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2011.04.25
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逢坂剛の古い短編集を読んだ。

○ストーリー
小学生の少女が誘拐され,犯人から身代金の要求があった。だが犯人は自宅の火事を原因とする職務質問であっさりと逮捕され,少女も保護される。事件は怨恨と金銭目的の誘拐事件かと思われたが,事件には意外な謎が潜んでいた。

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作家の初期短編集らしく,緊張感とサービス精神に満ちている。また後のいくつかの逢坂剛のシリーズの原形が収録されており,ファンとしても楽しめる要素が多い。

精神分析モノ,悪徳刑事モノ,ハードボイルド風の小品,御茶ノ水界隈モノ・・・意外や意外で,スペインやギターについては一切言及されないまま,作品が終わってしまう。スペインを舞台にした作品が無くても,キチンと小説を書けるといういい証明だろう。

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1980年代という中途半端な距離感が邪魔して,損をしているという印象があり,この作品に関して書かれている感想文は少ない。

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「情状鑑定人」:平凡な身代金目当ての誘拐だったはずの事件は,徐々に違う様相を見せ始める。情状鑑定人の立花文代は段々と事件に深く関わっていく。・・・意図的なんだろうけど,登場人物に神経を逆撫でされる。鑑定人の教授,鑑定対象の犯人,犯人の息子,事件の被害者,どの男も気持ちが悪い。なんだかヌメヌメとした感覚で,早く作品が終わってくれないか,とさえ思ってしまった。だが,最後のひねりには感心した。

「非常線」:Q市を訪れた公安の石上警部は,発生した銀行強盗の犯人を押さえるための非常線に辟易する。だが警部は山中の道路で・・・まるで映画のようだ。ページをめくるたびに,次々と上を行く悪事が明らかになるので,緊張感マックスだ。

「不安なナンバー」:昔の同僚に頼まれて数時間タクシーの運転手を代わってやる。それだけだったハズなのに,その夜は彼らにとって最悪の夜となった・・・自動車のナンバープレートをキーに,複雑な事件がいくつも絡み合う。というか,絡み合い過ぎだろう。

「都会の野獣」:私と萌子のバーに現れた曽根という男により,2人で築いてきた空気はあっさりと壊れてしまった。この男は萌子の何を知っていると言うのだろうか?・・・物語の渦巻きにどんどんとはまっていくような不思議な感覚の短編だった。もう少しスリム化できるとは思うが,なかなかのドライブ感だ。

「死の証人」:殺人事件の証人の佐伯祥子は,逃亡中の容疑者から身を守るために,友人宅に居候する。だがそこに容疑者が忍び込み・・・意外性はあるのに,後味の悪さばかりが目立つ。

「逃げる男」:夜の急行列車の中に乗り合わせた男に,別の男が2年前の事件について語り始める。だがそれは恐怖の夜の始まりだった。・・・〈公安警察/百舌シリーズ〉風なエッセンスが見え隠れする作品だ。

「暗い川」:御茶ノ水署の斉木と梢田の刑事は,公安の女性刑事の依頼で,ヤクザからクスリと現金を奪うことを計画する。だがヤクザの意外な反撃に会い,斉木と梢田は・・・意表をついて〈御茶ノ水署シリーズ〉の第1作がここの収録されていた。設定は同一だが,後のシリーズと比べると,斉木たちの悪徳刑事ぶりがより強い。





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Last updated  2011.04.26 22:36:31
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