フィリップ・パ~ロウ探偵事務所
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1
タコヤキとブロンドが揃って、私の向かいの席に座った。3人で軽い食事をとりながら私は、夜中に家の前で張り込んでいたが、特に変わった事はなかった、と(やや虚偽の)報告した。ブロンドの髪の色の抜き加減は、やはり私の記憶が正しかったようで、ごく控えめなものだった。夢で見た苦悶の表情が時々頭に浮かんできた。「現地では、何か収獲はあったかい?」「ボンヤリしてた訳じゃないが特に決め手になるようなことはわからなかったよ。行方不明者の共通点は何もない。」「そうか。。。」「あまり参考にならないけど、これを見て欲しい」そう言って書類をテーブルの上に出した。手作りの資料というわけだろうか。半分が顔写真で、残りの半分には簡単なプロフィールが書き込んである。1人分のデータがA4用紙1枚になっていた。「再生紙を使用しているな。。。」「相変わらずだね。僕が関係があると見ている7人だよ。僕なりに調べてみたが、この程度のことしか分からなかった。」タコヤキから渡された、インクジェットプリンターで印刷されたと思われるやや粒子の粗い顔写真を眺めていた時、私は少し奇妙な感覚に襲われた。どんな感覚か。。。うまく言葉で表現することができない感覚というのはたまにあるものだ。いや、実際はよくあるのだが、よく使われる決まり文句でその場は納得してしまうだけのことだ。本当のところは、そんな手垢にまみれた表現を使っても、本人にとっても相手にとっても全く意味をなさない。言葉にすればするほどリアリティがなくなり、実際の感じからは遠いものとなっていく。。。ただ、私の今のこの感覚は、いわゆる『決まり文句』でもどうにもならないものだった。これまで感じたことのない、『奇妙な』としか言いようのない感覚だった。「お互いに面識もないし共通の知り合いもいない。パソコンや携帯電話の履歴を調べても、怪しいサイトを訪問したような形跡も特にない。僕の思い過ごしなんだろうか。。。って気もしてきたよ。」タコヤキの言葉が、上滑り気味ながら辛うじて意味を理解できる程度だった。to be continued...
2006/10/03
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