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「王妃が踊るちょっと変わった演出でエンディングが斬新」としか知らずにみたら、まぁ随分変わった構成であります。
これって、王子を溺愛する王妃の物語にみえるけど、それでいいのかしら~。
設定が現代に近くて、一幕の序奏でいきなり現代風(でもクラシカル)な服を着た女性が、男の子の手を引いて現われる。女性が愛情を傾ける男の子は次に少年になり、青年になる。
王子の登場の場面で、さきほどの青年に続いて、王子と同じ衣装の青年がもうひとり。ふたりは親しそうに微笑み肩を組んだりする。王子と同じ衣装って...ふたりは兄弟、とか?友人だったら衣装が同じっておかしいしなー。でもやっぱり友人みたい。
王子よりこの弟か友人かわからない何者かのほうが目を引いたりして。王子は、そうさねー、もさっとした印象。顔とか全身から受ける感じが。
王妃登場のシーンで先に出てきた紫の軍服を着た細身の口髭男。はて、この人誰かしらん。
まさか王子のパパじゃあるまいし。王子の肩に手を置く態度は尊大だし、継父?王妃の愛人?王妃とも目配せなどしつつアヤシイ。
王子は石弓ではなくライフル銃を渡される。石弓が古いのはわかるけど、現実的でちょっと引く。
王妃は白いレース調のロング・ドレスに大きなつばのある黒のお帽子。お帽子にはでっかい白い羽根がのっている。社交場の競馬場に集まる貴婦人のようないでたち。
なぜか下手にある籐の椅子に座って、トロワの踊りもずっと見ている。
王妃はこの辺でちょっと踊るのかしら~と思っていたら、全然ちょっとじゃない。
帽子を取った王妃が立ち上がり、王子に踊りましょうと誘う。王子は母親に抱く無条件の愛情を持ちながらも、王妃の過剰な愛情に戸惑い、ふと一歩離れるとこのまま拒絶するのかと思ったら、「母上...!」と駆け寄り、ひざまづき腰に抱きつく。
このときの王妃の満足げな笑みは、やっぱり息子を愛しすぎちゃってるからだろうか。
王子は歓喜に満ちたようすで王妃のまわりを跳びはね、再び王妃の手をとり、しまいには頭上に王妃をリフトする。かと思うと、また動揺するのか、王妃から離れる。
こんなにマザコンで無事オデットに心惹かれるのかな、この王子は。
宴のあとにそのまま憂鬱な王子がソロを踊る。そのうち照明が深海の青に変わり、どうやら森に来たらしく、とにかくそこは湖のほとりらしい。背景が全然ないのね。
いよいよオデットの登場間近を告げる曲になると、友人(弟?)がライフルを持ってやってくる。
「君のために持ってきたよ」と額の汗をぬぐう友人。森の不思議な雰囲気に囚われていた王子は、ライフルには喜びながら、友人には機嫌が悪い。(友人は怪訝そうに退場。ちょっとかわいそう)
オデットと出会い、マザコン王子は素直に惹かれる。オデットの身の上を聞くと即効で誓いを立てる。うむうむ、やっと王子も親離れか。少し大人になった王子の振る舞いが次の幕で見られるであろう。
一旦オデットが袖に引っ込むと、またしても友人(弟?)が登場。「さっきのあれはなんだ」と両腕をぱたぱたとしてみせる。王子はうっとうしそうに彼を遠ざけると、王子の態度にショックを受けた様子の友人退場。(友人、かなりかわいそう。)
ロットバルトは、舞台奥で大きく黒い羽根をばさばさと広げるだけ。暗くて顔もわからず、ダンサーとしては踊りを披露しない。なぜか分からないほうが、あとでナルホド~と思うのでこれはこれでよいかも。
夜明けとともに別れのときがきて、オデットは王子に何度も分かれがたく手を差し伸べる。王子もオデットだけを見つめて別れを惜しむ。これでマザコン卒業ね~!
2幕(全3幕だとすると2幕)に入る前に、王妃が王子の肖像画を見ながら、憂いをこめて踊るシーンがある。子離れできない王妃が、母親とべったりだったころの王子の愛情を求めているように見える。
ひとしきり踊ると、王妃は装飾品を持ってこさせ、てっきりネグリジェだと持っていた薄紫色の衣装にブレスレッドやネックレス、イヤリングなどをつけていく。最後にティアラを頭上に載せ、王妃の準備を整えると、顎をあげて部屋を出て行く。
場面はそこで宮廷の広間に変わる。はじめに階段から降りてくるのは、例の(王妃の愛人か?という)口髭男。今度は黒のタキシードにマント姿。やっぱりこいつは悪の匂いを漂わせている。
カラフルなチュチュを着た娘たちが入場し、口髭男と挨拶を交わす。
この男の手引きで送り込まれたのかしら~、と思わせる。どうやらこれが花嫁候補だったらしい。
高らかにヴァイオリンがメロディーを奏でると、王妃は手袋を脱ぎ、この男の手を取り、ロシアの踊り(新国でいうとルースカヤ)をふたりで踊る。まるで王妃主催の、王妃による、王妃のための舞踏会ですな。美人で妖艶な王妃は、踊りも妖艶。
王妃は脇にいる王子の友人に誘うような目つきをして、モーションをかけてるとしか思えない。友人もつい右手を出し一歩前に出てしまう。
ロシアの踊りは、口髭男のソロで終わり、息を弾ませた男が王妃に、またお相手を願うと、勿体つけるように王妃が手を差し出す。
と、ここでハンガリーの曲。なんとソロは王妃と口髭男でした。またも王妃は腰をくねらせ妖艶に踊り、王子はたまらず?王妃に近づき、しかし諦めて引っ込む。
途中まで踊ると、王妃はシャンパン?を持ってこさせ、王子にもグラスを持たせて乾杯する。
王子は口髭男のグラスと乾杯を交わさず、不快感を表す。つまり嫉妬?この時点でも相当母親に影響を受けているのでは、オデットのこと覚えてるかと心配になってくる。
チャルダッシュが終わると、スペインの踊り。テンポがゆっくりめでいまひとつ。次にナポリ、マズルカと続く。マズルカは王子の友人を先頭に、男性ばかりの構成。衣装はマズルカぽくない。途中で王妃が口髭男と友人の手をとり、両手に男状態でマズルカを踊りだす。
王妃はそれも途中でやめて、また下手に下がる。口髭男が王妃になにやら耳打ちし、王妃は王子になにか囁く。なんか企んでる?王子は王妃をまともに見ようとしないし、反抗期のような、すねてるような表情を浮かべる。
この時点でまだオディールは登場していないので、このままいくと、オディールなしでオデットを裏切るんじゃないか?と余計な心配をしてしまう。あのー、オデットのこと、覚えてる?
