Dobrze Widzi Sie Tylko Sercem

Dobrze Widzi Sie Tylko Sercem

February 24, 2005
XML
カテゴリ: 旅行記



「(ここにいる)みんなは幼なじみだよ。こんなガキの頃からのね」

そう切り出したのは、ホテルの女主人と一緒に私を部屋に迎えに来た彼だ。青年は「ガキ」の頃の背丈を手で示した。

他のみんなはすでにジュークボックスの方で、音楽にあわせて騒がしく踊っていた。

「…でも、仲よさそうに見えるけどね、友達とは言えないよ。」

この会話が、みんなに聞こえないのを確かめてからそう言った。私はびっくりした。

「みんなライバルなんだ。誰が多く金を稼ぐか。あそこにいるあいつだって、スペインに出稼ぎに行くという連絡さえくれなかったんだ。スペインに数年いて、電話をくれたのはたった一回さ。」

「ドイツ人はみんなで協力しようとする。でもポーランド人は、協力しようとはしないんだ。みんなライバルなんだよ。この血がね、そうさせるんだ。そういう民族なんだ」

彼はそうこっそりと教えてくれたのだった。寂しそうな表情をしていた。

あんなに仲よさそうに見えるのに・・・。
本当の友達じゃないなんて。
寂しい。
でも、どこかで心は、本当は、通じてるんじゃないのかな。

私はここではただのお客だ。
全く関係のない他人にだから話せることってあるのかもしれない。身近な人だからこそ話せないことも、あるんだとしたら。


私は翌朝早くに、駅を出た。
ホテルの女主人さんが出てきて、出口まで送ってくれた。
「私たちのことを覚えていてね!」、と。

辺りは曇っていてまだ寒い。再びここを訪れることはもうないだろう。そう思って、自然の景色を目に焼き付けてから、人気のない電車に乗り込んだ。

ポーランドではイースターが終わると、真っ白い、長い冬は終わりを告げる。一度死んでしまったかのような木々に芽がつきはじめ、やがてその葉が開き、新緑が辺りを覆い始める。私にとっては特に長い冬であり、待ちこがれた春。冬があまりにも長いと、芽をつけた枝を見つけただけで春を想い、感嘆するようになる。私はポーランドにいて初めて、春が訪れることの「奇跡」を知った。死後3日後に甦ったキリストを祝う復活祭。そのキリストの復活とともに気候は暖かくなり、裸の木々は命を取り戻す。その春の訪れの「奇跡」は、まるでキリストの復活の奇跡を更に際立たせ、象徴づけているかのようだ。

「本当によくできているよ。」

そんな風に友人が言った事がある。確かによくできている。この時期にあって、復活祭。行事というのは、本来どこでも季節とともにある、ということを感じさせる。

そんな、イースターの時期の出来事。この旅の印象は、なんとなく寂しく、そして同時に人の暖かさを感じるものだった。印象に残るのはあのひっそりとした錆びれた駅、でもゆたかな自然と、イースターのゆったりと流れる空気。緑に囲まれた河沿いで遊ぶ男の子たち、と水をかけられた思い出。あの場所を思い出そうとして頭に思い浮かぶのは、いろんなものが混ざり合ってひとつのうねりを織り成すような、織り成す、としか表現のできない感覚。

そんな印象の、旅。

(終わり)






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  February 25, 2005 12:28:24 AM
コメントを書く
[旅行記] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

KUMAKKO7648

KUMAKKO7648

Comments

KUMAKKO7648 @ Re:かなり久しぶりのコメント。(08/06) spring breezeさん コメントありがとうご…
spring breeze @ かなり久しぶりのコメント。 お久しぶりです。 お仕事お疲れ様です☆ …
KUMAKKO7648 @ Re[1]:もうひとつの世界(04/10) かなさん ありがと、大丈夫だよー☆ 先週…
かな@ Re:もうひとつの世界(04/10) 社会人生活、忙しいのかな。 無理してな…
KUMAKKO7648 @ Re:私も(03/03) かなさん >でも、私もKUMAKKOちゃんの運…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: