Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2006/02/22
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カテゴリ: 各地のBAR巡り
上京2日目。快晴の土曜日。昨晩の酔いも消えて、気持ちよく目覚める。とは言っても、BARが朝から開いている訳がない。そこで、いつものように夕方まで東京散歩としゃれ込む。

 前回は、青山墓地(霊園)の著名人のお墓巡りに興じた僕だったが、今回はうって変わって、11日にオープンしたばかりの「表参道ヒルズ」( 写真左 )にお邪魔した。表参道ヒルズ「表参道ヒルズ」と言えば、あの歴史的な同潤館青山アパートの跡地に建った表参道の新しいランドマーク。設計は、今をときめく安藤忠雄氏とあれば、注目されない訳がない。開館15分前に着いた僕だったが、すでに300人近い列が…。さすが話題のスポットだけに、凄い人気。

 入館した僕は、とりあえず最上階を目指す。「表参道ヒルズ」は地上6階、地下6階(店舗は地上3階~地下3階)と、とんでもなく底が深い。安藤氏曰く「建物は表参道のケヤキ並木とあまり違わない高さに、しかし容積率はしっかり確保したい」という相反する願いを両立させるために生まれた設計だという。表参道ヒルズ

 外観はガラスとコンクリートの打ちっ放しというモダンな造りで、細長い形はなんとなく、豪華客船を連想する。内部の造りも面白い。地下3階から地上4階くらいまで、中央部分が吹き抜けになっていて、内部の周囲に緩やかなスロープが、最上階から最下階までスパイラル状につながっている( 写真右 )。そして各階のスロープに面してショップが並ぶ。

 安藤氏の建築は時に、その奇抜さが故に賛否両論を呼ぶ。しかし独学で建築を学び、今日の名声を築き上げたことは、誰しも認めるところ(同じ関西人としてその活躍は嬉しい限り)。この「表参道ヒルズ」については、知る限り評判はいいようだし、個人的にもユニークな発想がとても気に入っている。今回も、建物の一角に同潤館アパートの一部を再生させるなど、安藤流のこだわりも。

 さて、内部をざっと見て回った僕の印象。日本にまだあまりお目見えしていないブランドを、よくぞこれだけ集めたなぁと感心する(ショップの詳細は 「表参道ヒルズ」のHP Bisty’s酒飲みの僕が一番気に入ったのは、名だたる蔵元から集めた日本酒や珍味がBARスペースで楽しめる「はせがわ酒店」(地上3階)と、常時80種のワインがテイスティングできる「BISTY’S」(地下2階)=。今回は時間がなくて味わえなかったが…。

 さて、「表参道ヒルズ」を後にした僕は、夕刻までの時間を映画鑑賞にあてた。当初は、「有頂天ホテル」か「フライトプラン」を見ようという心づもりだったが、有楽町の映画館まで来て気が変わり、S・スピルバーグ監督の「ミュンヘン」に変更した(まぁ、こっちも前から見たいと思っていたし…)。

 この映画「ミュンヘン」については後日の日記で詳しく触れることとして、映画の後、いよいよ陽も落ち始めて、BAR巡りタイムの始まり始まり! 2日目のスタートも、やはり銀座から。RockFishの角ハイボール

 まず、7丁目の「Rockfish」にお邪魔。大阪・北浜でBARを開いていたMさんが4年前、上京して開いた支店。老舗のサンボアで修業したMさんは、格式と伝統で知られる銀座に、サンボア・スタイルのハイボールを紹介。フード類などは、サンボア以上に充実させた。安い、旨い、早いがモットーの「Rockfish」は東京でもBAR好きに支持され、根強いファンがついている。

 この日飲んだのは、もちろん定番のハイボール(美味しくて胃にしみるー!)= 写真右 。ちなみに現在休業中の北浜の本店も、4月に再オープンするとのこと。順調な発展を祈りたい。Bar Lipin

 さて2軒目は、久々に5丁目のBar「ルパン」( 写真左 )へ。ここは言わずと知れた、銀座のBARの歴史そのものという老舗。とくに太宰治、坂口安吾、織田作之助ら数多くの作家に愛され、店内のインテリアや、太宰らが座ったスツールなどは昔のまま現役。

 カウンターの隅にはいつも、太宰らが来店した際の有名な写真が飾られている。昭和のヒトケタ時代のBARにタイムスリップしてみたい方は、ぜひ一度お越しを。しぇりークラブ

 さて、今回の最大のお目当ては6丁目にある、シェリーがウリの「しぇりークラブ」。ここは、大阪で僕が最近よくお邪魔しているBar「Artemis」出身のMさんが店長をつとめている。5年前(確か…)、「しぇりークラブ」の店長にならないかという話をもらい、「何の縁もゆかりもない東京へ出てきた」というMさん。( 写真右

 しかし持ち前の努力と、紳士的で、上品、気さくなキャラクターで、東京でもお客さんの心をつかむ。そして数年前には、スペインで念願のヴェネンシアドールの資格も得るまでに。お店の壁には、なんと「世界で一番たくさん227種類のシェリーを置いているBAR」とのギネスブックの認定証が! 本国スペインを差し置いて、す、すごーい!

