眠れない夜のおつまみ

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2006/04/20
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私はフワフワと漂っているような心地でぼぅと過ごしていた気がするのだが、体を揺さぶられて目が覚めると、隣には妻がいて驚いた。
「なにそんなに驚いてらっしゃるの?」
と妻は怪訝そうな顔をした。
「いや・・・。何でもない。」
「あなた帰宅するなりリビングのソファーでグーグー鼾をかいて寝ちゃうんですもの。困った人だわ。ちゃんとベッドに入って寝てくださいよ。」
そう言われて混乱する。
今夜の事は夢だったのか?
妻が寝室へ入っていくのを確認すると急いで財布をポケットから取り出してあのクラブのカードを取り出した。
プラスチックで出来た真っ白なカードに赤い装飾文字で「Maskell club」と書かれている。その端っこに来店すると数字が印刷されるようになっている仕組みなので私はその部分に視線を落とした。



そう刻まれている。やはり今夜私はあそこに行っていたのだ。
軽いショックを受けたがやってしまった事は仕方ない。
それに、私はどちらかと言えば強引に誘われたのだ。
私は無理やり自分を正当化して罪の意識を遠くに追いやってしまった。

そうさ。妻は知らない。

私はその後も時間があればこっそりとあのクラブに足を運んだ。
いろいろな女が自ら近づいてきた。
相手をする事もあれば、気が合わずそのまま別れることもあった。
しかし、何度行っても最初に言葉を交わした女性には会えなかった。
別に彼女に固執しているわけではない。
ただ何となく気になる、それだけである。

何故なのだろう?
そこがとても気がかりだった。
しかし、カードには行った回数だけ数字が増えているのだ。
だから行った事は間違いない。
黒田に聞いてみようか。

私がこんな所にはまってしまっただなんて、あいつには言えない。
黒田の事を思い出すと羞恥心で一杯になってしまう。
私はただ自分ひとりの「秘密」を持ってしまったのだと痛感した。
しかし、クラブ通いはやめられなかった。
どうしてかって?
誰もそんな所に私が入れ込んで通っているなどと知られていないからである。


私は黒田に連れてこられた3ヶ月前の日の事を思い出しながら、また今日も時間を見つけて「Maskell club」に足を運んでいる。


こんな所に通うようになってしまったのは、あいつのせいだ。


麻薬のようにやめられない自分自身への怒りは、こんな所に連れてきた黒田に向けられていた。
その日も同じように仮面を選びマントを羽織、15階で店員に「いってらっしゃいませ」と頭を深々と下げられホールの扉を開いて中に入っていった。
何度も通った私は声をかけるのも慣れ、目ぼしそうな女性に近づきトークに持ち込んだ。
ところが、この日は驚くことが起こった。
3度目に声を掛けた女性はなんと初めて言葉を交わしたあの女性だったのだ。
女性は私の事を覚えていた様子で声を掛けたとたん私であると気付いてくれた。
「あら、あなたは以前お話した方ですよね?少ししかあの日はお話しませんでしたけど・・・。」
「え、ええ。ええ。そうですとも。」
「あちらでお話しません?」
と初めて話した壁際の椅子を指して彼女は言った。
私は彼女の言うとおりに移動した。
「あなた、もうここへは何度もいらしたんですか?」
「恥ずかしながら何度も来ました。」
「別に悪い事ではありませんよ。秘密の1つや2つ夫婦でも持っているものです。私でも夫には秘密なんですよ。」
「私は、こんな事を言うと信じてもらえないかもしれませんが、あなたを探していたのです。」
そう言うとおほほほほと声高に彼女は笑った。
「冗談ではありません。」
私は彼女に笑われたのがショックで顔を伏せた。
「あら、気分を害してしまいましたわね。ごめんなさい。あなたは繊細な方なんですね。きっと。」
「あなたも何度かいらしてるんですか?私とは今日まで会いませんでしたけど。」
「ええ。」
「そうなんですか。いついらしてたんです?」
「昼間です。」
ああ、そうか。昼間なら旦那にばれる事も無いのだ。
「お話し相手は見つかりましたか?」
そう聞くと彼女は顔を伏せて首を振った。
「見つからなかったんですか?」
「ええ。ここに来る方は私とは目的が違うのです。」
「そんな事はないでしょう。話をするだけでも満足する男だっていますよ。」
「そうかもしれませんが、大抵はやはり肉体を求めてここに彷徨うようにやってくるんです。それは昼間も変わりありませんよ。私はこんな所に来るのはやはり間違っているのかもしれません。大抵の方は仮面が付いているから開放的になって羽目を外してらっしゃる。でも私は、仮面を付けていればもしかして自分の思うことを話す事ができて聞いてくれる人もいるんじゃないかと・・・。そんな期待をしてしまうんです。」
彼女のような人は確かに目面しい。大抵の女はすぐに交わりたがる。
まるでそれに飢えているかのように大胆で奔放に振舞いながら。
私はその強引な誘いに何度か応じてしまったが、どこかしっくり来ないものがいつもあった。
それは、ただその行為だけの関係だからなのだろう。
私は実は仮面を脱いで本音を言い合える人を求めているのかもしれない。
仕事では医師の仮面、家庭では父の仮面、夫の仮面、友達の前でもそれないに仮面が付いている。
人間ならば誰でもそんな事やっている事だし、そうでなければ円滑な関係も作れない。
だが、私達は家庭でもいつからか仮面を付けてしまった。
妻とも本音で話さなくなってしまった。
目の前の仮面を被った彼女の言う事は私の事でもあるのだ。
だから気になったのだろう。
私達は時間を忘れてお互いの家庭の事などを話し合った。




                            <つづく>



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*****ちょっと一言*****

次で終わりかな。普通の話になってきました。(笑)

今日はメインブログでも書いたとおり、子供が熱出しました。
熱が下がらずに結局0時に座薬を入れて、1時間後汗びたになっていたので着替えさせ、でもまだ結構高いのでもう一度お熱をはかってから私も寝ます。
何度になってるかな~・・・・。
下がってくれよ。





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Last updated  2006/04/21 02:42:27 AM
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