リハビリのため大阪府内の病院に入院中だった80代の父親を、新型コロナウイルス感染により今月16日に亡くした兵庫県阪神地域の50代女性が30日、神戸新聞社の取材に応じた。重症者病床が逼迫(ひっぱく)する中、女性は人工呼吸器を父親に使うかどうか、病院側から7回も問われた。「年齢もお高い」と暗に断念を迫られたことも。「私が『要らない』と言えば、父は死ぬ。元気だった父がコロナになり、人工呼吸器を使うことはそんなに悪いのか」と声を震わせた。(霍見真一郎)
【写真】人工呼吸器使用の意思確認書
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https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202012/p2_0013976178.shtml
欧米では、人工呼吸器をどの患者に優先的に使うかという議論が起きたが、日本ではこうした「順序付け」を行政は否定していた。
女性の父は大阪府在住。認知症の妻を7年ほど介護していたが、今年3月に妻が施設に入ってからは1人暮らしだった。10月22日に軽い脳梗塞で入院したが手術の必要はなく、リハビリのため11月10日に別病院に転院。同16日に医師と面談した際は、約1カ月後に退院できるとさえ言われていた。
同20日早朝、病院から女性に、父が発熱し、転倒したと電話が入った。医師は「誤嚥(ごえん)性肺炎による発熱で、ふらついたのだろう」と話したが、昼すぎ、同じ医師から焦った声で「検査でコロナの陽性になった」と連絡があり、再転院することに。後に病院では複数の感染者が確認された。
人工呼吸器の使用確認が初めてあったのは翌11月21日。転院に際した意向確認との趣旨だった。本人も周囲も強く使用を希望した。
府内の中等症以下に対応する病院に移ると、転院先の医師から再び呼吸器の確認があった。父も女性も使用を望んでいるのに、その後も病院側から何度も確認され、「(父親が)不使用を承諾した」と迫る医師も。病状は徐々に悪化し、女性も追い詰められた。「『ほかの人に譲れ』と言われているようで、電話が怖くなった。でも電話を取らないと、お父さんが死んじゃうことになる」
12月1日、女性が「『もう使わなくてもいい』と言ってしまうかも」と漏らすと、未成年の娘が「おじいちゃんとやりたいことがある。振り袖姿を見せたいし、一緒にお酒も飲みたい」と猛反対した。その日、病院の協力で、携帯電話の画面越しに病室の父と話した。酸素マスクを着けており、聞き取れたのは「世話になった」という言葉。女性は言葉が出ず、「お父さん、お父さん」と呼び続けた。同日、重症者用の病院に再び転院した後、ようやく人工呼吸器が装着された。
亡くなったのは12月16日。未明の電話で病院に駆け付け、やせ細った父の姿をガラス越しに見た。「お父さん来たよ、ここにいるよ」。退院してもいいはずだった日は、命日となった。
その夜、1人の高齢女性が命を落とした。兵庫県内で新型コロナウイルス重症患者を受け入れる最大の機関、神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)。11月9日に運用を始めたプレハブの臨時病棟で、医師や看護師らが昼夜を分かたず、見えないウイルスに立ち向かう。だが救えない人も出ている。当直医は、高齢になるほど救命率が下がることを日々痛感し、「このウイルスは無情だ」と語った。
病棟内で記者1人の取材が許可され、中央司令室に当たるスタッフルームに入った。取材できたのはクリスマスの25日、午前8時すぎから翌26日午前9時すぎまでの25時間。兵庫の1日当たり新規感染者が232人と、初めて200人を超えた日だった。前日のPCR検査や2週間の行動歴調査が課せられ、立ち入りはグリーン(清潔)ゾーンのみに制限された。
臨時病棟は2棟に分かれ、人工呼吸器などを前提とした重症者用のA病棟は個室14床を備える。中等症用のB病棟は4人部屋を中心に22床がある。25日は昼にA病棟が満床となり、過去に例がない10人が同時に人工呼吸管理となった。
午後8時ごろ、人工呼吸器につながれていた高齢女性が、ひっそりと人生の幕を閉じた。しかし、記者は新たな患者の受け入れ準備でざわつく病棟に気をとられて気付けなかった。
カメラには、午後11時前にその病室に職員が集まり、ビニールのようなものを扱う写真が偶然収められていた。排せつ介助などをしているのかと思っていたが、それは、遺体を透明の納体袋に納める作業だったと後に知った。
衝撃を受けた。昼間、職員がこの女性の髪の毛を洗い、ドライヤーで丁寧に乾かしていた様子を覚えていたからだ。人工呼吸が長くなり、本人はベッドで眠り続けていたが、治療だけでなく「人として」のケアも受けていた。「気持ち良くなってもらいたい」。そのときの看護師の声も耳に残っていた。
