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2017/10/30
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 73.レッド・アイ(Red Eye)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 ビルド

 「レッド・アイ」は、ご存知トム・クルーズ主演の映画「カクテル」(1988年公開、日本では89年公開)でブレイクしたカクテルです(※映画自体の出来は酷評されましたが…)。しかし、映画でのレッド・アイは今日の日本で飲まれている標準的なレッド・アイ(ビール&トマト・ジュース)とは違い、生卵も加えるという驚くべきカクテルとして描かれていました(出典:Wikipediaほか多数)。

 映画や原作(ヘイウッド・グールド、Heywood Gouldの同名の小説)では、トム演じる主人公フラナガンの友人で、バー・マスターのダグが、フラナガンのために生卵入りのレッド・アイをつくる有名なシーンがあります。
 そのシーンのセリフは、(原著によれば)「卵を入れずにこれ(レッド・アイ)をつくるアホが世間にはごまんといる。アホどもは、このドリンクの名前の由来は、赤い眼をしている時に飲むことが多いからだという。が、真相はつねに単純で、名は体を表すのだ。こいつ、赤い眼に見えるだろ」です(出典:文春文庫「カクテル」53頁=芝山幹郎訳)。

 ところが、実は日本では、映画公開以前から街場のバーで「レッド・アイ(生卵はなし)」というカクテルが飲まれていたという事実はあまり知られていません。この映画が発信源だと思っているバー業界の方も意外と多いです。原作の小説が発表されたのは1984年。しかし日本では、1982年に出版されたカクテルブック(福西英三著「カクテル入門」)にすでに「レッド・アイ」は登場しています。

 私自身の記憶でも、日本のバーでは、70年代後半にはレッド・アイの名は結構知られ始めていたと思います。少なくとも、本土返還前の沖縄では「トマト・ビール」という名前でこのカクテルは飲まれてたという証言もあります(出典: http://webcache.googleusercontent.com/ )。

 上記の理由からしても、映画&小説のために考案された「生卵入りのレッド・アイ」はヘイウッドのオリジナルであって、今日私たちが味わっているレッド・アイとは基本的に別物であると考えるべきでしょう(ちなみに、ヘイウッドは作家になる前、バーテンダーの職歴もありました)。

 Web情報では、「原作者のヘイウッドが東京のバーで飲んだレッド・アイが忘れられなくて、小説のなかの小道具として使った」という情報もありましたが、真偽のほどはよく分かりません。映画は残念ながら、専門家から酷評されたこともあって、この生卵入りレッド・アイも、その後米国内でもほとんど忘れ去られてしまいました。

 実際、欧米のバーやパブで「レッド・アイをください」と言っても、まず99%通じないといいます。あるブロガーの方が「(観光で訪れた)ロンドンのパブでレッド・アイを頼んだら、『何ソレ?聞いたことないよ』と言われ、『ビールとトマト・ジュースのカクテルだ』と説明したら、ラガー・ビールとトマト・ジュースと空グラスを出され、自分でつくりました。店員さんは不思議そうな顔をしていました」というエピソードを掲示板で紹介していました(出典:http://www.misichan.com/cocktail/d/cocktail134.html )。

 米国でも「レッド・アイ」にさほど知名度がないことの裏付けとしては、Yahoo!米国版のQ&Aのページ「Is there a name for tomato juice with beer? 」と題したやりとりがとても面白いです。書きこんだ人のほぼ全員が「レッド・アイ」という名前を知りません( http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20080905163600AA3Wwim )。

 日本のカクテルブック等では、「レッド・アイ」を欧米発のカクテルと紹介しているケースが目立ちますが、これは映画「カクテル」が発信源だと誤解しているからでしょう。これまでリサーチした結論としては、「レッド・アイ」はほぼ間違いなく日本生まれのカクテルで、「トマト・ジュースのビアカクテルの底に沈んだ生卵」という見た目でなく、やはり、「二日酔いのような血走った目」から名付けられたのが正解でしょう。個人的には、日本のレッド・アイが、何らかのルートで映画「カクテル」の原作者に伝わり、生卵入りにアレンジされて映画にも登場させたのではないかと想像しています。

 こうした推論のもう一つの「裏付け」としては、70年代以降の欧米のカクテルブックで、この「レッド・アイ」というカクテルを紹介している文献は、調べた限りでは皆無だということがあります。Webでも事情は同じで、「Red Eye Cocktail」と打ってグーグルで検索しても、欧米のサイトではほとんどヒットしません。

 イギリスの専門サイトが唯一、日本とほぼ同じレシピのレッド・アイを紹介していますが、面白かったのはそのページの掲示板に、「生卵を入れないとレッド・アイにはならない!」というユーザーのコメントが2件もあったことです(出典:http://www.cocktail.uk.com/Cocktail-Recipe/Red-eye.htm )。このコメントを入れた人は当然、映画「カクテル」以前に日本でレッド・アイが飲まれたいたことを知らないことは明らかです。

 この他、グーグルで「Red Eye Cocktail」で検索した結果、レッドアイについての記事(反応)は以下のようなものでした。
・生卵入りレッド・アイを「レッド・アイ・ア・ラ・カクテル(Red Eye a la Cocktail)」という別名で紹介した例
・日本版レッド・アイのレシピに、さらにウオッカを加えたレシピにしていた(これは日本では「レッド・バード」という名のカクテルになりますが…)
・日本でレッド・アイを飲んだ外国人が母国でその驚きを紹介した例
・日本のアサヒビールが2012年6月に売り出した缶入りのレッド・アイを話題にした例

 ちなみに欧米では、ビールとトマト・ジュースだけのカクテルは「レッド・ビア(Red Beer)」「トマト・ビア(Tomato Beer)」「レッド・ルースター(Red Rooster)」「ブラッディ・ビア(Bloody Beer)」などいろんな名前で呼ばれています(「レッド・ビア」が一番多数派か)(出典:Yahoo! Answers英語版)が、いずれにしてもさほど有名ではありません。また、カナダでは「カルガリー・レッド・アイ(Calgary Red Eye)」と言うそうです(出典:Wikipedia英語版)。

【余談その1】 米国の旅行用語の俗語では、西海岸と東海岸の間を運行している夜行フライト便のことを「Red Eye」と言うそうです。フライト時間は約6時間あり、時差が3時間あるので、夜10時にLAを発つと、ニューヨークには朝7時に着き、睡眠が不十分なまま早朝を迎えることからこう呼ばれるようになったとか(出典:http://kotobank.jp/word/ )。

【余談その2】 レッド・アイのビールをギネスに変えたものは「レッド・ハット(Red Hat)」と呼ばれます(レッド・ヘッド=Red Head=という名で紹介している専門サイトも)。標準的なレシピは、「ギネス(180)、トマト・ジュース(120)、セロリ・ソルト&スパイス類(お好みで)」。このカクテルも誕生の詳しい経緯・由来は不明です。ギネスの代わりに、バスなどのエール系ビールを使っても旨いです。

【確認できる日本初出資料】 「カクテル入門」(福西英三著、1982年刊)。レシピは「トマト・ジュース2分の1、ビール2分の1」と記されているだけです。



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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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