった場所をそのまま使えば隠し部屋の秘密は自分だけのものになる。」 剣の柄を使ってその石を押すと、ガガガガガと地響きがして壁全面がぐるっと回り、隠し部屋への道が開いた。そこには粗末な木のテーブルと椅子、そして奥の書棚にはたくさんの本や紙の切れ端がぎゅうぎゅうに押し込まれているのが見えた。「ここにプッチニアの飲んだ薬の作り方を書いた本かメモがあるはずだ。合成法が分かれば解毒薬が作れるかもしれない。」 あっけに取られた比翼が思わずまじまじと連理の顔を見た。「・・・惚れるぜ、相棒!」⇒つづき 一人は頭脳で、一人は体当たりで捜査を進める。 連理と比翼のコンビはこんな感じ。 すいません、『相棒』好きなんです・・・(*´ェ`*)<リンク> 大ファンであるブログ、『男は黙ってソロ狩り生活』の権藤金吾さんと相互リンクさせていただけることになりました。 こんな断末魔のブログに対し、なんとも有難いお申し出! 身に余る光栄です・・・☆.。.:*(嬉´Д`嬉).。.:*☆ 権藤さん、ありがとうございました ペコリ(o_ _)o))
January 29, 2009
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