風雲 いざなみ日記

2005年11月21日
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我が家の前栽(前庭)に、今年も出撃の椿が花を咲かせようとしています。
この椿は、海軍中佐だった父方の祖父が昭和16年の秋、出撃を前にして庭に植えた椿です。


出撃の椿


私が幼い頃、祖父は痛む脚をさすりながら、傍らに座る私に遠い南の海の話や、近代の洋上戦では航空戦術がいかに勝敗を左右するかなどについてもいつも詳しく語ってくれました。 戦前の祖父はビリヤードとダンスが得意でアメリカにも数年滞在していました。 そして、母方の祖父同様に英米との戦争には反対の立場をとりながらも、運命とは皮肉なもので、昭和16年12月8日 真珠湾攻撃で開戦の口火を切ることになったのです。


出撃の椿02


多くの戦友を失い、自らもミッドウェイで負傷して、無念の帰還を余儀なくされた祖父。 晩年の祖父は、いったいどんな思いでこの庭の椿を眺めていたのでしょう。 カメラと日本画と尺八が趣味で、戦前には離れで、好きな野花の絵を描いていた祖父でしたが、帰還後は昭和43年に他界するまで、一度も絵筆は握りませんでした。 多くの仲間を失い、自分だけが残った無念だったのでしょうか・・・


「俺は死に損ねて恥ずかしいなぁ・・・ 大事なものを命がけで守ってこそ男や! それは家族でも国でも、何でもエエ・・・」それが祖父の口癖でした。 祖父は出撃を前にして、恥じなく立派に死ねるようにと願って、この椿を植えたそうです。 
そんな祖父が残した恩賜の短剣が、今となっては私の大切な宝物です。




「ツバキ」:ツバキ科 ツバキ属  常緑中低木花木
学名:Camellia japonica  花期:11月~4月
山茶花(サザンカ)と似ていますが、散り際が異なります。散るときに花びらが一枚ずつはらはらと散る山茶花に対して、椿は花全体がボトリと落ちます。 武士などは首が落ちるのを連想して嫌ったという逸話と、その一方で椿の散り際の見事さを讃えたという異なる逸話が残されています。

学名にJaponica(日本)を冠する花



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最終更新日  2005年11月21日 00時12分13秒
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