ツカツカツカ。
3度目に彼女が来た時、もうだめだと思った。
完全に顔を覚えられている。
彼女の形相はますます厳しくなり、私の腕をむんずと掴み、「どうして乗らない?」
(私は添乗員を待っています。彼がここで待てと言ったから)
「添乗員はどこにいるの?」
まだ来てない。
「彼はインド人?日本人?」
(日本人)
「どこ? いないじゃないの。早く乗って! !」
最後まで残っていた4人も敢え無く搭乗することに。
先に乗りこんだ皆様は既に目をつぶっておられる。
添乗員が入ってきた時に真っ赤な顔してるし、きっと狼狽したに違いないと思って、
(ごめんなさいね、待ってたんですけど、係員に何度も怒鳴られてしかたなく乗ったの)
「この旅行の運営管理者は私です! 私の指示に従ってください! !」
しーんとしてる、狭い機内で、一斉に皆が私と彼を見る。
えーーーーーーーーーーー!?
う、運営管理者!? 赤の砦に行けなかったあなたが、煙草を吸いに行ってて、ゲートに直前まで来なかったあなたが、私を批難してるの!??
ショック状態で言葉がでない。
「うちの娘は添乗員さんを待たなくちゃいけないって言ったんですけど、凄い剣幕で怒られて・・・」
「誰ですか! ! 誰に言われたんですか! 抗議します! 私が責任者なんですから!!」
(キャセイパシフィックのインド人スタッフ)
「許せない! !」
煙草吸いに行ってたあなたが許せなくても、そんな抗議が通るとも思えませんけど?
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