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2016/11/07
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Last updated  2021/07/01 10:50:20 AM
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◆カクテル ―― その誕生にまつわる逸話

【おことわり】 冒頭で紹介するレシピは標準的なもので、絶対的なものではありません。文献やバーテンダーによっては違う割合、違う材料でつくっていることもあります(レシピの丸カッコ内の数字=単位はmlです)。


1.アドニス(Adonis)


【現代の標準的なレシピ】 ドライ・シェリー(45)、スイート・ベルモット(15)、オレンジ・ビターズ1dash、オレンジ・ピール  【スタイル】 ステア

 アドニスと言えば、1884年にブロードウェイでヒットしたミュージカル「アドニス」(主演はヘンリー・ディクシー<Henry Dixey>)にあやかって、1884~85年頃、ニューヨークで誕生したと伝わっています。一説には、ニューヨークの超高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア」のバー発祥とも言われていますが、考案者のバーテンダーの名は伝わっていません(出典:https://punchdrink.com)。

 「アドニス」の名は、ギリシャ神話に登場する美少年の名前に由来します。カクテル「アドニス」が初めて活字になったのは、現時点で確認した限りでは、1913年に米国で出版された「Straub 's Manual of Mixed Drinks」(ジャック・ストローブ<Jacques Straub>著)で、レシピは「シェリー3分の1、イタリアン(スイート)・ベルモット3分の2、オレンジ・ビターズ2dash」となっています(※ある欧米の専門サイトでは、1887年3月27日付の新聞「New Yorker "The Sun"」にアドニスというカクテルの名が登場しているという情報が紹介されていましたが、残念ながらレシピには触れていません)。

 しかし、マティーニが誕生後の歳月とともに徐々に辛口志向になるのと同様に、アドニスも年を追うごとに辛口化していきます。17年後の1930年に英国で出版された名著「サヴォイ・カクテルブック<The Savoy Cocktail Book>」(ハリー・クラドック<Harry Craddock>著)では、「ドライ・シェリー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ビターズ1dash」と、早くもシェリーとベルモットの比率が逆転しています。

 参考までに記すと、上記Straubの著書(1913年刊)以降、1950年以前の主なカクテルブックでの「アドニス」のレシピは以下の通りです。

 ・「ABC of Mixing Cocktails」(ハリー・マッケルホーン著、1919年刊)英
  ドライ・シェリー3分の1、スイート・ベルモット3分の2、オレンジ・ビターズ

 ・「The Artistry Of Mixing Drinks」(フランク・マイヤー著、1934年刊)仏
  ドライ・シェリー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、オレンジ・ビターズ1dash

 ・「The Official Mixer's Manual」(パトリック・G・ダフィー著、1934年刊)米
  ドライ・シェリー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ビターズ1dash

 ・「The Old Waldolf-Astoria Bar Book」(A.S.クロケット著、1935年刊)米
  ドライ・シェリー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、オレンジ・ビターズ2dash

 ・「Mr Boston Bartender’s Guide」(1935年刊)米
  ドライ・シェリー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ビターズ1dash

 ・「Café Royal Cocktail Book」(W.J.ターリング著、1937年刊)英
  ドライ・シェリー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ビターズ1dash

 ・「Trader Vic's Bartender's Guide」(ヴィクター・バージェロン著、1947年刊)米
  スイート・シェリー1オンス、スイート・ベルモット2分の1オンス、オレンジ・ビターズ1dash(シェイクで)

 冒頭に挙げたような現代の辛口レシピが登場するのはいつ頃かと言えば、手元にあるカクテルブックで調べた限りでは、1970年代以降になってからです。なお、このアドニスがベースとなって、ベルモットをドライに代えた「バンブー」というカクテルが、1885~90年頃誕生したというエピソードはあまりにも有名です。

 しかし、時代が変わればレシピも微妙に変わります。クラシック・カクテルが再評価され始めた欧米では、1990年代後半以降、アドニスのシェリーに、「フィノ」ではなく、「アモンティリャード」や「オロロソ」を使う例が目立ちます(グーグル検索上位の欧米のWEBカクテルサイト10カ所で、アドニスのレシピを調べてみたら、フィノ5、アモンティリャード2、オロロソ2、マンサニージャ1でした)。

 バンブーはドライ・ベルモットを使うので、シェリーはやはり「フィノ」がベスト・マッチでしょうが、スイート・ベルモットを使うアドニスは、「フィノよりもう少し重く、甘味を感じるシェリーの方が合う」と記すサイトもありました。確かにある意味、理にかなっていると思います。

 アドニスが日本にいつ頃伝わったのかは定かではありませんが、1925年刊行の文献に登場することからも、20年代前半には伝わっていたと思われます。しかし日本国内では、「バンブー」の方に人気が集まったため、「アドニス」自体は、現在に至るまで(名前はそれなりに認知されていますが)知名度では「バンブー」に遅れをとっています。

【確認できる日本初出資料】 「風流な飲料 コクテル乃作り方」(佐藤紅霞著、1925年刊)。レシピは、ドライ・シェリー3分の1、スイート・ベルモット3分の2、オレンジ・ビターズ2dashと「ABC of …」とほぼ同じです。


【おことわり】本稿の作成にあたっては、シェリー研究家の中瀬航也氏(東京・五反田「シェリー・ミュージアム」オーナー)に数多くのご助言、示唆を頂戴いたしました。この場をかりて心から感謝申し上げます。


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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