ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 1, 2021
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カテゴリ: 映画、テレビ
「ゴーン with the wind」(評価 ★★★★★ 満点五つ星)

 観よう観ようと思ってたドキュメンタリーを鑑賞。
 ゴーンと日産自動車とのいざこざに関する報道はぼくも何となくは追ってはいたけれども、一連の流れをきちんとまとめたドキュメンタリーがあったらいいなと思ってたところ。
 そのうちNHKさまあたりがお作りになって世界に紹介してくださるかと漠然と期待してたら、なんと日本ではなくイギリスBBCが制作。
 日本語字幕版もある。 https://www.video.unext.jp/title/SID0062004

 観終えた今、ちょっと複雑な気持ち。日本の媒体ってば、またしても外国に先越されちゃった。
 素晴らしすぎ。映像づくりの水準が高く、わかりやすくお見事な編集。
 しかも最初から最後までゴーン氏の独壇場。ドヤ顔で語り尽くす。世界ぢゅうの視聴者はこの作品観たらゴーンの味方になると思う。彼の感情表現を抑えた落ち着いた話しぶりも好印象。駄々こねて言い訳しまくってる感じはあまりない。

 取材可能な範囲内で整然とまとめられており、理解しやすいという意味で、ぼくとしては満点五つ星を差し上げたい。

 とにかく優雅かつ劇的に編集されててかっこよいので、娯楽作品としても充分に通用する。

 ま、ゴーンが日産で犯した罪の真偽について深く法的に考察しているというわけではないので、その辺は弱い。てか、ゴーンが自分は無罪と言い張っている一方で、日産側の言い分が全く紹介されてないのは不公平。でも日産が取材に協力してくれなかったとのことで仕方ない。
 日産が協力できないのも理解できる。「誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問」は回避したいし。

 でも、だからこそゴーン側の関係者がみんなして取材に協力的なのには単純に驚いた。このおじさんおばさんたち、どいつもこいつも忖度抜きにぺらぺらしゃべり倒す。日本への文句、日産への文句、あとゴーン様の偉大さとか。

 おそるべしゴーン。彼の人格、そしてやる時はやるという行動力を見せつけられる。
 必殺仕事人としてのゴーン、射撃好きとしてのゴーン、美人妻への愛を語るゴーン、彼の人間的ないろんな側面も紹介され、行け行けゴーンゴーン、あたかもプロモ動画かと思うほど。

 本作の一番の見どころは最後の20分、ゴーンが日本脱出成功の経緯を不敵な笑みを浮かべながら語るとこ。
 何週間もかけて入念に準備し、ついに実行に移す。東京から関西空港に移動し、「楽器箱」の中に隠れて出国を試みる。緊張のX線検査の場面。「箱が大きすぎるからX線検査は省略しちゃいましょ」という関空の痛恨の失態?お客様へのご配慮?のおかげで、箱の中に人間が入ってることなどバレずにすみ、無事にご搭乗成功。さらばニッポン、風と共に去りぬ。

 やはり日本に否定的な観点で描かれていると感じざるを得ない。日本の司法制度の複雑さ(ゆえに逮捕から裁判まで時間がかかりすぎる)だけでなく、日本の空港の出国審査の甘さまでをもご丁寧にご紹介くださっちゃってる。
 こうゆうドキュメンタリーが世界ぢゅうに英語で発信されてるのって、日本人といたしましては居心地悪いけれど、仕方ない。

 「逃げるが勝ち」なのか「逃げるが負け」なのか、そもそも「逃げるは恥」なのか。





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最終更新日  Feb 24, 2022 10:19:06 PM
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