感染防止のため霊安室に移せず、女性は病室に残された。しかし数時間後、新たな救急搬送などに備え、ベッドを空けるよう方針が変更される。翌日葬儀会社が迎えに来るまでB病棟に安置すると決まった。先ほどまで、そこにあった命。ぽかんと空いた病室を、看護師が消毒する姿が悲しかった。(霍見真一郎)
「痛い」とも「苦しい」とも訴えず、静かに眠っている患者。神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の臨時病棟は25日、人工呼吸器を着けた新型コロナウイルス患者が過去最多の10人に上った。鎮静剤が投与された重症者に意識はないが、体内は懸命に抵抗を続けている。声なき声に耳を澄ませ、治療に当たる医療従事者も心身をすり減らし、攻防を続けている。
■重症用A病棟
臨時病棟2棟のうち、重症者用のA病棟には、7床ずつ並んだ個室に挟まれるようにスタッフステーションがある。中等症用で大部屋がメインのB病棟と隣り合うが、規模ははるかに大きい。全14床の様子を映し出す画像や、患者の計測数値がリアルタイムで壁などのモニターに表示され、医師が治療方針を指示し、病室を回る看護師が異変を報告する。ステーションに近い病室には最重症の患者が入り、窓越しに見守れる。
交代で、防護服を着た看護師らが病室に入っていく。暑く息苦しい中、血圧や脈拍、呼吸状態を示す数値だけでなく、ナトリウムやマグネシウム、酸素の血中濃度など、大量のデータの推移を分析しながら薬剤や機器を微調整する。「次に患者に何が起こりそうか、予測する力が問われる」と藤原のり子看護部長。職員同士が会話する声は、感情をそぎ落としたように硬い。
■難航した挿管
取材した25日は、朝は重症病床残り1床でスタートしたが、昼すぎに転院があり、満床となった。運ばれてきた女性患者は呼吸状態が悪く、すぐさま人工呼吸器の装着が決定。気管に挿管されると当面鎮静剤で眠ることになるため、病棟の外にいる親族と画面越しに短時間会話が交わされた。「頑張ってよ」「うん」。励ましに、女性は苦しげに応えた。
気管挿管は難航した。切開による気道確保の可能性もちらつく中、多くの職員がサポートし、20分以上かかって成功した。「コロナ患者の挿管の中で最も危険だった」。急きょ応援に入った当直医が後に語った。
その直後、別の病院からまた転院の依頼が入る。ベッドがない。どの患者をB病棟に出すかで医師と看護師が強い口調で議論する。「A病棟に次の1床をどう作るか」は、何度となく議題に上った。
■24時間以上勤務
未明のA病棟には、「ピピピ」というかすかな機械音と、クリックする音だけが聞こえる。職員は、日勤帯の23人に対し、夜勤は15人と少ない。照明が落とされた中、防護服を着た看護師が患者のケアに回る。
誰も見ていない病室で、患者の脚をそっと両手で持って曲げ伸ばしする看護師がいた。人工呼吸器が外れたときに少しでも早く社会復帰できるようにしているのだと別の看護師に教えられる。30代の男性看護師は言った。「命を任されているから」。真摯(しんし)に患者と向き合う姿に、ただ頭が下がった。
朝になり、引き継ぎで職員があふれる。静かに眠る患者が映ったモニターとのギャップが際立った。早晩A病棟の重症者があふれ、B病棟にも入れなくてはならなくなるかもしれない。
女性の当直医に「もう満床だから受け入れられない、と言うことはできないのか」と尋ねると、驚いたような顔で一瞬、間が空いた。「ここが取らないって言ったら終わりでしょ」
彼女は25日朝から、仮眠を挟んで24時間以上働いた。(霍見真一郎)
2月25日に新型コロナウイルスの陽性判定を受け「釜山(プサン)47番患者」になった釜山大学機械工学科のパク・ヒョン兼任教授(48)。パク教授は自身の闘病記をソーシャルメディアに上げ続け、症状と治療過程、後遺症などを伝えてきた。彼のこうした記録と断想をまとめた著書『人生がある限り希望はある』が今月初めに出版された。「新型コロナウイルス後遺症、その230日間の記録」という副題に見られるように退院後の話の割合が多い。
パク教授は2月にのどのかゆさと乾いたせき、呼吸困難で病院を訪れ陽性判定を受けた。すぐに集中治療室隔離病棟の陰圧病室に入院してウイルスと戦ったが、症状は改善と悪化を繰り返した。2度の陰性判定を受けた後3月5日に退院したが、薬の副作用と後遺症などを感じた。新型コロナウイルス流行初期だった退院当時、韓国政府とメディア、医学専門家らが出す相反した情報で混乱が加重されると、自身の経験談をメディアを通じて公開した。
