もともとのブリヂストンの狙いは、ワンメイクにより消滅するタイヤ論争に火をつけようというものだった。観客やTV視聴者がレッドタイヤを見るのを計算に入れて、チームの作戦をアピールするというのが目的になる。「いよいよ、レッドタイヤを使って勝負に出ます」のような中継を期待していたわけである。タイヤ交換時にレッドタイヤが使われるかどうかの興味を観客に持ってもらうことで、ブリヂストンをアピールすることに意味がある。 F1チーム側は2種類のタイヤを使うことはかまわないけれど、レッドタイヤがあからさまになると作戦に支障をきたすとして、赤く塗ることに否定的である。タイヤ作戦は秘密という方針は痛い。どちらのタイヤを使っているかわからなければ、タイヤ作戦をアピールすることができない。そこで、FIAが考えているのは、タイヤ作戦を秘密にすることを認めたうえで、スタート時に装着しているタイヤだけをレース開始直後に公表するというルールである。少しだけタイヤを推理する余地を残して関心を高める。
まったく秘密が保たれると、観客側には選択が伝わらないから、タイヤが注目を集めることはなくなる。これではせっかく投資を行うブリヂストンに、商業的なプラス面が消えてしまう。ワンメイクタイヤは独占供給することができる代わりに、タイヤそのものの関心を失わせる。これを避けるために、レッドタイヤのアイデアを生み出したのだが、勝負にこだわるF1チームは、そんなに甘くないということを示す結果になりそうである。