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いつものレッドのニュースの解説が終わり、出勤の準備のために帰ってしまうと、やはり手持ち無沙汰になった。そして今日も、昨日とちょうど同じAM5:18にカラスが飛来してきた。そして例の両頭ヘビを夜中に見つけた辺りに着地した。首をひっこめるような仕草をして辺りを見回している。それを見て私は、マッギーがコーヒーを飲む時にちょうど同じような仕草をしていたのを思い出した。やがてそのカラスは、何か納得したようにまた飛び去って行った。おそらく、明日もやってくるんだろう。。。私はあのカラスをマッギーと名づけることにした。(当の奥さんの様子はどうなんだろうか。。。)引き上げる時間になって、私は帰りの道すがらマッギーの葬儀の時に一瞬見かけたタコヤキの奥さんの表情を思い出してみた。思いつめたような表情をしているように感じたが、今になって考えてみると、おそらく睡眠不足もあったのだろう。監視を引き受けはしたが、あの時以来姿を見ていない。今日はタコヤキが仕事の休みを利用して実家にやって来て、オレとも夕方会う約束をしている。その時に、奥さんにも会わせてもらおうと考えながら、私はベッドに横になった。おそらく夢の中では、数時間前に見た両頭ヘビが主役ばりの存在感で暴れまわることだろう。元々ヘビはあまり得意でないし、あんなやつの大群に取り囲まれた、なんてことになったら、私もカエルのようになるしかないだろう。。。to be continued...
2006/08/23
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早朝の黒い来訪客は少なからず気になったが、それ以外には特に異常はなかった。翌日、私は街灯の明かりを利用して、タコヤキが送ってくれた資料を何度も読み返していた。ヤツの周辺で起きている連続失踪事件に関する記事では、警察は3件の失踪については何らかのを関連性がある、としていた。タコヤキの調査によれば7件は間違いなくて、次第にその差は縮まっていくだろうと書き添えてあった。私は、ヤツの調査に協力しているわけでなく、奥さんに何かあった時のためにここにいるだけだ。。。自分にそう言い聞かせて、調査の方法について口を出したくなる気持ちを抑えた。その時、私はそろそろやって来るはずのレッドを少し心待ちにしていたような気がする。しかし、それどころではなくなった。見張っている家の斜め向かいのあたり、私の位置からはピッチャーマウンドからホームベースくらいの距離だろうか。雑草が生い茂った空き地の、不動産会社の看板が立っている付近で、微かに何かが動いた。。。私は迷わず車を降りた。静かに近寄ってみると、看板の足元にいたへビがゆっくりと雑草の間に隠れようとしているところだった。その異様な姿に驚いた私は、全身が隠れてしまうまでただ眺めているしかなかった。見た目はアオダイショウのようでもあるが、頭が2つある。尻尾があって、胴体が途中で2つに分かれた双頭のヘビというのは、写真で見たことがある。確か、剥製も各地にある、という話をきいたことがあるから、実は大して珍しくはない。異様だったのは、進行方向とは反対の端、尻尾があるべき部分にも頭があったことだった。後になってマスターに聞いた話では、プリニウスの『博物誌』やその他の文献に、私が見たのと同じヘビについての記述があるらしい。アムピスバエナと言って猛毒がある(プリニウスの言う事だからあまりアテにはできないが)ということだった。ある動物学者は、このアムピスバエナというのは足なしトカゲの一種であろうと推測した。尻尾が先細りしていない種類のものがいて、その尻尾を頭と見誤ったのだろう、という説らしい。マスターもこの説が有力だろうと言っていた。その時の私は混乱していた。やがてレッドがやって来て、思わずその話をしたが、『疲れているんじゃない?』と言った。そんなことはない、ちゃんと睡眠はとってる、と言うとレッドはこう答えた。「でも、もしそれが本当だとしたら大変だと思う。こっちへ行きたいと思っても、もう1つの頭がそれに従わなかったらどっちへも進めない。」私は、このヘビはどっちへも進めるようになっている、と考えたがレッドの意見は正反対だった。(場合によってはどっちへも進めるが、場合によってはどっちへも進めない、というわけか。。。)to be continued...
2006/08/18
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ただ、姿が見えないからといって、ここに居ないとは限らない。現に私は、マッギーの遺体が発見された直後にマッギーと話をしたのだった。何とはなしに、マッギーがドアから出て行こうとしているように感じて、私は出入り口に目をやった。すると、ドアがギィィッという音を立てて開いたので、さすがに少し驚いた。なんのことはない。マスターが帰ってきたのだった。「やぁ、マスター。店を空けるなんて珍しいじゃないか。」「そう、こんなことは初めてだ。」いつもと変わらない調子でマスターは答えたが、私にはピンと来るところがあった。(マスターは珍しくイラだっている。。。)「わけありだね。」「折り入って頼みがある。」神妙な顔つきだった。いや、神妙な顔つきはいつものことだが、話を続けるのにこれほど時間がかかるのは珍しいことだった。「昨夜ここで話していた件、大したことは事はできないとは思うが、私にも協力させてほしい。事情は想像に任せる。あの子でも役に立つ事があったら何でも言ってくれればいい。」マスターはレッドの方に目で合図を送りながらそう言った。なんだか雲行きが怪しくなってきた。以前の私なら断っていただろうか。。。「探偵さん、明け方に差し入れに行くけど何がいい?」とまあ、こんなやりとりがあり、毎晩レッドが差し入れを持ってくるようになった。レッドはおそらく夜のニュース番組で聞いてきたと思われる事件や事故の話題をきっちり1時間話し続けて、最後に話をまとめてしまう、という特技を持っていた。私には、相槌をいれる必要もないように思われた。この日も、タコヤキの奥さんに異常はないようだった。レッドが家に帰り1人になった私は、レッドがいつもポットにいれてきてくれるコーヒーをチビチビと口に含み、残りの時間をやり過ごす。頭の中が、家のベッドに寝転びお気に入りのDVDを流しながら眠りにつくことでいっぱいになり始めた時、突然アイツがやってきた。このあたりの住宅地ではあまりみかけないヤツだ。カラス。。。1羽だけ閑静な住宅街に間違えて入り込んでしまったように、この家の前の道に沿って通り抜けていった。時刻はAM5:18こんな時間にあまり出会いたくない相手だった。to be continued...