4月に健康がさらに悪化し海外の情報を探し始めた彼は、新型コロナウイルスに後遺症があるという事実を知ることになった。また、5月になり欧州と米国、中国などは後遺症に対する情報を提供し、医療機関も体系的な治療を始めたのに対し、韓国では後遺症関連情報を得られず、自身の経験と海外情報の要約文をソーシャルメディアに上げ始めた。8月には自身が運営するフェイスブックで、頭がぼんやりとし記憶と集中が困難になるブレインフォグ現象、胸と腹部の痛み、肌の変色、慢性疲労など自身が経験した5種類の後遺症の症状を知らせたりもした。
韓国はまだ新型コロナウイルス後遺症患者に正しい役割をできずにいるというのがパク教授の指摘だ。彼は「政府とメディアの関心は後遺症を利用した恐怖心を通じた感染予防に焦点が合わされただけで後遺症に対する体系的な情報提供や治癒には関心が依然としてない」と言及した。その上で「(韓国は)感染症患者を確診者(感染者)と呼んで社会的差別、偏見に苦しめさせる。他の国々は後遺症を考慮して使わない完治という表現を使う」と付け加えた。
パク教授は今後後遺症患者にサービスを提供するアプリケーションなどを作るのが目標だ。彼は著書で「情報の透明な共有が世の中をより良くさせると信じる。患者としての経験と韓国ではまだ得ることができない後遺症とその治癒に関する海外の保健当局と医療機関で提供する医学情報を共有してきた」と話した。続けて「こうした情報共有が各種陰謀説を量産するかと思えば政府の完璧なK防疫の粗探しをすると非難された。生きやすい社会は自分と異なる考えを攻撃するのではなく相互尊重する時にできあがる」と強調した。
立憲民主党長野県連は30日、新型コロナウイルス感染症で27日に死去した羽田雄一郎参院議員の男性秘書1人が陽性になったと発表した。
県連によると、男性秘書は長野市内で23日に開かれた常任幹事会の際、羽田氏の送迎で運転手を務めていた。常任幹事会やその後行われた記者会見について、保健所は「濃厚接触者なし」と判断したが、出席者は順次検査を受けており、30日時点で結果が出た人はすべて陰性だったという。
(CNN) 新型コロナウイルスが最初に発生した中国湖北省武漢市の実際の感染者数が、確認済みの感染症例として公式に発表されている数のおよそ10倍に当たる50万人近くに達している可能性があることがわかった。中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)の調査で明らかになった。
CCDCは、武漢市と湖北省のその他の都市、さらに北京、上海、広東省、江蘇省、四川省、遼寧省に住む3万4000人を対象に調査を実施し、新型コロナウイルスの感染率を調べた。
その結果、人口1100万人の武漢市の住民の抗体陽性率は4.43%だった。しかし、武漢市保健委員会によると、武漢市が27日時点で報告していた確認済みの新型コロナウイルス感染症例の累計はわずか5万354件だ。
この調査はあくまで、血清のサンプルから人々が新型コロナウイルスに対する抗体を持っているかを調べることにより、各地域の人口における過去の感染規模を推測するのが目的。この調査結果が特定の地域で何人の人がコロナウイルスにさらされたかの最終的な統計とみなされているわけではない。
CCDCによると、この調査は中国が「コロナ感染の第1波を封じ込めた」1カ月後に行われたという。同調査では、武漢以外の都市・地域の感染率は極めて低く、湖北省の武漢以外の都市では、新型コロナウイルスに対する抗体を持っている人の割合はわずか0.44%に過ぎなかった。
また湖北省以外では、抗体が検出されたのは1万2000人以上の住民のうち、わずか2人だった。
これまでよりも感染しやすいとされる変異種。新たに、ナイジェリアで、3種類目が発生した恐れがあることが分かりました。
一方、中国の東北部では、再び感染が相次いで判明し、当局が「戦時状態」を宣言する事態となっています。
※詳しくは動画をご覧ください(12月25日放送『news every.』より)。
中国の首都、北京で新型コロナウイルス感染者が続出し韓国人が多く暮らす朝陽区望京地域もパニック状態となった。防疫当局は望京の住民全員に新型コロナウイルス検査を受けるよう通知した。日本では新型コロナウイルス新規感染者が4日連続で最多記録を塗り替えた。日本政府は28日から来年1月末まで一部ビジネス関連入国を除きすべての外国人の入国を制限することにした。
中国国家衛生健康委員会が27日に明らかにしたところによると、26日に遼寧省で7人、北京で5人の12人の新規新型コロナウイルス感染者が発生した。別途集計する無症状感染者も4人出た。北京の感染者は全員が順義区に居住しているものと把握された。これに伴い、北京市当局は順義区の住宅団地などをはじめと100万人余りを対象に新型コロナウイルス検査を行っている。
順義区に住むある20代の感染者が、韓国人が多く居住する望京の米国系企業で働いていた事実が確認され望京地域の住民らも27日までに全数検査を受けることを通知された。これに対し僑民はパスポートなどを持ってマンション団地などに設置された臨時施設で検査を受けた。