 さすがに最近は、「接客時の関西弁もあまり出なくなった」と言うMさんだが、この日は関西人の僕が訪れたとあって、「関西人同士やから、関西弁でやりましょか」と楽しそうに応対してくれた。迷うほどあるシェリー・メニューの中からお勧めを4種ほどを味わい、前菜&生ハムの盛り合わせ、エリアなどもいただき、至福の時間を貰った。BarKasumichoArashi

 さて、「しぇりークラブ」に長居した僕は、同じ6丁目にあるBar「保志」に移動したが、あいにくオーナー・バーテンダーのHさんはまだ店に来ておらず、「出直して来まーす」と言い残して、いったん店を辞す。そして西麻布へ転戦。以前から一度行ってみたかった住宅街の中にあるBAR「霞町・嵐」( 写真左 )へ。

 ここは、実は有名な女優さんKさんの元邸宅の地下を利用して開いたBAR。邸宅のオーナーは今もKさんで、この地下室はその元夫だったUさんの音楽スタジオだったとか。いわゆるオーセンティックBARではないが、照明やインテリアがとてもおしゃれ。とても落ち着けてリラックスできる。

Kansui 「霞町・嵐」にはバーテンダーとバーテンドレスがいたけれど、福井県出身のバーテンドレスの方とは、共通の知り合いである大阪のバーテンダーの話で盛り上がる(ちなみにバーテンダーは石川県出身で、北陸コンビです)。家主のKさんも月に一度くらい、ここに飲みに来られるとか。

 さて、「霞町・嵐」を別れを告げた僕。まだ10時すぎ。まだ銀座に戻るのは早いので神楽坂へさらに転戦。ここでも以前から気になっていた「Kansui」というBAR( 写真右 )へ。華道家というマスターが和風の趣を上手く生かした、隠れ家的な、素敵なお店だったが、マスターはちょっと寡黙すぎたかなぁ…。

 さて気を取り直して、地下鉄で再び銀座へ戻る。そしてBar「保志」( 写真左 )へ。マスターのHさんとは、昔(たぶん8年ほど前)、友人に連れて行ってもらった銀座の「Little Smith」というBARで初めてお会いした。Hさんは、そのときすでにバーテンダー世界大会での優勝経験を持つという凄い方だった。Bar Hoshi

 しかしHさんには、そんな栄光をひけらかすようなことは微塵もなく、初対面からとても気さくで、温かい接客をしていただいた。その後もたまに、「Little Smith」にはお邪魔したが、Hさんが別のBARの店長に移られてからは少し疎遠になっていた。そして昨年、念願かなって独立したと聞いて、ようやく実現した訪問。久しぶりに見るHさんはやはり、明るく気さくな人だった。

 さて、初訪問の「保志」で味わうのは、やはりマスター自慢のカクテルしかあるまい。フルーツが何があるか尋ねた後、僕は「ストロベリー・マティーニ( 写真右下 )をお願いします」と頼む。

 普通の関東のバーテンダーならここで、「かしこまりました!」とだけ言うだろうが、Hさんは「ストロベリー・マティーニ、いっちゃいますかー?!」と少しおどけたような声で、コミカルに受け返す。関東のというより、大阪のバーテンダーのノリに近い。それも、僕が親しみを感じる理由かなぁとも思う。Strawberry Martini

 従業員のバーテンダーさんとあれこれ話し込んでいるうちに、気が付けば午前0時半頃に。そろそろ今夜の締めにかからなければと、「レッド・アイ」(ビール&トマトジュースのカクテル)を注文する。「レッド・アイ」もHさんが作ると普通のレッド・アイではなくなる。

 Hさんは、ボストン・シェーカーを取り出し、グラスの方に生トマトを8つくらいに切って入れ、ペストル(すりこぎ)で潰し始めた。そしてスパイス類を加え、シェーカーに移して一気に振る。それを別の大型ビア・グラスに半分ほど移し、冷えた生ビールをゆっくり注ぎ、優しく混ぜる。

 7割ほど満たした後、さらに残りの3割ほどを同じ動作で作り、完成させるという手の込んだやり方。出来上がりはクリーミーで、美味しいったらない。さすがHさんの「レッド・アイ」は絶品。どんな客にも手抜きしないサービス精神が嬉しい。だからこそ、今夜も「保志」は、銀座という激戦区で客が絶え間ないのだろう。

 という訳で、東京BAR巡りもめでたく終了(計6軒はちょっとハードだったかな?)今回お邪魔したくて実現しなかった店もいくつかあるけれど、それは次回の楽しみにとっておこう。

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Last updated  2023/10/25 11:13:15 AM
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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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