Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2007/11/03
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 イギリスの有名な作家と言えば、皆さんは誰を思い浮かべるだろうか。ウィリアム・シェイクスピア、エミリー&シャーロットのブロンテ姉妹、サマセット・モーム、チャールズ・ディケンズ、コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、ジェイン・オースチン…。ウィリアム・シェイクスピア

 僕にとっては、やはり最初に名を挙げたシェイクスピア(1564~1616)= 写真左 は肖像画=である。「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」の四大悲劇で名高い劇作家にして、詩人。

 死後約400年を経て今なお世界中で読まれ、愛され、その作品が上演され続ける。僕には中学生の時の英文購読で出合って以来、ずっと忘れられない偉大な存在だった。謎の多いその生涯も魅力的だった。

 なんと言っても、16~17世紀という時代(日本ではまだ戦国時代末期~江戸時代初めだった)において、人生の真理の数々をメリルボン駅あのような見事なドラマ(戯曲)に仕立てた才能は、源氏物語を書いた紫式部同様、文学史上の奇跡と言ってもいいかもしれない。

 彼の生まれ故郷は、ロンドンから電車で2時間余かかる「ストラットフォード・アポン・エイボン」という長い名前の街である。その名も中学生の時に聞いて、忘れられないでいた。

 そして、生家が今も残るというその街をいつか訪れるのがずっと夢だった(今でこそ2時間余だが、当時はロンドンまで何日かかったのだろうか)。メリルボン駅の表示

 9月28日。そんな長年の夢を実現させる日がついにやって来た。スラットフォード・アポン・エイボン行きの電車は、ロンドン市内のメリルボン駅( 写真右上

 電車は7時20分発。僕らは10分前に着いた。しかし駅の行き先表示に「ストラット…」は見あたらない。おかしい。出発前にこの鉄道会社のHPでチェックした時は確かにあったはずなのに…。

 駅員に聞いても、乗り込む乗客に聞いても、「この(7時20分発の)電車はストラット…へは行かない」という答え。う~ん困った( 写真左上 =こちらは僕らが乗った方の電車の表示)。ストラットフォード・アポン・エイボン駅

 乗るか次の電車にするか…。迷った末に乗車は断念し、次の8時54分発まで、仕方なく駅構内や駅周辺で時間をつぶすことにした。

 後で調べたら、「7時20分発」は途中の駅で別の電車に乗り継ぐ形で「ストラット…」まで行くのだった。ならば駅員はそう教えてくれるべきだった。不親切な駅員に腹が立つ。

 しかし、こういうハプニングもまた楽し。プラス志向で考えて、構内のお店をあちこち覗いたりして時間を有効に使う。メリルボン駅はロンドン市内の駅では一番古く、130年以上昔の建物を今も使っている。シェイクスピア生家までの街並み

 歳月を経ても赤レンガの駅舎はとても美しい。アガサ・クリスティやチャーチルもこのホームに降り立ったんだろうなぁと思うと感慨深い(ただしシェイクスピアが生きていた頃は、当然まだ鉄道はなかった。彼は馬車でロンドンまでやって来たのだろうか)。

 遅れること約1時間半、8時54分発の急行に乗った僕らは、一路ストラットフォード・アポン・エイボンへ向かう。乗客は半分くらい。僕ら同様、シェイクスピアの故郷を訪ねる観光客らしき人たちが目立つ。

 列車が動き出してまもなく、あの有名な「ウェンブリー・スタジアム」も見えたが、20分も走ると、途中の車窓は駅周辺の小さな街並み以外、のどかな田園風景がほとんど。ロンドンのすぐ近郊とはとても思えない。シェイクスピアの生家

 午前11時すぎ、ほぼ定刻通り無事にストラットフォード・アポン・エイボンに到着。

 超有名な街にしては駅舎( 写真右上

切符は往復で買っているから、早速僕らは生家のある街の中心部の方へ歩き出す。観光客は皆同じ方向へ向かうので道に迷う心配はない。

 駅から街の中心までは約15分ほど。途中、通り沿いには観光客目当ての土産物屋や飲食店などが数多くある( 写真左上 )。

 建物は街の景観を壊さないように、できるだけ昔の雰囲気を残している(おそらく法律的な規制もあるのだろう)。娘夫婦の家通りには、世界中からやって来たシェイクスピア・ファンらがあふれて、さながら夏場の軽井沢のような雰囲気。



 室内は現代の感覚では質素な造りだが、シェイクスピアは裕福な農家の生まれだったといい、そのせいか広くて部屋数も多い。

 街には、ほかに娘夫婦の住んだ家( 写真左 )や孫娘夫婦の住んだ家というのも保存・公開されている。いろんなガーリック

 生家と合わせて3カ所を見学できる割安(11ポンド)の共通チケットも販売されていたので、僕らはこの共通チケットで見て回ることに。

 生家周辺にはソーセージやチーズ、ドライフルーツ、野菜、お菓子などを売る露店もたくさん出て、まるでお祭りのように賑やか( 写真右 =燻製したものなど様々なニンニクを売る店も)。時間があれば1軒、1軒ひやかして回りたいところだが、時間がないのであきらめる。

 それにしても生家周辺まで来ると、周りの古い建物はとてもよく管理が行き届いている。軒先をフラワー・バスケットを飾っている家も数多くあって、歩いているだけでも気持ちがいい。娘夫婦の家の美しい庭

 住民たちが、祖先の大切な遺産であるこの街を愛して、いかに大切にしているかが伝わってくる( 写真左 =美しく手入れされたシェイクスピアの娘夫婦の家の庭)。

 再開発や老朽化を理由に、歴史的建造物をすぐに取り壊してしまう日本の馬鹿な建築家や役人たちは、こうした人たちに学ぶがいい。

 さて、生家など3カ所の見学を終えた僕らは、ロンドンに引き返す前に、昼ご飯。「ストラット…」で一番古いパブとして、街で最古のパブガイドブックにも出ていた「ギャリック・イン」( 写真右 )という店に入る。

 お昼時の店はほぼ満員。ここはずうずうしくも空いているテーブルに座り、時間もないので、適当にエール・ビールとサンドイッチを頼む。

 1594年に建てられたパブは、昔の酒場の雰囲気をとてもよく伝えていて、タイムスリップしたような気分(シェイクスピアもひょっとしてここでビールを飲んだのかな?)。

 しかし、店内は込んでいるのに従業員の数も少ない。料理が出てくるまで30分近く待たされる(そのとばっちりで、帰りの電車へは駅まで走って、滑り込み)。

 ストラットフォード・アポン・エイボンにはわすが3時間余という短い滞在だったが、憧れのシェイクスピアの故郷を訪れ、彼の素晴らしい戯曲を生む舞台となった街とその空気に触れることができた。僕らは心から満足感を味わい、ロンドンへの帰途へついた。

 ◆英国への旅:「ロンドン編(2)」へ続く。

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Last updated  2007/11/08 08:13:12 AM コメント(2) | コメントを書く


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