日本では最近新型コロナウイルス感染者が急増している。23日に3270人、24日に3740人、25日に3831人と続き26日には3881人の患者が発生するなど連日最多を記録している。最近英国発の新型コロナウイルス変異種の感染事例まで確認され、日本政府は来年1月末まで外国人の入国を原則的に拒否することにした。ただ韓国を含む11カ国と地域を対象にする「ビジネス往来」は続く。
英国で初めて見つかった変異種は欧州だけでなくアジア、オセアニア、北米など各国に広がりつつある。カナダではオンタリオ州で変異種の感染者が確認され当局が防疫を強化している。中東のレバノンでも変異種が発見された。
英国政府は変異種が急激に広がっていることから、26日にサセックス、オックスフォードシャー、ノーフォーク、サフォークなどイングランド東南部に最高レベルである第4段階の新型コロナウイルス対応措置を追加で下した。これに伴いイングランドの人口の40%に達する2400万人ほどが事実上自宅での足止めされることになった。第4段階の状況では非生活必須業種の商店と体育館、美容室などが閉鎖される。テレグラフは「英国政府が来月4日からアストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスワクチンの普及を始めるなどワクチン接種を急いでいる」と報道した。
欧州連合(EU)加盟国も27日からファイザーとビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を本格的に始めた。EU加盟27カ国は人口の70%まで接種するという目標を立てた。まず医療従事者と高齢者、療養院入居者などを対象にワクチン接種が行われる。
※本記事の原文著作権は「韓国経済新聞社」にあり、中央日報日本語版で翻訳しサービスします。
「日本のクルーズ船よりひどいことが、療養施設では起きています。閉じ込められ、死にゆく療養施設の患者らを救出してください」
■「新型コロナに対する不安」韓国が世界14カ国で1位、日本は?
ソウル市九老区のミソドゥル療養病院は、コロナ患者が発生した今月15日からコホート(外部出入遮断)隔離されている。看護師、医師、施設職員などおよそ50人が2週間、自分たちの寝食を院内で解決しつつ重患者らの面倒を見ている。自分たちもいつ感染するか分からない状況だ。
同病院のチェ・ヒチャン神経課長は27日、青瓦台(韓国大統領府)の請願掲示板に切迫した訴えを書き込んだ。「日本の遊覧船は日本政府の判断の誤りでコホート隔離され、712人が感染して13人が死亡した。これは世界から非難されたが、これよりひどいことが韓国で起きている」と記した。同病院の入院患者340人のうち、半数を超える175人がコロナにかかった。このうち46人はこれまで病床の配分すら受けられず、そのまま隔離している。療養施設にいるのは、基礎疾患を持つ重患者が大部分だ。病床で死ぬ日だけを待ちながら放置されている、というのだ。
チェ課長は29日、「施設が隔離措置されると、およそ100人ほどいた看病士(ヘルパー)らが、感染を恐れてみんな病院を去った。おむつの交換、食事などあらゆる患者の世話を看護師と医師がやっている状況」とつづった。感染判定を受けた看護師だけでも9人に達するなど、「医療陣の疲労は極限に達している」とした。にもかかわらず、これまで韓国政府や自治体の支援は全くなかったという。自分で生き残れというわけだ。
陰性と判定されて施設に残っている患者も80人ほどいる。チェ課長は「国民請願の文をアップしたので、きのう保健所が施設内の確定患者を10人ほど、よその病院に移送してくれた」とし、「医療人員の支援も約束したが、まだ特に知らせは聞いていない」と語った。この施設に事実上閉じ込められている46人の確定患者が、ほかの陰性の人まで感染させ、「追加感染が発生し続けている」とした。
チェ課長は「韓国政府は『それでも君らは病院なんだからどうにかしてがんばれ。急を要する患者は引き取ってやる』というようなことを言う」としつつ、「感染症を治療する力がない、ほかの一般病院より医療施設も到底足りない療養施設に、政府がこんなことを言えるのか」と訴えた。
思想・意見・主張・感情などを表現し、発表する自由、いわゆる「表現の自由」は守られるべきものだが、その表現のために他者を過剰に攻撃したり、威力業務妨害まがいの行為を繰り返したりするのは、彼らにとっての「正義」のためとはいえ許されることなのだろうか。ライターの森鷹久氏が、「コロナは風邪」と主張し、新型コロナウイルスを新たな感染症として考えること自体を拒否するグループによって生じている混乱と、戸惑う人々についてレポートする。