2006/08/14
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タコヤキと話した翌日、いつも通り『ウクバール』のドアを開けた私は、一瞬にして白い霧に包まれてしまった。私は少し驚いた時などに、たまに視界が白っぽくぼやけることがあった。ストロボの照射時間が長すぎてハレーションを起こしてしまった。。。ような状態に近いだろうか。。。カウンターのいつもマスターがいる場所に、なぜかレッドがいたからだった。私が動揺している様子を楽しんでいるように見えた。レッドのそんな少し意地悪そうな表情を見たのは初めてかもしれない。「あ、探偵さん。今日は早いのね。」この日はタコヤキの奥さんを夜なべで見張りをする初日で、確かにいつもよりは早い時間だった。「やぁ、新入りだね。マスターは?」「出かけてる。。。」カウンターの中での作業に熱心で、私の方を見もしないで答えた。私はただなんとなくその動きをみていたが、気持ちが沈んでいるような様子ではなかった。ほんの少し手の動きが止まりかけたところで、私は薄めのコーク・ハイを頼んだ。朝まで起きていなければならないので仮眠をとってからやって来た。起き抜けの目を醒ますにはこれがいい。レッドが慣れない手つきでコーク・ハイを作り、カウンターを大回りして私の前に運んできた。「マスターと知合いなのか?」レッドの顔がほんの間近に来た時に突然そう声をかけると、不意を突かれて少し驚いたように顔がこわばった。「ええ、まぁ。。。」私のまわりには、まだ薄くもやがかかっているようだった。レッドがカウンターの中に戻ると、私は何となく上着の内ポケットから小さな紙切れを取り出してみた。最初はマッギーからイエローへのメッセージだったが、いろいろあって私が預かってしまったメモ用紙だ。裏では、頭にネコの耳が生えた女の子が、いつもこっちを向いて微笑んでいる。問題はオモテだ。書いてある文面がその時によって変わる。『編み上げブーツ萌え~~!!』(ブーツ?レッドが履いてた?)カウンターの中に入ってしまったので、今は赤いカーディガンを着ていることしか確認できない。マッギーは目ざとく見ていた、ということだろうか。。。私は店の中を入念に見まわしてみたが、やはりマッギーの姿はない。昨日葬儀が終わったばかりだから当然といえば、当然だった。to be continued...
2006/08/10
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タコヤキが奥さんを実家に残し、子供だけを連れて行ってしまってから1週間が過ぎた。この奥さんはなぜか夜中に家から靴も履かずに外に出て行こうとする。タコヤキが言うには、新手のストーカーの仕業らしい。本人は、誰かに手を引かれる、と言っているらしい。近所で同じような話が何件かあり、失踪したケースもあったからだ。タコヤキというのは私の高校時代の同級生だが、当時はあまり親しくはなかった。今は親しくなった、というわけではない。ヤツは奥さんの異常に気がつき、夜中は車で家の外に連れ出すようにした。それまでにいろいろ試行錯誤はしたらしい。その結果、その家にさえいなければ特に問題はないように思えた。しかし、知り合いの家を渡り歩くわけにもいかず、ホテルで毎晩過ごすわけにもいかず、新築した家から引っ越すわけにもいかず。。。考えた末に、奥さんだけを自分の実家にかくまっておくことにした、ということだった。私は毎晩、ヤツの実家の前で玄関先の見張りをした。この家の番犬になったようであまり気分はよくなかったが、引き受けてしまったものはしょうがない。夕方仮眠をとり、『ウクバール』で時間を調整して、ヤツの両親が寝静まる11時きっかりに現場に到着する。万が一眠り込んでしまっても、玄関先にセンサーを仕込んであるので問題は無い。夜中というべきか明け方というべきか、3時半ごろになるとレッドが差し入れを持ってきてくれた。彼女は助手席に座り、1時間ほど一人で話をして帰っていく。私は、コンビニで買ってきたらしい差し入れのおにぎりだかサンドイッチだかを口に運びながら、黙って相槌をうった。昨夜は、相槌をうちながら眠ってしまったらしい。「探偵さん、もう5時半よ。」「あれ、警官はどこへ行った?」私は警官に追われていて、狭い路地に逃げ込み、行く手を別の警官に阻まれ、絶体絶命のピンチをレッドに救われた。「何寝ぼけてるの?私もう行くね。」レッドは私の肩を揺すりながらそう言った。「黙って行けばいい。。。」「そうはいかないのよ。『ウクバール』のマスターとの約束だから。。。」初耳だった。私は『ウクバール』で初めて彼女を見かけた時のことを思い出していた。to be continued...
2006/08/06
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