「地獄の黙示録」(原題:Apocalypse Now )は、1979年公開のアメリカの戦争映画です。ジョゼフ・コンラッドの小説「闇の奥」を原作に、舞台をベトナム戦争に移して翻案した叙事詩的映画で、フランシス・フォード・コッポラ監督、マーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、マーティン・シーン、デニス・ホッパーら出演で、1960年代のベトナム戦争下、1人のアメリカ軍将校暗殺を命じられた大尉が4人の部下と共にジャングルの奥深くで目撃する戦争の狂気を描いています。1979年度のカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを獲得、アカデミー賞では作品賞を含む8部門でノミネートされ、撮影賞と音響賞を受賞した作品です。
ベトナム戦争を舞台にしていますが、イギリスの小説家、ジョゼフ・コンラッドの代表作「闇の奥」(原題:Heart Of Darkness)を原作としてます。1899年に発表されたこの作品は、ジョゼフ・コンラッド自身の経験に基づき、ベルギー国王レオポルド2世の「私有地」で、住民に対する搾取政策で国際的非難を受けたコンゴ自由国のあるコンゴ川一帯を舞台に、本部の指示に背き、アフリカの奥地で崇拝者や、現地人から神のように慕われる男、クルツを追う物語です。「闇の奥」というタイトルはアフリカ奥地の闇という意味ですが、人間の心の闇、西欧文明の闇をも意味すると考えられています。
有名なワーグナーの「ワルキューレの騎行」に乗せてのヘリでベトコン前哨基地を攻撃するシーンや、プレイメイトが現地の兵士を慰問するシーンなど、物語の前半では現実世界を強烈に風刺します。特に「ワルキューレの騎行」のシーンは圧巻で、サーフィンをするという些細な目的の為にヘリの大部隊でベトコン前哨基地を攻撃するのは帝国主義への強烈な風刺でしょう。さらに、ヒトラーが傾倒したというワーグナーの楽曲を持ってきたのも偶然ではないでしょう。この攻撃を指揮するキルゴア大佐のセリフは、戦争におけるヒロイズムを強烈に風刺しています。 Kilgore: I love the smell of napalm in the morning. You know, one time we had a hill bombed, for 12 hours. When it was all over, I walked up. We didn't find one of 'em, not one stinkin' dink body. The smell, you know that gasoline smell, the whole hill. Smelled like... victory. Someday this war's gonna end... キルゴア中佐:朝のナパーム弾の匂いはたまらん。ある丘を12時間爆撃した後、登ってみたら、すべて焼き払われ、死体ひとつなかった。ガソリンの匂いが丘一帯に立ち込め、勝利を実感した。この戦争もいつか終わる・・・。