【写真】民間の新型コロナウイルスPCR検査センター
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https://www.news-postseven.com/archives/20201227_1623100.html?IMAGE&PAGE=2
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12月、ある平日のお昼過ぎ。客足がパタリと止んだかと思うと、外が少し騒がしくなったことに気がついた。こっそり店外を覗くと、プラカードを持った男女が数人、通行人に向かって何か叫んでいるのが見えたという。宗教か何かの勧誘か……にしては騒々しい。少し観察して、思わず「あっ」と声を上げた。
「男の人たちが大声で『コロナは風邪です!』と叫んでいました、マスクもしないで。テレビで見かけたあの集団だと思うと本当に怖くなりました。一刻も早くどこかへ行って欲しいと、店のみんなでじっと身をすくめ、カウンターの中に隠れていたんですよ」
こう話すのは、東京・港区のとある飲食店従業員女性(30代)。店の入るビルに「新型コロナウイルス」の検査センターがオープンしたのが12月の初頭だった。自覚症状のあるコロナウイルス患者がビルにたくさん押し寄せてきたらどうしよう、当初はそんな不安もあったというが、検査に来る人たちとビルやテナント関係者とのトラブルはなく安心していた。そんな最中に起きたのが、冒頭の騒動である。
「うちのお店に入ろうとするマスク姿のお客さんや搬入業者さんに向かって『マスクなんかするな』と声をあげ、お客さんは逃げるように立ち去っていきました。近くの店舗の男性従業員が文句を言いに行くと、マスクもせずに至近距離に近づいてきて、コロナを信じているのか、情報弱者だと、集団で男性数人に詰め寄られていました」(飲食店従業員女性)
近くのビルのガードマンの男性(50代)は、この一部始終を目撃。自身の管理管轄であるビルに近づかれてはたまらないと思い、集団の一人と話をしたという。
「集団は、都知事選にも出馬した経験のある男性の支持者。新型コロナウイルスは単なる風邪で、恐れる必要はなく、検査場の前でみんなに教えてあげているんだ、という主張をしていました」(ガードマンの男性)
夏頃、渋谷駅前などで「コロナは単なる風邪だ」という主張を掲げ「クラスターデモ」なる迷惑行為を展開していた集団の一部が、今なお、都内を中心に「活動」を行っているものと見られる。秋から冬にかけて、都内では渋谷だけでなく新宿や池袋、中目黒駅前などでも姿が確認されているが、その勢いは、ネットを介在して全国に広まりつつあるという。騒動を取材している全国紙社会部記者が解説する。
「SNSを介し、コロナウイルスなんか大したことがないという仮説に共鳴する人々が集まり、全国で『活動』をしています。北海道や福岡でも、小規模の『活動』が確認されており、それぞれの場所で大なり小なりトラブルになっている」(全国紙社会部記者)
この集団の代表者や関係者に取材を試みた新聞社、テレビ局もあったというが、あまりに荒唐無稽な主張を繰り返すだけでなく、記者の個人情報などが守られず危険が生じかねない、などの恐れもあったことから、各社はすでに取材を諦めているという。
都内にある飲食店の男性店主(60代)もつい先日、件の集団による活動の「被害」にあったと訴える。
「近くにコロナの検査センターができるという話があり、その近辺に『コロナは風邪だ』と叫ぶ男女が現れました。そこは運悪く、私の店の目の前。昼間の二時間ほど居座られ、その間、客は一人も入ってこなかった。文句を言おうものなら何をされるか、恐ろしくて何もできない。台風と一緒で、ただ過ぎ去るのを待つしかない」(男性店主)
コロナは風邪、という主張をしたければすれば良い、と個人的には思う。ただし、その主張をするために他者の様々な自由を奪っている、そしてそのことに気がついているにも関わらず押し通そうとしては、彼らの言いたいことの正当性を疑われても仕方が無い。それに、新型コロナウイルスに怯えている人々から見れば「テロ集団」と変わらないほど恐ろしいだろう。しかし、「表現の自由」を掲げられると、全体主義国家ではない我が国で、こうした行為を取り締まることは難しい。
全国各地に、民間の新型コロナウイルスの検査センターが続々オープンしているが、それぞれの場所にこうした集団が現れ、住民達とトラブルが起きるのではないか。検査センターを開設する団体や企業、近隣住人の間からは、懸念の声が相次いでいるという。
「PCR検査は必要ない!」「マスクはいらない!」などと主張し、東京・渋谷で毎週末、クラスターフェスと称する抗議デモを開催していた国民主権党党首の平塚正幸容疑者(38)が23日、建造物不退去容疑で警視庁駒込署に逮捕された。
