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2026.02.28
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カテゴリ: 正法眼蔵

『正法眼蔵』原文〕

 六祖は新州の樵夫 ショウフ なり、有識 ユウシキ と称しがたし。

いとけなくして父を喪 ソウ す、老母に養育せられて長ぜり。

樵夫の業を養母の活計とす。

十字の街頭にして一句の聞経よりのち、

たちまちに老母をすてて大法をたづぬ。

これ奇代 キダイ の大器 ダイキ なり、抜群の辨道なり。

断臂 ダンピ たとひ容易なりともこの割愛は大難 ダイナン なるべし、

この棄恩はかろかるべからず。

黄梅 オウバイ の会 に投じて、八箇月ねぶらずやすまず、昼夜に米をつく。

夜半に衣鉢 エハツ を正伝 ショウデン す。得法已後 イゴ

なほ石臼 イシウス をおひありきて、米をつくこと八年なり。

出世度人 ドニン 説法するにも、この石臼をさしおかず、希世 キセイ の行持なり。  

『正法眼蔵』私訳〕

中国禅の六祖大鑑慧能禅師は、新州 (広東省) の木こりで、 学問があるとは言えなかった。

(六祖は新州の樵夫なり、有識と称しがたし。)

幼くして父を失い、老母に養育されて成長した。

(いとけなくして父を喪す、老母に養育せられて長ぜり。)

木こりの業を老母を養うための生業 ナリワイ としていた。

(樵夫の業を養母の活計とす。)

あるとき市井の四つ辻で『金剛経』の一句を聞いてから、

急に老母を捨てて、すぐれた仏の教法を求めた。

(十字の街頭にして一句の聞経よりのち、たちまちに老母をすてて大法をたづぬ。)

これは世にもまれな優れた器量であり、抜群の仏道修行である。

(これ奇代の大器なり、抜群の辨道なり。)

〔二祖慧可大師が求道のために〕臂を断ったことが、〔容易なことでないことは決まりきっているけれども、〕仮に容易なことであったとしても、

この母の恩愛を断つことは非常に難しいことであり、

この母の大恩を棄てたことは決して軽いことではない。

(断臂たとひ容易なりともこの割愛は大難なるべし、この棄恩はかろかるべからず。)     

黄梅山の五祖大満弘忍禅師の会下に加わって、八か月眠らず休まず、

昼夜にわたって米をついた (無上道を修行しぬいた)

(黄梅の会に投じて、八箇月ねぶらずやすまず、昼夜に米をつく。)

ある夜中に、〔達磨所伝の〕袈裟と応量器を〔伝法のあかしとして五祖弘忍禅師から〕正伝した。

(夜半に衣鉢を正伝す。)

法を得た後も、なお石臼を背負い歩いて、米をつくこと八年に及んだ。

(得法已後、なほ石臼をおひありきて、米をつくこと八年なり。)

世に出て人を救い法を説くようになっても、この石臼を離さなかった。

これは世にも稀な行持である。

(出世度人説法するにも、この石臼をさしおかず、希世の行持なり。)

〔『抄』私訳〕

第六祖の段、文の通りである。

                合掌






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最終更新日  2026.02.28 09:25:35 コメントを書く


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