ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jul 7, 2020
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カテゴリ: 映画、テレビ
「anti-social distancing」(評価 ★★★★☆ 四つ星)

 新作の出版にあたり原稿が流出しないよう訳者を監禁し翻訳作業を進めるが、翻訳者しか知りえないはずの情報を知る何者かが出版社に大金を要求する。
 現在日本で公開ちゅう。 https://gaga.ne.jp/9honyakuka/

 アタマ使わずにドキドキワクワクしながら観られるので、現実逃避用、暇つぶし用映画としては最適か。細かいとこを突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めるけれど、それは野暮なのかもしれない。楽しんだもん勝ち。着眼点はなかなか面白いので。
 出版業に携わってる人だったら、もしかして「あるある」や「ないない」をあれこれ言いながら楽しく鑑賞できるかもしれない。著者と出版者と翻訳者の三者それぞれの利害関係とか複雑そうだし。
 九人もの訳あり訳者たちが一同に会すので、各国民性の違いもちょっとは楽しめる。あと、翻訳業特有の、地味で裏方に徹するという側面を快適と捉える人もいれば、いつかは自身の名で文学作品を発表しようともくろんでいる人もいる。

 実はぼく、以前に翻訳の仕事をしたこともあるのだけれど、翻訳家どうしで著者の悪口言ったりするのは(「あの人の文章ってわかりづらいんだよねー」とか)、なかなかの憂さ晴らしになる。
 孤独な作業なので人づきあいが苦手な人にはもってこい。でもそのぶん、たまぁに団体行動するぶんには、当初はうざったいとか思いつつもそれなりに盛り上がっちゃったり。

 あと、一般に、翻訳者は二か国語を流ちょうに話すのが普通と思いきや、それは間違い。特に欧州人翻訳者の場合、むしろ会話程度だったら三言語や四言語を話すのが普通。この映画でも、同席する他の人に内容をバレないように複数の言語を操りながら話す場面があった。



 そーいえば何年か前、「グランドピアノ狙われた黒鍵」だかいう映画があったのを思い出した。たしかピアニスト(イライジャ・ウッド演)に楽譜が送付され、演奏会で一音でも間違えたら殺すぞ、みたいな脅迫状が届き、彼はせっせと演奏するという、冷静に考えるとおバカな話。着想が面白い話を映画するのって、一歩間違うと恐怖映画のはずが喜劇と化してしまうので難しい。





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最終更新日  Jul 7, 2020 09:25:17 PM
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