調べによると、平塚容疑者は同日、東京・文京区の日本医師会館の敷地内で「コロナはただの風邪だ!」「医師会が騒ぎ立てるのはやめろ!」と抗議活動し、警察の退去要請に応じなかったため、午後2時半ごろ、現行犯逮捕された。容疑を否認しているという。
同容疑者は社会活動家のユーチューバーとして、ネット上で人気を集め、昨年の参院選ではNHKから国民を守る党からアンチ枠として、千葉選挙区で立候補も落選した。その後、同党とケンカ別れしていたが、政治団体「国民主権党」を自ら結党し、都知事選に出馬。「コロナは本当に怖いウイルスなのか?」「ウイルス騒動は政府とメディアに意図的に作られた」などと主張していた。
都知事選最中から週末に渋谷ハチ公前広場で、「密になろう」「マスク、ソーシャルディスタンスは必要ない」と音楽フェス形式の集会を開催。アンチやユーチューバーとの間で毎回、衝突が繰り広げられ、双方に逮捕者が出る騒動となっていた。同容疑者自身もユーチューブのアカウントが停止となっていた。
11月になると、同容疑者は都議会で都民ファーストの会が、コロナ対策で罰則付き条例案を発表するや、都議会前や都民ファの議員宅前での抗議デモを開催し、活動を先鋭化させていた。今回の医師会への押しかけも同様だったとみられるが、敷地内での居座り行為は行き過ぎと判断されたのか、逮捕となった。
東京スポーツ
既に複数の新聞で報じられ、Twitterのトレンドに上がるほどの話題になっているため、多くの方がご存知だと思いますが、「コロナはただの風邪」でお馴染みの「国民主権党」党首の平塚正幸が、12月23日、日本医師会館への建造物不退去容疑で現行犯逮捕されました。かつては「NHKから国民を守る党」の公認候補で、立花孝志の手法を取り入れて活動していることもあって、これまでもたびたび記事にしてまいりましたが、とうとう党首の平塚正幸が逮捕される事態となり、今後、活動がさらに過激になってしまう可能性があります。
何度も迷惑行為を重ねてきた国民主権党
これまで「国民主権党」は何度も迷惑行為を重ねてきました。
渋谷のハチ公前で、マスクをせずに密になろうと呼びかける「クラスターフェス」をはじめ、濃厚接触者のPCR検査を義務化しようと提案する都議の自宅を突撃したり、その自宅周辺の閑静な住宅街でデモをしたり、はたまた今回のように日本医師会館に突撃したり。国民主権党は、そのたびに近隣の住民とトラブルになり、渋谷では暴力を振るわれただの、水をかけられただの、小さなことでも警察に被害届を出しに行き、中目黒駅では「うるさい」と訴えた近所の住民男性とモメた際、プラカードを破壊されたとして器物損壊罪だと警察に泣きつき、どんなに小さなことでも警察を利用してきたのです。
そのたびにマスクをしないで警察署に行くのですから、「警察の機能を止める気なのか」という話なのですが、このたびの日本医師会館への不退去容疑では「これくらいで逮捕されるなんて不当だ」と訴え出しました。まさに「自分はやってもいいけど、他人がやったら警察沙汰」という立花孝志のスタイルをそのまんま踏襲しているのが「国民主権党」なのです。
「遺伝子組み換えニンゲンになる」という主張
かねてから「コロナはただの風邪」だと訴えている国民主権党ですが、彼らは本当に「コロナはただの風邪」だと思っています。なんなら、新型コロナウイルスというものは存在しないと思っていて、メディアが絆を破壊するために作り出している架空のウイルスだと信じています。
しかし、新型コロナウイルスに関しては常にゲノム解析をされていて、どこでどんな変異が起こっているのかまで、キッチリと突き止められており、目に見えないウイルスの正体はハッキリと掴んでいます。「新型コロナウイルスなんて、大したことがない」と考えている人はそこそこいるかもしれませんが、国民主権党の主張は「新型コロナウイルスは存在しない」なので、そう思っている人はそこまで多くないと思います。
党首の平塚正幸が逮捕されて、国民主権党のメンバーは駒込署の警察官に向かって持論を展開していたのですが、よく話を聞いてみると、トンデモな主張をたくさんしていることがわかりました。
例えば、新型コロナウイルスのワクチンは遺伝子組み換えワクチンであり、こうしたワクチンを接種すれば遺伝子組み換えニンゲンになってしまう。遺伝子組み換えニンゲンになってしまった人間は早く死ぬ。あるいは、マスクをつけさせられた子供たちは自分の吐いた二酸化炭素を吸わされている。二酸化炭素を多く吸わされると子供たちは不健康になるといいます。
