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2011.04.26
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カテゴリ: びしびし本格推理
道尾秀介のホラー短編集を読んだ。

○ストーリー
掘り起こされた死体がきっかけで取調べを受けている男。彼が隠そうとしている罪は何なのか?鈴虫だけが,その全てを見ていた。

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久々に道尾秀介を読んでみて,感服した。

まずはどの短編も,手に取れるような実体感のある”不安感”に満ちている。それは登場人物が感じていたりもするが,間違いなく読者の中に満ちてくる。

次は見事なストーリーテリングだ。各短編の始まりはスッと無防備に入ってきてしまって,あっと言う間に読めてしまう。それなのに少しずつ違和感が発生し始めて,そして恐怖の結末へと向かう。

なんだか妙にクヤシイけど,とにかく巧い。

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そうした共通のパーツを持ちながら,各短編は驚くほどタイプの異なる構成,ジャンル,そしてロジックとなっている。

これは道尾秀介の最初の短編集らしいが,若い作家らしく,まだまだ書き足りない,とでも言いたいようにチカラに満ちている。

さすが道尾秀介,他人を不快にさせるテクニックは天下一品だ。

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「鈴虫」:10年ぶりに発見された友人の遺体のそばから,私の所持品が見つかった。私が警察に語った不思議な物語とは・・・ヘンだなと思いつつも,最後に納得させられてしまう。ミステリー的には設定的にはひじょうに凡庸なのに,作品としてはよく出来ている。

「ケモノ」:静かな僕の家で,過去からのメッセージが発見された。僕はそれが指し示していると思われる,20年前の事件の舞台へ足を運ぶが・・・真相に近付いても,誰も幸せになれない,という特殊な物語。

「よいぎつね」:祭りの夜,女性を襲った僕は,20年後に訪れた祭りで,若い男に遭遇する。・・・タイムスリップモノなのか?人間に対する天罰を語っているのか?不思議な作品だ。

「箱詰めの文字」:作家となった僕には秘密があった。それをあばきに来た男を,僕は・・・これまたミステリーとしては,かなりありふれた設定だ。アパートを人々が行き来する,不思議な道尾ワールドだ。

「冬の鬼」:彼と暮らし始めてから数日を語る日記文。だがそこには驚愕の事実が隠されていた。・・・1月8日から1日ずつ過去へとさかのぼる形式の短編だ。ありえないほどキツイ条件なのに,見事にホラー&ミステリーとして成立させていて,びしりと割れてしまいそうな緊張感に満ちている。

「悪意の顔」:全てを呑み込んでくれる絵画。そこに自分の恐怖を吸い込ませ,クラスのS君とうまく付き合っていこうと考える僕だったが,事件は意外な方向へと動き始める。・・・これだよ!これ!少年のファンタジー世界と,現実の事件がシンクロしていて,同じ場面で違う恐怖感を味わうことが出来る。複数の解釈が出来る短編でもある。









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Last updated  2011.04.26 23:28:05
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