買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2019年02月17日
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カテゴリ: 読書

「私に答えられることなら」
「『空気さなぎ』を出版することによって、結果的に我々はその宗教団体にいささか迷惑をかけることになった。そういうことですね?」
「いささかの迷惑ではない」と坊主頭は言った。彼の顔が僅かに歪んだ。「声はもう彼らに向かって語りかけることをやめたのです。それが何を意味するか、あなたにはわかりますか?」
「わかりません」と小松は乾いた声で言った。
「けっこうです。私としてもそれ以上の具体的な説明はしかねるし、またあなたもそれを知らないほうがいい。声はもう彼らに向かって語りかけることをやめてしまった。今ここで私に言えるのはそれだけです」、坊主頭は少し間を置いた。「そしてその不幸な事態は、小説『空気さなぎ』が活字のかたちで発表されたことによって生じたものなのです」
(村上春樹さん「1Q84 BOOK3」P353)

「『空気さなぎ』はそれほど長い小説じゃない。そこに描かれているのは、リトル・ピープルが出没する世界だ。主人公の十歳の少女は孤立したコミュニティーに生きている。リトル・ピープルは夜中に密かにやってきて空気さなぎをつくる。空気さなぎの中には少女の分身が入っていて、そこにマザとドウタの関係が生まれる。その世界には月が二個浮かんでいる。大きな月と小さな月、おそらくマザとドウタの象徴だ。小説の中で主人公は――モデルはたぶんふかえり自身だろうが――マザであることを拒んでコミュニティーから逃げ出す。ドウタがあとに残される。ドウタがその後どうなったのか、小説には描かれていない」
(村上春樹さん「1Q84 BOOK3」P363)







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Last updated  2019年02月17日 07時08分19秒
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