いずれも、少し調べればそんなことはないとわかりそうなものですが、深刻なのは、彼らが「調べた末にここに辿り着いている」ということです。これだけ情報が溢れているのだから、ネットで少し調べればわかるだろうというのは根本から間違えていて、彼らはネットで調べた情報をまとめていったら「コロナはただの風邪」に辿り着き、本気で「子どもたちの未来を守るため」に活動しているのです。このご時世にこんなことを言ったら注目されるのではないかと思って炎上目的でやっているのではないからこそ、頭の痛い問題なのです。
日本医師会が訴える医療崩壊の危機
もし百万歩譲って、彼らの主張通り、これがただの風邪だったとしても、その風邪をこじらせ、重度に肺炎になったりして、死にかけた状態で病院に運び込まれる人が後を絶たないのであれば、病院は大変なことになります。
病院の使命は、風邪だろうが、盲腸だろうが、とにかく命を救い、健康な状態に戻ってもらうことですから、死にかけている人がいたら、どんな病気であれ、命を助けなければなりません。また、病気でない人を病気にしてしまってはいけませんので、院内感染にも気を付けなければなりません。
今の日本は、今の医師や看護師の数ではとても手が足りないほどたくさんの患者が病院に押し寄せつつある状態で、このままでは新型コロナウイルスの患者だけでなく、普通の病気、時には出産みたいなことまで手が回らなくなり、本当だったら助かるはずの赤ちゃんの命さえ失われてしまう可能性がある。だから、日本医師会をはじめ、医療従事者たちの団体が声を揃えて、「新型コロナウイルスの感染者がこれ以上増えないように手を打ってくれ」と訴えているのです。
風邪をこじらせただけだとしても、風邪をこじらせないでほしいというシンプルな話です。にもかかわらず、そんな切実な訴えをしている日本医師会に、空気も読まずに突撃する国民主権党の御一行。これまでの数々の迷惑行為を考えれば、ここらで止めておかなければならないというのが警察の判断でしょう。これまでずっとずっとずーっと大目に見てもらっていたけれど、いよいよ警察署の隣で、世間様にも申し訳ないようなトラブルを起こされてしまっては、警察も動かざるを得ないのだと思います。
マスクをしている姿を仲間に見られてはいけない
元N国党公認候補の平塚正幸が逮捕されたとの一報を受け、日頃からN国党の活動を肯定的に紹介しているようなYouTuberたちも集まり、警察署の前で抗議する国民主権党の様子を配信していたのですが、僕はN国信者の間ですっかり有名人なので、N国信者のYouTuberがコラボをしてほしいと言って寄ってきました。そんなYouTuberと話をしていたら、国民主権党の支持者の男性も寄ってきてしまったのです。
一人だけマスクをせずに近寄ってきたので、ソーシャルディスタンスを保ち、マスクをつけるように言うと、男性はポケットから所々黒ずんだヨレヨレのマスクをつけて、こちらに話しかけてきました。いつからポケットに入っていたのかは知りませんが、思わず「マスクは持っとんのかい!」とツッコみそうになりながらも、一応はマスクをつけてくれたので話に応じていると、今度はその男性が、会話の内容は明らかに僕に向かって話をしているはずなのに、空気に向かって話を始めたもので、何をしているのかなと思ったら、国民主権党のメンバーに見られないように、一生懸命背中を向けていました。思わず「コソコソしてるんじゃねぇよ!」とツッコもうと思ったら、空気を察したのか、申し訳なさそうに「マスクしている姿を見られると……」と言った国民主権党の支持者の男性。マスクをつけているところを見られたら破門されるかもしれないと怯えている時点で、カルトだとしか言いようがありません。
師匠の立花孝志は平塚正幸を大絶賛
これだけ新型コロナウイルスの感染が深刻化しているのに、「コロナはただの風邪」などと言いながら、毎日のように街角に立ち、迷惑行為を繰り返してきた国民主権党の代表・平塚正幸が逮捕されたというニュースに、多くの市民が喜ぶ中、師匠にあたる立花孝志は、逮捕された平塚正幸の行動を大絶賛。これが年間1億6000万円もの政党交付金が支給されている国政政党の代表です。
”今日の不退去罪については、まあ、計画通りにやったんだろうなと。あれ一人だけ、あの、平塚君が医師会の敷地内に入って抗議しようとしていたんですけど、もうあれまあ、抗議するんだったら外からやればいいわけであって、敷地内に入るっていうことはもう当然、不退去罪、あるいは住居侵入罪に該当することはもう明らかですから、まあ、わざと逮捕されるためにやったんだろうなと。あれがわざとじゃなければ相当バカだし、わざとやったんだったら、なかなか立派な革命家だと思います。これによってね、またツイッターのトレンドにも上がってるっていうことで、彼らの主張、『コロナは風邪』っていうのは、僕べつに『コロナは風邪』に関してはその通りだと思ってますんで、えー、彼らの主張はべつに間違っているとは思ってないですね”(立花のYouTubeより)
平塚は「立派な革命家」?
