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「ロミオとジュリエット」より第二幕のパ・ド・ドゥ
振付:アメデオ・アモディオ
音楽:エクトル・ベルリオーズ
アレッサンドラ・フェリ
ロベルト・ボッレ
ティボルトがロミオによって殺されたと知って、闇に覆われたように暗く沈むジュリエット。どこにも持って行き場のない気持ちを抱えて、言いようのない不安に怯えている。
ロミオが来ても、ふたりでいることが辛い。ロミオを責めるにはあまりにも愛していて、彼を愛するだけに深く苦悩する。
引き裂かれる運命に嘆きながら、ふたりはつかの間愛を誓い合い、それは痛みを伴う。
喜びと苦しみに交互に襲われ、刻々と迫る別れに怯える。
その時は絶望とともにやってきて、ロミオは放心したようにその場を去っていく。
ジュリエットはもはや泣き喚くこともできず、ロミオの指先が離れるまで嗚咽をこらえて座り込んだまま。
ちょっと長かったけど、別れのシーンは見ててつらかった。
「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
パロマ・ヘレーラ
ホセ・カレーニョ
盛り上がりました~。
カレーニョは丁寧な踊りで嫌味にならないソフトで大人なバジル。キメルところはキメ、流し目はきちんと色目を使い、テクニックはちゃんと見せ、一段上から余裕かましてる感じ。
ヘレーラは、ちゃきちゃきというよりはテキパキ系のキトリ。衣装は背中ががっつり開いていて似合ってました。フェッテも余裕で軸もぶれずにくるくると回り続け、事も無げに決めてみせる。うーん、余裕しゃくしゃく。カレーニョとのタイミングもぴったり。
全体的に洗練されたドン・キという感じでした。
「マーキュリアス・マニューヴァース」
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ
物語のないバレエなので、ただただリアブコとアッツォーニの美しいポーズの数々を堪能していればよい作品。ふたりとも音楽性に富んでいるので、どれも流れるようにつながって踊りが呼吸している。この爽やか~で淀みない感性は観てるだけで嬉しくなってくる。
これも揺るぎない確かなテクニックがあってこそですね。
ふたりのノイマイヤー作品全幕と、正統派クラシックも是非観てみたい~。
「ル・グラン・パ・ド・ドゥ」
振付:クリスティアン・シュプック
音楽:ジョアキーノ・ロッシーニ
アリシア・アマトリアン
ロバート・テューズリー
アマトリアンのユーモアのセンスってば…!!感服です。
クラシック・チュチュ着てだらしなく膝を開いて歩くだけで、普通のバレリーナなら「あ。わたし、遠慮します」ってとこだけど、アマトリアンは躊躇しなかっただろうなー。
ずっこけ具合が吉本もびっくり。にへら~と怪しく笑うだらしない目元と口元。教育ママみたいな黒縁メガネに、なぜか執着している赤いハンドバッグ。
テューズリーに引っ張られるように、突然始まる「イケイケGo,Go」なPdD。
バッグの置き場に困り、ハンドルを口にくわえてエイヤッとグランド・スゴンド。(ハンドルをくわえる時の顔といったら…。)
テューズリーはマジメくさった正統派王子の格好で、アマトリアンに振り回されている。舞台奥の牛に語りかけるテューズリーも、もはやコメディアン。
何故牛かはよくわからないけど、怠惰なアマトリアンをデフォルメしたものかしらん。
YouTubeに2003年の シュツットガルト・バレエのガラ
でこれを踊る様子がありました。
アマトリアンと踊ったのはJason Reilly。
最近発売されたDVD『21世紀に輝くエトワールたち -パ・ド・ドゥの魅力-』(2005年/パリ)にも同じキャストで収録されている。アマトリアンのお気に入りか?
「真夏の夜の夢(ザ・ドリーム)」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
ジュリー・ケント
マルセロ・ゴメス
文句なく素晴らしい。
ケントの愛らしさは妖精の世界にしか存在しません!というくらいチャーミングでした。
それに、え、あなた、ゴメス?!なんかすごい成りきっててかっこいいんですけど。
そこはまるで、おとぎの国の森深い妖精の棲むところ。
ふたりから会話が聞こえてきそうでした。
「椿姫」第三幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アレッサンドラ・フェリ
ロベルト・ボッレ
幕が開く前に、舞台端の張り出し部分にボッレが浮かび上がる。
アルマンの元を訪れたマルグリットはまるで死者の使いのよう。
黒いヴェールを静かに取ると、はっとするほど白い肩が浮き上がり、蒼白な顔に湛えた悲しみの表情が、場違いなほど美しい。
アルマンはマルグリットに近づき、そしてためらう。
マルグリットが弱々しく咳をすると、全身の力が抜けたように倒れそうになる。この演技が大げさすぎず、踊りの流れに沿って実に自然でうまい。
なんとも消え入りそうな病身のマルグリットは、もうこんなに弱っている。
たまらず駆け寄るアルマンは、その腕にあまりにも軽いマルグリットを抱いて、もう感情を押し留めておけなくなる。しかしアルマンは怒っている。怒りをぶつけ、消せない愛情と憎しみをぶつけながら、同時にいや増していく欲望。
アルマンが苦悩し感情をぶつけるこのシーンで、ボッレは熱演でした。
痛みを伴う激しい感情が堰を切ったようにマルグリットに向かって流れ出し、フェリの演技と呼応しあい、緊迫したシーンになりました。
心の葛藤も見せていたアルマン。ボッレはもっと単純な感情表現だろうと思っていたけど、そうではなかった。伝わってくるのはストレートなんだけど、苦しみぬいて身悶えてる感じがして、迫力がありました。
フェリは、もう言うまでもありません。
渾身のマルグリットだった、と思います。
これを書いていても、フェリの見納めだったとはまだ信じ難くて。
止まない拍手と賞賛の嵐に、うんうん、とうなづくように答えるフェリ。小さくお辞儀をし、ゆっくりと手を振っていました。万感の想いを込めるように。
フェリは涙ぐみ、ついには顔を覆ってしまいました。
タイトルのエトワール達の花束は、フェリに捧げられ、仲間たちひとりひとりとハグを交わすフェリ。ヘレーラは涙ぐみ、ケントは泣き顔。ケントは口がヘの字だったとか。こっちも涙目でよく見えませんでした。テューズリーとのハグが長かったような。
舞踏の神に愛されたフェリは、最高に愛されたまま幕の向こうにそっと姿を消してしまいました。
ありがとう、フェリ。あなたのマルグリットもマノンも、カルメンも、ジゼルもジュリエットもデズデモーナも、すべて忘れません。
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