ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Sep 8, 2021
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カテゴリ: 映画、テレビ
「およげ!大役くん」(評価 ★★★★☆ 四つ星)

 半世紀前のフランス映画を鑑賞。
 登場人物は基本的に四人だけ。アラン・ドロン、ロミ・シュナイダー、ジェイン・バーキン、モーリス・ロネさんs。全員が主役級の役どころ。
 舞台は南仏サントロペ郊外のプール付き豪邸。題名どおり(piscine)プールで過ごす場面が多い。

 観た感想としては、内容が中途半端。アランドロン、モーリスロネの出演作である「太陽がいっぱい Plein soleil」には及ばない。
 そもそも四人の人物描写が甘いと思った。特に男性二人。切れ者なのか世間知らずなのか謎、「オレ様」キャラにするとか、ひたすら嫉妬する繊細な人物として描くとかのわかりやすい演出は敢えて避けたのかもしれないけど、どうも腑に落ちなかった。
 女性陣のお二人は、役者の見事な演技のおかげで輝きまくり。特にロミシュナイダー様。お肌を露出しまくる前半部分もさることながら、むしろ後半、もっと彼女の言う台詞を聞いてみたいと思わせるような演技っぷり。10代の少女役のジェインバーキンもいー感じ。お若いのにやはり立派に存在感がある。

 映像や撮影は文句なしに素晴らしかった。これが50年前の映画とは信じられない。建築美や内装美をも活かした撮り方もオシャレ。


 なお、四人の役者さんはみんなして英語も堪能ということで、驚くことにこの映画は英語で演技しなおした版も並行して作られてて、そっちのほうの題名は「The Swimming Pool:First Love Never Dies」。

 あと、2003年にやはりフランスのフランソワ・オゾン監督が制作した「スウィミング・プール」という映画があるけれど、本作のパクりということではないらしい。
 一方、2015年のルカ・グアダニーニ監督による「胸騒ぎのシチリア A Bigger Splash」はれっきとした再制作版。ぼくは観てないけれど、予告編を見る限り1969年版だけ観れば充分かなという感じ。

 いずれにせよ、一般的に1960年代のフランス映画は観られるときに観られる媒体で観ておきたいと改めて思う。

 そもそもぼくがこの映画を観ようと思ったのは、本作がこの夏、ニューヨーク市内の某映画館で地味ながら長い期間上映が続いてて、やたらと記事とか広告とかで目にしていたため。そんなに人気のある作品ならば上映が終了する前に劇場に出向いて観ておかなきゃとは思ってたけど、ちょっと調べてみたら50周年記念永久保存版DVDとやらがお安く手に入ることがわかり、結局はネットで中古DVDを購入し、おうち鑑賞した次第。結果的にいろんな特典映像も観られてお得だった。
 特典には、50年後の老男アランドロンと老女ジェインバーキンがこの映画に関する想いを熱く語る映像も含まれている。ほかの主要な方々はほとんど他界してて、彼らの今のお言葉が聞けないのは残念。ロミシュナイダーもモーリスロネも、監督のジャック・ドレ―も、そして音楽のミシェル・ルグランも。





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最終更新日  Sep 11, 2021 11:31:38 AM
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