犯罪行為をも「立派な革命家」だと絶賛する立花孝志。そのDNAは平塚正幸にも確実に受け継がれていると言ってもいいのではないでしょうか。まさに今、新型コロナウイルスと最前線で戦ってくれている医療従事者の皆さんに対し、砂をかけるような行為をしているにもかかわらず、それより革命が絶賛される地獄的な展開。平塚正幸率いる「国民主権党」には1円たりとも税金が流れていませんが、立花孝志には年間1億6000万円、さらに立花孝志を尊師として崇める地方議員にも2億円近い議員報酬が支払われているのですから、これほど無駄なことはありません。
”とにかく平塚君が理解して、これをわかってやって、わざとね、もうあのYouTubeのチャンネルをBANされて、注目を集めるためにわざとやったと言うんだったら、とってもカッコイイ革命家であります”(立花のYouTubeより)
法の一線を超えるような迷惑行為まで「カッコイイ革命家」だと言って称賛してしまう立花孝志。平塚正幸も平塚正幸で、こうした尊師のお言葉をありがたく拝聴するのか知りませんが、犯罪行為を褒め称える国政政党の代表がいるということは、皆さんに知っておいていただきたい真実です。
これからも国民主権党は活動を続ける
党首が逮捕されたことを受け、国民主権党はクリスマスイブの12月24日にも日本医師会の前で抗議デモを実施すると発表。さらに、平塚正幸に弁護士をつけるため、200万円を緊急募集すると言い出しました。
これだけ医療が逼迫する状況になっても「コロナはただの風邪」だと信じ込んでいる人は全国にたくさんいるため、この200万円もすぐに集まってしまう気がしますが、余ったお金は彼らの活動活動に使われるのでしょう。
抗議に参加していた男性は「私たちはみんな、貯金を切り崩しながら、ギリギリの生活をしながら抗議をしている」と主張していましたが、ネットで検索をして、ここに辿り着いている人たちなので、当然、社会で活躍してバリバリにお金を稼いでいる人たちには見えません。そうなると、今後も逮捕されたことをネタにお金を募るという、かつての過激派団体がやっていたようなことを踏襲する形になるでしょう。
新型コロナウイルスの感染が止まり、世の中が今まで通りに動き出すようになれば、この手の団体もいなくなるのかもしれませんが、新型コロナウイルスの流行に合わせ、みんなが感染しないように気を付ければ気を付けるほど、この手の団体が活発になります。とにかく一般市民の我々にできることは、なるべく人との接触を避け、なるべくフードコートなどでの食事も避け、よく手を洗うこと。私たちが手を洗えば、彼らがカルト団体から足を洗う日が近くなるかもしれません。
選挙ウォッチャーの分析&考察
まるでクリスマスを祝うかのごとく、国民主権党のプラカードが電飾でピカピカ光っていましたが、クリスマスイブとなる12月24日の東京都の新規感染者数は888人と過去最多を更新しました。
これから年末年始を迎えるにあたり、医療従事者が手薄になりそうな時に、患者の受け入れが止まってしまいそうなほど大量の新規感染者が病院に押し寄せている現実。この状況をどうにかするためには、一人一人が感染しないように気を付けるしかないのですが、「マスクは必要ない」「ソーシャルディスタンスを取る必要はない」「3密を避ける必要はない」「自粛なんてクソくらえ」と言って、日本医師会にご迷惑をかけている国民主権党の皆さん。悪い子の所にはサンタクロースが来ないと言いますが、留置所の中にサンタさんが来ないでしょうから、38歳のオジサンの枕元には何もないことでしょう。相変わらず、ごめんなさいをしていないようなので、そうなるとプレゼントされるのは、期限いっぱいいっぱいまでの取り調べとなり、除夜の鐘を駒込署の中で聞くことになるでしょう。
<取材・文・撮影/選挙ウォッチャーちだい>
【選挙ウォッチャーちだい】
選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材しています。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「チダイズム」にて公開中
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