オディール登場の音楽がかかると、さきほどのカラフル・チュチュ組が正面に登場。オディールはそのあとに階段から降りてきて、口髭男がエスコートする。
さっきスペインは登場しちゃったし、オディールが退場したらどうすんだろう?
王子はオディールのあとを追わず、ここでかかった曲は、最終幕でオデットと王子が悲しみに暮れながら踊るアダージョの曲。これでチュチュ組がつぎつぎに王子を誘惑するように踊る。王子は、心ここにあらず。
ここで口髭男がオディールを連れてきて、気を引くようにゆっくりとリフトして王子を惹き付ける。
誰を花嫁にするか、順番に並ぶ候補の最後にオディールがいる。なのに王子はオディールの手をとらないで、「どうしよう...」 何故迷う~?
口髭男に促されて、オディールを指名すると、とたんに嬉しそうになり、そのままアダージョに移行。
いよいよ気持ちの高まる王子をオディールから口髭男が引き離すと、オディールを連れて上手でごにょごにょ耳打ち。王子は下手に連れて行かれ、王妃が「あの娘に誓うのよ」と指示。王妃はオディールの元へも歩み寄り、手を絡ませてふたりで意味深な笑い。あ、あやしい~。
王子がなんだかためらっていると、オディールが「さぁ!」というようにつくり笑いでけしかけ、その気になって誓いを立てたと同時か、少し早すぎるタイミングで背後はざわつき、王子もすぐに後ろの白鳥に駆け寄る。
オディールはさも面白そうに高笑い。追いすがる王子を指差して嘲り、再び高笑いすると、口髭男と退場。王子は振り返りママのもとへ。ところが、王妃の目は同情ではなく「お帰り、坊や」と言っていた。王子はハッとして王妃から後ずさり、友人にぶつかりそうになって、「仕組んだのか~」という目で、何も信じられなくなったようにその場から退散。
まるで王子の愛情に渇望していた王妃が、息子を傷つけたら自分のもとに帰ってくると信じて、わざと陥れたみたいに見える...。
傷心のオデットは白鳥たちに悲しみを訴え、ここで女王の悲しみに同調する儚げな存在、というより、女王を守るべく力強く立ち上がる白鳥たち。
王子がオデットに赦しを乞うと、オデットは静かに首を横にふる。
あなたは私を裏切った。とマイムで訴え、拒絶のポーズをする。
白鳥たちは王子に背を向け三角形のフォーメーションを組み、オデットを先頭に(王子から一番離れた場所)、後ろ向きのまま、一斉に力強く翼を羽ばたかせる。
強い拒絶にあって王子はうろたえ、へたり込む。
そのまま白鳥たちはオデットと共に立ち去ってしまい、王子は置き去りにされる。
怪しげなスモークとともに、口髭男が登場。あら?衣装は薄いグレーだけど、大きなマントをまとっている。やっぱりこいつがロットバルトだったわけね。
はじめはロットバルトのマントに巻きこまれたりして、不利な体制の王子。なぜかロットバルトはマントを脱ぎ捨てる。もみ合ううちに王子はロットバルトの首を絞めて殺してしまう。
その事実に当惑し、自分が誓ったばかりに、と頭をかかえ、そのまま倒れこんでしまう王子。
そこへ頭から長いヴェールをかぶった王妃が登場。
普通だとそこでオデットが生き返ったり、残された白鳥たちが朝日に照らされているクライマックスで、王妃が王子を必死に助け起こす。あぁ~、最後はやっぱり王妃とツーショットなのね、と思っていたら、なんと王子は息絶えていて、ぐったりと王妃の腕からすり抜ける。
呆然の王妃が立ち上がり、呆然と歩き出し、そこで幕。
ロットバルトが悪者だったのか?オデットは定説どおりロットバルトに操られていたのか?すべて王妃の仕業だったのか?ロットバルトは王妃の愛人だったのか?彼も利用されていたのか?
最大の謎は、この版のオデットって脇役だったのか?ロットバルトは倒されたけど、白鳥たちは白鳥のままなのか?
いろいろと想像しがいのある演出です。
振付のパトリス・パートは元パリ・オペラ座のエトワールで、マラーホフは芸術監督になる前、パトリス版の白鳥の湖をバレンボイム指揮で客演したことがあるらしい。
王妃とマラーホフ王子のからみはちょっとイケナイ雰囲気かも。
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