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この顔は時空を超えている。完璧に整った目鼻立ち、薄化粧、知的で賢明で、バリバリ仕事のできそうな女性。高層オフィスビルの重役室に座って部下に指示を出していたとしても、なんら違和感はないだろう。美貌と才覚でのし上がる女性の典型に見える。そしてそのとおりだった。彼女こそロココ時代の華やかなフランス宮廷で、ルイ十五世の公式寵姫として政治までも動かし権勢を誇った、マダム・ド・ポンパドゥールその人なのだ。その中野さんが、メンツェルの筆になる「フリードリッヒ大王のフルートコンサート」を取り上げているのを見て、何が書いてあるのか知りたくなりそのまま購入。興味津々で中身を拝見しました。
どことなく心ここにあらずの憂い顔でチェンバロを弾いているのは、かの大バッハの息子カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ。才能を見込まれて宮廷音楽家となったものの、雇い主の王の個性が強烈すぎる上、彼の伴奏ばかりでストレスも溜まる。我慢は二十七年。王には引き留められたがそれを振り切って自由都市ハンブルクへ逃れ、のびのびと作曲や音楽監督に専念し、当時としては長寿の七十四歳まで生きた。とあり、宮仕えの辛さを現代の感覚でズバリ。
…音楽はフルートとオペラが上位で、ヴァイオリンやチェンバロは伴奏楽器にすぎないと見做して薄給にとどめ、そうした己の判断(偏見)に微塵も疑いを持たなかった。扉絵のバッハが浮かぬ顔なのも当然だろう。というわけで、続く文中ではフルート教授のクヴァンツがバッハの7倍近い報酬を得ていたことを暴露します。(うーむ、いくら何でもこの差は酷い…)



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