或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2015.01.27
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だから、そんなハンパな日?に、一人奈良行きの電車に乗った。


電車とバスを乗り継ぎ、

最後のマイクロバス(地域のコミュニティバス)から現地に降り立った時、

私は少し、後悔した。


ほ と ん ど ひ と が い な い 。




特別(秘仏御開帳)な日だから、人も沢山居る、って訳じゃないのか。

平日の、こんな小雪舞う寒い日には、用が無ければ現地の人だって外出しないのか。

かくして、



去年、磨崖仏を探して歩き、

人っ子一人居ない地域の、寂れた神社の淀んだ空気に当てられて、半泣きで戻った時の(自分の)状況を、

見事に再現する事となった。

・・・私は今日、誰かに具体的な行き先を告げていない。

(最後まで行く事を逡巡していたので)

此処で、もし私が異世界に入ってしまったら、文字通り神隠し状態だ。

そう考えたら、震えが来た。

何かがあっても、私には、何を残す手立ても無い。




山道は、只管誰も居なかった。

途中まで視界に入っていた男性の姿も消えた。

高校生の頃、死んでしまった文鳥を、出来るだけ天に近いところへ連れて行ってやろうと、



一般参道を通るのはいけない気がして、

半分獣道を、怖くてこわくて泣きながら登った・・・事を思い出した。

三叉路は、異界への入り口に思え、

木の葉ずれの音が、殊更大きく聞こえるような気がした。

普段、魅惑的に見える廃寺は、不気味な気配を醸し出していた。



人の姿を取っているのは、鎌倉ー南北朝時代の石仏ばかり。

それすら、・・・有難いと言うより、不気味なだけに思えた。

・・・前日、周到に予習したんだがな・・・。



SF作家なら、

軽い気持ちで散策に来た主人公を、

異世界に迷い込むか、異形のものに遭遇して、言い知れぬ恐怖を味わわせた後、

人知れず行方不明にしてしまうショートショートを、簡単に脳内で組み立てるだろうシチュエーション。

最後は、孤独に耐えられなくなって、人里が見える場所まで息せき切って走った。

・・・正直、散策にならなかった。


***


目的の寺に着くと、賑わう、と言うほどでないにせよ、流石に人の出もあった。

・・・しかし、この人たちは、何処から来たのだろう。 私と同じルートは採らなかったのか。

少しぼうっとしながら、秘仏を拝見した。

堂内は暗く、秘仏の貌は下顎から耳まで位のラインしか見えなかった。

何を語りかけたのか、何を願ったのか・・・覚えていない。

やはり、去年、博物館で展示があった時に見ておくべきだった・・・。




何がそんなにショックだったのか判らないが、私はまだ日が高いうちに帰る事にした。

バスの中では別の乗客が、次の目的地について話をしている。

私は、流れるバスの窓から、バス道に面した場所に立つ鎌倉時代の五輪塔を見やった。

何だか打ちひしがれた気分で、直ぐに視線を前に戻した。

・・・またしても(?)、この土地に負けてしまった、と言う気分で一杯だった。




帰りの電車の中で、缶コーヒーなど飲みながら(始発だから、殆ど人が乗っていない)、

顛末を友人にメールをする。

『良かったな、「時空のおっさん」に出会わなくてw』

ネットでは、まことしやかにオカルト的な存在が噂される、

都市伝説「時空のおっさん」に出会わなくて良かった、と友人は言う。

会うと、異世界へ連れて行かれるのだとか、なんだとか。



『少女が時をかけるのはロマンティック。

アラフォー木魚ガールが時をかけると草不可避www』

・・・いつもながら、的確にジャブをキメて来る。

電車の中で一人で笑った。

アラフォー木魚ガール上等、だが、・・・実際に時駆けは、ムリ。



***



ところで笑わなかったのは、旦那さんで、

事の顛末を、面白おかしく聞かせたつもりなのだが、

かなり私の行動に危機感を募らせたようで、

『もう一人で奈良は禁止ーっ!!!

(本当は奈良ではなく、京都。 
ルートとしては一旦奈良まで行ってから、京都に入らなければならない場所)

と、言う事になってしまった。

これで、私は、もう一人であの地を歩く事は出来ない。

なのに、あんなに後悔したのに、思い返すと、何だかもう一度、一人で歩いてみたい気になる。

不思議な魅力?吸引力を持つ土地だ。



そして、

実は、目的だった秘仏は三つあり、

ぼうっとしていたお陰で、二つしか御目文字が叶わなかった事実を帰りの電車の中で知り、

歯噛みして・・・

再び行かねばならないと決意した次第。






















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最終更新日  2015.01.27 18:26:57
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