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October 29, 2005
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M&Aが行われる際に、しばしば、疑わしい動機によって進められることがある。


典型的なものが、社長、あるいは経営陣が自らの地位向上、影響力向上などのために行う場合である。本来、M&Aを通じて、彼らの利益が向上するのではなく、会社の利益が向上するべきである。三木谷社長は多分これに当てはならないであろうが、過去のM&A案件では、そのようなモチベーションが強く働いていることも事実である。


業務多様化のためにM&Aを行うというのも、若干疑わしい動機である。というのは、経営統合を行わなくても相手方の株式を購入することにより、擬似的にリスク分散を行えるし、また、しばしば衰退している業界の会社が、投資先がないからといって業務と関係ない会社を買おうとしたりするが、この場合は株主に利益を還元すればいいのである。何故ならば、新しい企業を買収しても何ら新しい価値を創造しないからである。


M&Aを行えば、デフォルトするリスクが減るので、結果、ファイナンスのコストを下がる(借入金利などが下がる)というロジックもしばしば行われる。しかし、これまた怪しい。少なくともリスクが低い側の企業の金利は、リスクが高い企業を買収することによって、上がってしまうからである。本当にファイナンスコストが下がるのは、両者のリスクが、例えば季節によって違う、年によって周期がある、などの場合、片方のリスクが高いときに、もう一方のリスクが低く、統合の結果、リスクを一定に保つ場合に限られるであろう。


また、EPS(Earning Per Share = 一株当たり利益)を意図的に上げるために、M&Aが行われる場合もある。これは、株式交換方式によって企業を買収して、交換比率を変えることにより、意図的にEPSを上げるものである。しかし、この部分だけを見れば、実態的には何も変わっていないのに、数字合わせによってEPSが上がるので、会社本来の価値を上げているとは言えない。


これらの疑わしい動機で行われるM&Aは、何ら新しい価値を創造しているものではなく、株主にとってプラスとはならない。その一方で、通常、買収企業は被買収企業を買収するために、本来の価値より高い金額(本来の企業価値+プレミアム)を支払うことが多い。統合効果よりも大きいプレミアムを支払う場合には、買収企業が株主価値を損なうこととなる。また、そもそもは正しい動機でM&Aを進めようとしたとしても、買収競争、相手側の対抗手段などにより、結果的にコストが高くなりすぎる場合もある。それは、株主に対する裏切りと言えるであろう。


本来、M&Aを行う企業は、企業価値向上(=株主価値向上)を実現しなくてはならない。これを実現するためには、以下2つの方法がある。

1. 新たな価値創造
2. 富の移転




次回はこれらを詳しく述べたいと思う。


つづく





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Last updated  April 10, 2012 06:32:38 AM
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