ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Oct 3, 2022
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カテゴリ: 映画、テレビ
「サ道」(評価 ★★★★★ 満点五つ星)

 サッカー関係のドキュメンタリー番組をアマゾンプライムで鑑賞。南ロンドンの弱小かつ貧乏球団(←当時)クリスタルパレスの2010年から2013年にかけての波瀾万丈の日々をまとめた作品。
 あの時の彼らはイングランド二部リーグ Championship ほぼ最下位。三部リーグ League One に降格するのも時間の問題。てか、そもそも経営的に火の車。
 時を経た現在、選手や監督ら関係者に再取材し、あの三年半、現場では何が起こっていたのかが紹介される。

 番組名は When Eagles Dare。邦題はどうやら「鷹の挑戦」と「鷹達の敢行」の二種類あるみたい。てゆーか、eagle の訳語って鷹ではなく鷲じゃなかったっけ(鷹は hawk)。←ま、ワシとタカの違いは知らんけど
 この団体の公式愛玩キャラがワシということでこうゆう題名になったらしい。

 ぼくはこのクリスタルパレスという球団をよく知らなくて、でも「水晶宮殿」という名はあまりに重すぎ。確かに華々しく一部リーグ Premier League でご活躍いただいてこそ映えるお名前。 

 全五話(各50分前後)。
 素晴らしかったので五つ星を差し上げたい。  


 編集もとにかく驚異的で現代的。数秒ごとに画面は切り替わり、背景音楽もころころ変わるから、ボーっとしてると「落ち」てしまう。気合い入れて観ないと。

 取材されている人たちのなかで最も中心的な人物は、おそらく共同所有者かつ会長のスティーブ・パリシュさん。この人、かなりの敏腕実業家であることがわかる。←関係ないけど、なんとなく指揮者のクリスチャン・アルミンクさんに似てる
 彼の財力と人脈と経営力のもと、監督や選手や裏方、そして応援してくれる地元民がそれぞれの立場での役割を地道に遂行しているうちに、やがて結果が表れてきて、ついに一部への昇格が見えてくる。

 こうゆう回顧ものって、例えば関係者を一堂に会して座談会みたいにして和気あいあいと当時を振り返るという番組制作もできただろうに、そうゆうことは一切せず、今はそれぞれに人生を歩んでいる彼らのもとを訪ねて個別取材してる。結果的にそれが効果的だった。緊張感を保ちつつ、決して陳腐な感動ものとしては仕上げていない。ひたすら事実だけをてきぱきと畳みかけるように映し出していく。

 そのように個別に取材されてるはずなのに、みんなして台本に書かれてるかのように同じことを言うのにも唸った。よっぽど濃い月日を共に過ごしたお仲間たちなんだと思われる。ジグソーパズルの全片がピタッとハマり、さらに化学反応が起こって奇跡が起こる。あの瞬間あのメンツが揃ったからこそ成し得た偉業、とみんな口を揃える。

 いい歳こいたおじ(い)さんたちが、あの時は若かったのうだの、イマドキの若者はまったくだの、ドヤ顔で上から目線でうだうだ演説するでなく、当時のことになると鋭くかつ輝いた眼差しで理路整然と語る。一流と呼ばれる人って、分野を問わずやはり頭がいいと思わせる話し方をする。





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最終更新日  Oct 6, 2022 12:21:37 PM
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