東方見雲録

東方見雲録

2026.05.22
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カテゴリ: 科学

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水(液体)を冷やすと氷(固体)になるのは、当たり前すぎて誰も不思議には思わない。19世紀までは、液体を冷却しても、最後は固まって凍りつくだけで何も起こらないと考えられていた。20世紀になってヘリウムの液化に成功し、人類は宇宙のどこにも存在しない極低温を地球上で人工的につくり出すことができるようになった。その後の研究で、量子力学的な揺らぎの効果により絶対零度(−273℃、これよりも低い温度は存在しない)でも凍りつかず、液体のままとどまる物質が存在することがわかってきた。さらに絶対零度近くで物質中を電気が永久に(宇宙の年齢よりも長い時間)流れ続けたり、金属が空中に浮いたり、液体ヘリウムが容器の壁を這い上がってくるなど信じられない奇妙な現象が次々と発見された。これらの現象は、電子やヘリウム原子が、ボース・アインシュタイン凝縮と呼ばれる相転移を起こすことによって起こる。最近では、アルカリ原子などをレーザーを使って冷却することによっても実現されている。量子力学では、粒子は波の性質を持つ。ボース・アインシュタイン凝縮した状態では、マクロな数の粒子が同じエネルギー状態に落ち込み、系全体が一つの波のように振る舞う。このような凝縮が起こることを、初めて予測したのはアインシュタインであるが、本人は数学的には正しいが、現実には起こらないだろうと考えていたようである。

さて超伝導は、2つの粒子(電子)が対を組み、ボース・アインシュタイン凝縮を起こすことによって起こる。超伝導は、現存する元素の半分以上で起こる現象であり、ほとんどの物質では、結晶格子を組む正イオンの振動による分極により、電子対形成が起こる。しかし最近では、高温超伝導体などの従来のものとは対形成のメカニズムの異なる風変わりな超伝導体が次々と発見されており、超伝導研究は大きな展開を迎えている。2つの粒子が対を組んでボース・アインシュタイン凝縮を起こす現象は、超伝導に限ったことではない。実際このような現象は、中性子星から冷却原子にいたるまで、10億度の超高温から絶対零度まで10億分の1度の超低温までの、実に20桁にわたる温度範囲にわたって実現される、普遍的な物理現象である。
引用サイト:京都大学大学院理学研究科・教授 松田 祐司   こちら

関連サイト:物理学者が光を固体に変える -  動画   こちら

関連サイト:超流動と超伝導  京都大学   こちら

関連サイト:超伝導とは―なぜ超伝導体は磁石で浮くのか   こちら





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Last updated  2026.05.22 08:00:05
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