東方見雲録

東方見雲録

2026.05.27
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カテゴリ: 文化



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この度、フィリピン共和国大統領フェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア閣下が、令夫人と共に、国賓として我が国をご訪問になりましたことを心から歓迎いたします。ここに、今夕を共に過ごせますことを、誠に喜ばしく思います。

 本年、日本とフィリピンは、両国の国交正常化から70周年の節目の年を迎えました。両国の間には、過去に苦難の時期もありましたが、戦後、我が国が平和国家として歩み始めて以来、多くの先人たちが、両国間の相互理解と信頼を育むために努力を積み重ねてきました。先の大戦後の両国の歩みは決して平坦(へいたん)な道のりだけではありませんでしたが、1956年の国交正常化以来、共に手を取り合い、一歩ずつ関係を深め、友好関係を確固たるものとしてきました。その歩みの中で、マルコス大統領のご両親であるフェルディナンド・エドラリン・マルコス大統領ご夫妻にも、1966年、そして1977年の2度、国賓として日本をご訪問いただきました。

 2016年の国交正常化60周年に当たり、私の両親である上皇上皇后両陛下は、当時の天皇皇后として貴国を訪問されました。訪れた各地で貴国国民から温かく迎えられたことや、日本で看護師・介護福祉士になることを目指して日本語研修に取り組むフィリピンの方々と触れ合われ、50年以上の歳月を経て、両国関係が大きく進展してきたことを実感されたと伺っております。今日の両国関係が、多くの人々のたゆまぬ献身的な努力の上に築かれていることを胸に刻みつつ、これからも両国の信頼関係がますます深まることを切に願っております。

 日本とフィリピンは、困難な時に互いに助け合うことで信頼を一層確かなものとしてきました。我が国が東日本大震災や能登半島地震などの大きな自然災害に見舞われた際、貴国から義援金や救援物資などをお寄せいただいたことに、改めて深く感謝いたします。また、昨年セブ島沖で発生した地震や台風の被害により、多くの尊い命が失われたことに心が痛みました。一日も早い復興を心から願っております。

 私にとって初めての海外訪問は、1974年のオーストラリアへの旅行でしたが、往路の飛行機が給油のためにマニラ空港に立ち寄っており、フィリピンは、私が初めて降り立った外国の地となります。マルコス大統領が初めて日本を訪問されたのは、1970年に大阪で開催された日本万国博覧会に、ご母堂であるイメルダ・マルコス大統領夫人に同行された時と伺っております。昨年の大阪・関西万博に際しても、大統領ご夫妻で万博を視察されたと伺っており、マルコス大統領が、日本で開催された万博に二度もおいでになり、両国関係の緊密化に寄与いただいたことをうれしく思います。

 私自身がマルコス大統領ご夫妻と初めてお会いしたのは、2023年2月に皇后と共に皇居でお目にかかったときでした。マルコス大統領と私は、いずれも英国のオックスフォード大学に留学しております。私の留学中には、フィリピン人留学生にとても親切にしてもらい、フィリピン人の親しい友人ができたことをよく覚えており、マルコス大統領との会話においても、共通の友人やオックスフォードでの生活など、当時の思い出話に花が咲いたことが深く印象に残っています。

 本年の国交正常化70周年のテーマは「未来を共に織りなす:平和、繁栄、可能性」であります。近年、日本とフィリピンの間では、政治や経済、文化での交流のみならず、科学技術や防災といった新たな繁栄につながる可能性のある分野でも協力が進んでいると聞いております。特に宇宙関連の分野においては、両国の関係機関が協力して衛星の開発や打ち上げを行ってきたほか、日本の宇宙技術や衛星データ解析技術が、フィリピンの災害リスク低減や迅速な災害対応に活用されるなど、より具体的な成果につながっていると聞いています。日本・フィリピン両国が、海でつながる親しい隣国として、今後も緊密な交流を続け、平和で可能性にあふれる未来を共に織りなし、繁栄していくことを期待いたします。






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Last updated  2026.05.27 21:38:40
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