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2017.06.15
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女性探偵のハードボイルドシリーズとしては大傑作の〈葉村晶シリーズ〉の最新作を読んだ。

〇ストーリー

猛暑が続く東京の住宅街にあるミステリー専門書店。葉村晶はそこで店員と探偵を兼ねていた。ある1週間,ご近所から次々と,彼女へ調査依頼が舞い込む。運良く,順調に調査を片付けていく葉村だが,この一連の仕事の裏にはある計画が進行していた。そしてついに・・・

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2014年の長編「さよならの手口」に続き,2016年に短編集「静かな炎天」が登場した。

若竹七海は現在寡作なので,〈葉村晶シリーズ〉を次に読むことが出来るのはずっと先だと思っていたので,続けて発表されたのは実に喜ばしい。

珍しく発表が続いても,やはり葉村晶はそのままだった。お人好しで,けれども相手のことを冷静に観察していて,調査は少しの容赦もなく行い,ひどく不運であちこちケガをしている。

短編は,ハードボイルドとは呼びづらいものもあるが,葉村晶の生き方がハードボイルドだ,とファンなら思うので,やはりハードボイルド作品だろう。(笑)

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ブラック企業的な指示を出す上司,それをいくらでも受け入れる葉村。何なんだろうこの状況。ここまで来ると怒りを覚える。コメディ要素のパターン化にしても笑えない。

他のパターンを探すべきだろう。

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葉村晶は京王線の仙川に住んでおり,中央線,ないし井の頭線の吉祥寺にある書店まで徒歩やバスで通勤している。

それ以外にも,仕事や依頼で都内をあちこち回るのだが,高田馬場が東の外れで,あとはほとんど新宿から西側のエリアだ。僕は生まれ育ったエリアなので,楽しみながら読むことが出来たが,あまりこのエリアに詳しくない人には,ちょっとツライと思った。

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短編「血の凶作」の最期の2行は謎だ。これが隠されていた犯行を示唆するのか,ただの世間話なのか,読者の間でも解釈が分かれているようだ。

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各編について簡単に感想を述べる。

「青い影」:アルバイト先の吉祥寺の書店に徒歩で向かう途中,葉村晶はダンプカーとバスの衝突から始まる多重事故に遭遇する。事故処理を手伝い,目撃証言も行った彼女に,後日警察から連絡が来る。警察に寄せられていたのは事故に巻き込まれて死亡した若い女性の母親から,娘の青いバッグが消えてしまったという相談だった。そこで葉村は,事故現場から堂々と歩み去った女性の姿を思い出す。そして彼女が突き止めたのは?・・・タイトな短編だが,困った人をついつい助けてしまう葉村晶の優しさと,調査に手を抜かない頑固なところが良く出ている。また終わり方も実に良い。素晴らしい。

「静かな炎天」:葉村晶が勤めている書店は吉祥寺の住宅街にあり,どうしても隣近所の家庭の事情まで詳しくなってしまう。8月の猛暑の中,なぜか近所から彼女に調査の依頼が続く。その裏にはある計画が進行しており・・・前の短編でもそうだったが,葉村晶がネットを利用しての調査を見事にマスターしている。これにより時には昔の同僚に頼んでいたデータ調査も自分1人でこなしてしまう。ますます孤独になっているような印象を受けるのは僕だけだろうか?緊迫のクライマックスの後の展開は,まあ若竹七海だから良いとするか。



「副島さんは言っている」:葉村晶は元同僚の村木に頼まれ,星野久留美という女性について調査をする。彼女は古い家に住み込み,そこをリフォームして売却するという仕事を行っていた。美人の彼女は自分の仕事の進捗具合をネットに公開していた。だが彼女は仕事で使うハンマーで撲殺され,村木ともう1人が重要参考人として警察に追われていた。・・・電話とネットだけで事件を解決する女探偵・葉村晶。あくまでも短編の設定として狙っている状況だが,スピーディに物語は展開するので楽しめる。

「血の凶作」:アパートの火事で死んだ男の名前は角田治郎,ハードボイルド作家・角田港大の本名だった。葉村晶は角田港大に依頼をされ,なぜこの男が彼の戸籍を使っていたのか,この男と彼は関りがあったのかを調査する。調査の過程で,バブルに踊らされた人々の悲哀が浮かび上がり・・・この短編は調査の状況が転々とするので,さすがにふざけ過ぎだと思った。登場人物が過剰で覚えきれない。その上,謎の最後の2行。もうギブアップだ。

「聖夜プラス1」:アルバイト先の書店のクリスマスオークションで目玉となる『深夜プラス1』の初版サイン本を受け取りに行った葉村晶は,頼まれごとを繰り返し,1日中東京を動き回る羽目になる。さらに事件に巻き込まれ・・・書店店長の富山の傍若無人ぶりは,葉村晶が黙って言うことをきいているから止まらないのだと思う。この短編では,富山クラスの人物が何人も登場して,イライラが止まらなくなる。イライラの対象は,文句を言いつつ依頼を受けてしまう葉村晶に対してだ。なんかの宗教なのか?と思うくらい,他人のワガママをきいている。調査の時のスマートさはどこに消えたのだろう?これがこのシリーズの持ち味なのは分かるけれど,さすがにあざとくないか?!!












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Last updated  2017.06.15 20:15:13
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