東方見雲録

東方見雲録

2025.06.03
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カテゴリ: 政経


 トランプ米大統領は30日、米東部ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊で演説し、日本製鉄との連携による鉄鋼大手USスチールの再建を強調した。日鉄による買収計画は2024年大統領選で政治問題化し地元は大きく揺れた。演説会場となったUSスチールの工場には従業員らが詰めかけ、歓迎の声をあげた。

 「USスチールの全ての施設は米国で稼働し、繁栄し続ける」。トランプ氏がこう訴えると、会場の熱気は最高潮に達し、「USAコール」が湧き起こった。

 トランプ氏は日鉄から140億ドル(約2兆円)という巨額の投資を引き出したとアピール。ピッツバーグ近郊の製鉄所に22億ドル、インディアナ州など4州に計70億ドルの設備投資資金を振り分け、従業員に5000ドルのボーナスを支給する用意があるとまで語った。

 かつて栄華を誇ったUSスチールだが、競争力の高い海外メーカーにシェア(市場占有率)を奪われ経営は悪化。25年1~3月期の売上高は前年同期比10%減、最終(当期)損益は1億ドル超の赤字で、「日鉄の救済なしには立ちゆかなくなる可能性が高い」(エコノミスト)との見方が出ていた。

 会場に来ていたポール・タデラモナックさん(79)は「日鉄の投資がなければ、かつて幾つもの工場が閉鎖したように、ここの施設が全てなくなってしまうところだった。提携は素晴らしい」と喜んだ。実際、トランプ氏の演説に先立ち登壇した日鉄の森高弘副会長が演説を促されると、USスチール従業員らはスタンディングオベーションで熱烈に歓迎した。

 日鉄による買収計画の難航は、全米鉄鋼労働組合(USW)の反対によるところが大きい。24年大統領選では、激戦州であるペンシルベニア州でのUSWの集票力を期待し、共和党のトランプ氏、民主党のバイデン前大統領やハリス氏も反対した。一方、地元では買収の利点に対する理解が深まるにつれ支持が広がり、昨年12月には地元組合員らがバイデン前政権に買収を承認するよう求める集会を開くなどしていた。

 地元住民らにも歓迎ムードは広がっている。近くでレストランを経営するペリティー・チムさん(60)は「USスチールの社員も含めて常連客のほとんどが日鉄の買収に好意的だった。かつての街のにぎわいを取り戻してほしい」と話した。【ピッツバーグ金寿英、ワシントン大久保渉】
引用サイト: こちら

関連サイト:日鉄幹部「明らかに進展」と演説を評価 こちら

関連日記:2025.05.24の日記  トランプ大統領   こちら
関連日記:2025.05.31の日記  日本製鉄  こちら

ちょっとおさらい:ピッツバーグ産業都市の軌跡






【産業都市ピッツバーグの略表】

1787年   ピッツバーグ大学創立

19世紀前半 鉄鋼・兵器の生産拠点
1860年   石油精製所の開設
1875年   アンドリュー・カーネギーがエドガー・トムソン・スチール会社設立
1900年   カーネギー技術学校設立(カーネギーメロン大学の前身)

1901年   USスチール創設

1940年~1984年 製鉄業の雇用の減少 9万人→4.4万人 失業率18%
2004年   ピッツバーグ市財政破たん(Act47適用)


・・・・
鉄鋼業依存から知識経済へ:大学・研究機関の役割
ピッツバーグが真に再生したと言われるのは、都市再開発による外形的な整備によるのではなく、鉄鋼業に代わって、ピッツバーグは医療関連産業やバイオテクノロジー、情報技術企業の集積地として台頭してからです。

ピッツバーグの再生において、カーネギーメロン大学(1900年創立)やピッツバーグ大学(1787年創立)といった高等教育機関は中核的存在となりました。これらの大学は高度な研究環境を提供し、工学、情報科学、ロボット工学、生命科学など幅広い分野で人材と技術を輩出しています。

高品質な医療サービスや先端的研究施設を擁する医療クラスターは、良質な雇用を生み出すと同時に、周辺地域への波及効果をもたらしました。また、テクノロジー企業の進出に伴い、情報通信インフラやコワーキングスペースなどの充実が進み、グローバルな人材も呼び込むことで都市経済を多元化させています。



図6は1971年に竣工した”US Steel Tower”です。64階建てでピッツバーグ一の高さを誇り、USスチールの経済的繁栄を記憶するものです。しかし、現在では、USスチールはテナントとして入居しているのに過ぎず、UPMCが最大のテナントであり、2008年から塔屋にUPMCのサインとなりました。このことは、ピッツバーグの地域の主力産業は鉄鋼業から医療産業へと転換した象徴となっております。


引用サイト: こちら





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Last updated  2025.06.03 09:00:05
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