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部屋で休んでいると、どうにもくもの巣にひっかかったような感触で、もぞもぞします。なんだろうと思っていたら、壁をつたってあるいてくる、蟻の列。これか、とわかりました。こんなところに出入り口です。蟻は、人間と違って、どこでも入り口、どこでも家になるし、まったく自由だなあと思いました。
今日は11日。あれから3ヶ月です。
あの日も同じように蟻は行列をなして歩いていたことでしょう。そしてもっともっと前、もしかしたら100年、1000年前も変わらずに。
さてさて、人間といったら、進んだのか戻ったのか、戻っているのか進んだのか、どうなんでしょう。
これが「私の」家、これが「私の」大事なもの、これが「私の」好きな人…。
人間はなんとややこしいことでしょう。
せめてこんな里に暮らしていたら、個人から全体へとまなざしが広がっていく学びを続けていきたいと思っています。
今日また新しく、テレビのニュースで感激した方が里を訪れて一泊されました。その方のご家族は福島県内にいまだ暮らしておられるとのことでした。その本人より、周りのほうが心配で仕方がないご様子でした。
「でも、いろんな情報で右往左往しましたが、結局、拭き掃除というとこに行き着いたんです。」
とそのお客様。
里でも、禅のお話から、今しかないということに行き着く過程で、(今のことに集中するという意味で)手元のことをする、拭き掃除だったり、食べるときは食べること、極端にいったら、呼吸一つなどといいます。原発の問題の中で、それと同じ言葉が出てきたので、びっくりしました。
「単純なんですよね。でもわかっているけれど、なかなか出来ないです。」
と再び、お客様。
「そうですねー。たぶんニュースで感激された方はたくさんいらっしゃると思います。これ(両手で大きな丸を作る)くらい。それから何か書き留めたり、調べたりした方がこれ(少し小さな丸)くらい。それから連絡をとったり訪ねてくる方がこれくらい。また自分の生活の中で何か取り入れて実践された方がこれくらいでしょうか?」
勝手な想像ですが、丸がだんだん小さくなっていきます。
ただもくもくと歩く蟻を見ながら、実はすごいよなあと思います。
(それでも、蟻の巣コロリのような撃退薬に手を借りているのですが…)