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2025.12.21
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カテゴリ: 音楽


ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)といえば、日本人クラシック音楽ファンも崇拝してやまないあのベルリン・フィルの終身主席指揮者・兼音楽監督(1956~1989)として有名でした。なので、昔の亭主なら反射的に「ドイツ人」と答えたと思います。が、彼がザルツブルグ出身のオーストリア人であり、音楽をザルツブルクのモーツァルテウム音楽院とウィーン音楽院で学んだこと、ウィーン・フィルの首席指揮者(1946~)やウィーン国立歌劇場の音楽監督(1956~)を務めていたことを考えても、彼の精神的・文化的背景はオーストリア人としてのカラーが農厚だったと想像できます。

この例に限らず、日本ではそもそもオーストリアという国の存在感が希薄で、せいぜい「音楽の都・ウィーン」を擁する中部ヨーロッパの小国という印象しかありません。それどころか、同じドイツ語圏ということで、ドイツの一部のような感覚すらあります。(なのでカラヤン=ドイツ人と思い込みも容易に起きる?)

ところが、カラヤンが生まれた当時、オーストリアはヨーロッパ最後の世界帝国であったハプスブルク帝国の末裔である「オーストリア=ハンガリー二重帝国」として落日の輝きを放っていました。同国ではドイツ人が占める割合は人口の4分の1程度、3割ぐらいがマジャール人、あとは様々な民族的背景を持つ人たちからなる多民族国家。首都ウィーンはこんにちで言えば米国のニューヨークのようなもので、19世紀末にかけて多彩で豊潤な芸術・文化が花開いた都市として歴史に刻まれています。(音楽や造形芸術のみならず、例えば有名なフロイトの精神分析もこのような文化的背景の下で生まれたとも言われています。)

一方で、現在のドイツの原形を作ったのが、18世紀以降に軍事的新興国としてポーランド北方から西進しながらのし上がってきたプロイセン王国。新興国ドイツ(1871~)が進取の気性を持って富国強兵と経済・社会の近代化に邁進した状況は、同時期に「明治維新」という政治革命を経た日本と同じでした。19世紀後半以降にドイツが自然科学の研究で世界をリードし、産業としての化学工業を大きく発展させたこともよく知らられています。(職業科学者=俸給をもらって研究する人が大学のようなアカデミア以外で誕生したのも同国が最初と言われています。)

これらを一言で要約すれば、オーストリア=凋落する古い世界帝国、ドイツ=日の出の勢いで進化し続ける新興国、という全く対照的な時代背景を持っていたと言えるでしょう。(オーストリア=ハンガリー帝国は第一次世界大戦の終了とともに1918年に消滅し、現在のオーストリアがその忘れ形見という感じで残っています。)

精神的な面においても、例えばドイツでは何事も「極端」で振れ幅が大きいのに対し、オーストリアは中庸を好むらしい(悪く言えば微温的?)。

実際、近年においてもウィーンとベルリンでは楽壇の雰囲気は大きく異なるようで、大雑把に言えば前者が「古き良き伝統」にこだわるのに対し、後者は基本的に新しい物好き。例えばオペラでも、ウィーンでは作品の時代に即した舞台作りが好まれる一方、ベルリンではほとんどが現代へと読み替えた舞台・演出だとか(「オーケストラに未来はあるか」浦久俊彦・山田和樹、ARTES)。

というわけで、ドイツ語圏のクラシック音楽を十把一からげで考えるのではなく、コインの裏表のような「2つのドイツ」を意識して眺めていると、いろいろな差異を発見できて楽しみも増すというものです。

ちなみに、これはもう一つの重要な精神的背景である宗教についても同じで、旧プロイセン王国の影響が強い北ドイツはプロテスタント、南ドイツとオーストリアはカトリックという違いがあることも思い出されるべきでしょう(詳しくは こちら )。

ところで、最近の新刊として話題になっているのが「地球の歩き方・ハプスブルグ帝国」。これまでの旅行ガイドが「地理」を中心にし、時代背景的にはごちゃ混ぜの名所・旧跡巡りの案内書だったこととは一線を画し、まずは正面から「歴史(事蹟)」を取り上げて、そのモニュメントとしての名所・旧跡を辿る旅を提案しようというもののようです。(亭主も大いに興味を覚えて早速1冊ゲットしたところで、これってもしかしてターゲットとなっているのは「教養主義」に弱い亭主のような世代か、と思い当たり、まんまと乗せられたことに気づくことに。)



亭主はまだ旧帝国の首都ウィーンには足を踏み入れたことがなく、足腰が大丈夫なうちに訪ねたいと願っているところですが、今は円安の上にロシアの軍事侵攻がいつ終わるとも知れず、その気になれずにいます。せめて本書を眺めながら空想の旅にでも浸るか…






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Last updated  2025.12.21 18:00:04
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