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2017.06.14
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
打海文三の青春小説を読んだ。

〇ストーリー

高校を休学した〈ぼく〉は,祖母と両親とが暮らすために建築されたものの,結局誰も住むことのなかった海沿いの〈Rの家〉で夏を過ごしにくる。だがそこには裸の若い女性と,怪しい中年男性がいた。彼らとゆるりとした奇妙な生活を始めた〈ぼく〉は,徐々に〈Rの家〉の完成直後に起きた母親の自殺の真相へと迫っていく。いくつもの犠牲を払いつつ,〈ぼく〉がたどり着いた場所とは?

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打海文三作品らしい,魅力的なキャラクター,瑞々しい文章,謎めいた状況が揃った佳作だ。哲学的な会話,登場人物の不自然な行動など,〈前衛的な純文学〉を目指したような技巧的な部分も目立つ。

これまでの作品でも,ハードボイルドの枠に収まらず,純文学的な心の動きを追求した部分があったが,この作品はそれをさらに超えて,作者の書きたかった寂しい人々の魂の遍歴を最後まで突き詰めたという印象だ。

打海文三作品でも,なかなか変わったカラーのものであることは確実だ。

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主人公の少年・リョウが,従姉たちと追求するミステリーは,彼の母親の自殺の真相だ。幻想的な事件について,捜査により次々に新しい情報が明らかになるものの,なかなか真相が見えてこない。我々も主人公の飢餓感に共感し,ついつい物語の先へと読み進めてしまう。



ここでやはり思うのが,打海文三は純文学作品を書きたかったのだろうということだ。それがこの作品で一気に発揮されたと思う。

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高校休学のリョウとともに〈Rの家〉で暮らすのは,元風俗嬢の美しい娘・李花,そして不良中年の雅彦だ。彼らは自堕落な生活を送りつつ,少しずつ関係を深め,いつしかかけがえのない仲間へとなっていく。

このアウトローな生活を彩るのが,リョウの父親の美由起,母の自殺の真相を知る理恵など,魅力的な女性たちだ。

日常の時間から離れているのに,驚くほど濃密で鮮やかな時間・・・純文学だなあ。

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作品はひじょうに思わせぶりで,濃厚なのだけれどラストまで読んでも,ハードボイルドやミステリーのファンとしては,落胆を隠せなかった。

あまりにも文学的なオープンエンドなのだけれど,結局文学に憧れたブンガクでしかないような,悲しさしか残らなかった。

そりゃ,現実はミステリーのようにきれいな決着なんてつかないのは分かるけれど,もうちょっとなんとかなったはず。残念だ。












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Last updated  2017.06.14 20:18:18
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