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2010.11.10
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デビュー作「慟哭」で有名な貫井徳郎の〈症候群シリーズ〉の第1作を読んだ。

○ストーリー
警視庁の人事二課の環には,警察として漠然と事件性を感じている事象を調査するという”裏の仕事”がある。今回,環は若者に頻発している失踪事件の調査を始める。環の仕事を手伝う3人の民間人たちは,早々に背景のカラクリに気付くが,同時期に彼らとは別に失踪者を追っているグループがあった。失踪者の1人が拷問を受けた姿で発見され,事件は別の姿を見せ始める。

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「貫井作品の中では珍しくエンターテインメント性が高いシリーズ」という紹介を参考に〈症候群シリーズ〉を手に取ってみた。

”裏の仕事”を持つ警察官,彼の仕事を手伝う年令も仕事もバラバラな民間人3人,と主人公たちは,なかなか興味深い人々だ。だが4人の主人公のうち,家族構成や心の内面が語られるのは原田という元刑事だけなので,残りの3人については謎のままだ。シリーズで徐々にどういうキャラクターなのかが分かってくるのならば良いが,なんとなく消化不足な印象を受けた。

というか,成年とは言え,家族から失踪として届出が出ている人々の調査は,何も秘密裡に行う必要は無いような気がする。環という警察官って本来どんな事件を調査するための人物なんだろう?

もっと政治がからんでいたり,警察内部の闇だったり,そうした事件を捜査するのでないと,わざわざ身分を隠す必要がないと思うんだけどな。

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わざわざ環を別の部署に所属させるような,隠密性を要する調査ならば,一通りの作業を終えたら終了すべきだと思う。間違っても,その過程で気が付いた別の事件について,頼まれてもいないのに,所轄に何の連絡もしないで,解決しようなんてすべきではないと思う。

ただでさえ得体の知れない環が,ワケの分からない行動を指示するので,余計混乱してしまった。

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相変わらず,人間を見る目が厳しくて,テレビゲームにしか興味が無い若者,ノルマを上げられない不動産店店員,親を信じることのできない女子高生,世の中をバカにし切ったロックバンドと,救いのほとんど無い若者たちを克明に描写している。

ただそうした人々を,どこかで「やる気が無い」と責めている様な描写が多い。それでは「失踪症候群」の本当の謎は解けないような気がする。

文章も,ところどころ文語調で硬い。聞いたことの無い慣用句とかも並んでいて驚いた。

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〈症候群シリーズ〉はライトに楽しめるということで手に取ったが,決してテーマまでライトなワケではない。また物語が,「寄り道をしても最後に真相にたどり着く」ではなくて,「真相にたどり着いたあとに,寄り道が始まる」というものだったので,結末に謎解きのスッキリ感が不足したように思う。

和製ハードボイルドを読み始めているのだが,貫井徳郎はなんかチガウ,改めてそう感じてしまった。









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Last updated  2010.11.10 21:43:19
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