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2008.06.04
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カテゴリ: 読んだ本
1974年~1982年 週刊朝日に連載
1987年9月 新潮文庫より(平成17年1月 44刷改版)


号令。そこに豊臣政権のほころび目を見てとった甲賀忍びの頭領・山中俊房は、秀吉の御伽衆
である又従弟の山中長俊に早くも手をまわし徳川方への荷担を説く。ここに甲賀忍びと真田の
草の者との凄絶な戦いが開始され、壺谷又五郎や女忍者お江の常人には推しはかれない活躍が
繰り広げられる。
(裏表紙の内容紹介より)

※『草の者』=真田の忍びのこと。


とうとう始まる朝鮮出兵。
秀吉は九州の名護屋に拠点となる城を建て、諸大名も招集します。
そこから朝鮮に渡る大名達と、そこで待機する大名達がいるわけですが、真田家は待機組。
このあたりに、小田原の北条攻めで真田に犠牲を強いたことに対する配慮があるようです。

でも、秀吉はもうダメだなという感じ。
朝鮮出兵を言い出したあたりから諸大名達も「?」を感じ始めてはいるんですが、そこへ

狂気に取り憑かれたとしか見えない。

その異常さを事前に読みとったのが、甲賀の忍びの頭領である山中俊房と、秀吉の御伽衆で
ある山中長俊。
この人は小田原攻略の理由となった北条による名胡桃城攻めの時に、北条をだますために
暗躍した人です。

この二人は又従兄弟同士の間柄で、同じ甲賀忍びではありますが、甲賀もいろいろ別れていて、
山中俊房は徳川方に、山中長俊は秀吉に付いている忍びです。
徳川は表向きは秀吉に臣従していますから、両者の利害は一応ぶつからない。
でも、これまでは交流も絶えていました。

しかし、秀吉の様子から豊臣政権も長くは続かないと見た山中俊房が、長俊を甲賀へ呼び寄せ、
これからは共に家康に付くことを説き、長俊もこれに同意。


これ、政権の大きな動きに関わる重要な情報なわけです。

山中長俊は密かに甲賀へ向かったわけですが、この時、真田忍びのお江・奥村弥五兵衛・
姉山甚八がこれに気付き、長俊の後を尾ける。
お江達は長俊が山中俊房の屋敷に入ることを確認しますが、甲賀の忍びに気付かれてしまい
追われることに。

お江の命もこれまでか!?という危機なんですが、お江は父の友人であった田子正左右衛門に
助けられ、回復するまでの長い期間をかくまわれて過ごします。

お江と正左右衛門は、お江が回復したら共に甲賀を脱出することに決めます。
この間、山中俊房はこの事に気付いていますが、手を出さない。
お江が真田に戻る時に後を尾けて、真田忍びの活動拠点を探るため。
しかし、正左右衛門も俊房の狙いに気付き、それを考慮して脱出計画を立てる、という裏かき合戦
みたいなことに。
忍びの世界は大変です。

この巻はこういった忍び同士の戦いと、朝鮮出兵の話が中心。

他には、幸村が結婚しました。
相手は大谷吉継の娘・於利世(おりよ)。
兄・信幸の妻が本田忠勝の娘っていうのは知っていましたが、幸村の妻が大谷善継の娘とは
知らなかった~。
なるほど、幸村は西軍に縁が深かったんだね。

それと、名胡桃城城主・鈴木主水の子・鈴木右近。
彼は父の死後、真田昌幸から父の後を継いで名胡桃城の城主になるように言われますが、
それを断り、信幸の家臣として仕えたいと自ら願い出て、家臣になっていました。
これがとある事情で、真田家を出奔し、柳生石舟斎の元に引き取られることになります。

この事情っていうのが、バカみたいです。
この頃、信幸はまだ子供がおらず、妻・小松殿の薦めで於順という娘を側室として置くことに
なります。
ところが、於順が右近に側女になるのはいやだと泣き付き、頼られた右近が何となく気分が
盛り上がちゃった結果、事もあろうに於順の伽の夜に右近と於順が入れ替わる、という暴挙に
出ます。
何というか・・・・後先考えない若さってヤツ?(^^;

当たり前だけど、すぐバレました。
てゆーか、布団に潜っていただけなので、見たらわかる状態。(^^;
怒る信幸に、右近はとっさに「実は私と於順は言い交わした仲で」とデマカセを。
家臣思いの信幸は、まさかそんなウソをつくマヌケな家臣がいるとも思わなかったのでしょう、
右近を許し、しかも於順との仲人をしてやろうという事に。
引っ込みが付かない右近。
今更、いりませんとも言えず、於順と結婚することに。

しかも信幸は、新婚の右近を名護屋に連れて行って夫婦が離ればなれになるのは可哀相だと
右近は沼田に残すことにします。
ところが、右近はこれを「自分が頼みにならないから、名護屋には連れて行ってもらえないんだ」
と思い、信幸のお役に立てる自分になるために、と思って出奔してしまうんですね。

うーん。(^^;
軽率だわ、思い込み激しいわ、主人の気持ちを理解しないわ・・・・。
柳生に拾われたなら、剣術の腕も磨かれることでしょう。
立派になって帰ってこいよー、という感じで、温かく見守りたいですね。

あと、ちょっとおかしかったのが、壺谷又五郎がお江の無事を名護屋にいる昌幸と幸村に
伝えた時のこと。
幸村はお江が甲賀で死んだらしい、ということ自体を知らされていなかったので、そのことを聞き、
「なぜ自分に言わなかったのか」と激高します。
その様子に、壺谷又五郎はアレ?と思う。
「お江は、源二郎様を抱いたのではないか・・・?」

お江が『抱いた』なんですよ、『抱かれた』ではなく。(笑)
まあ、幸村はチェリーだったから実際のところそうなんでしょうが、又五郎の目から見た
お江と幸村の男女の関係もそうなんだな、と思ったらちょっと笑えた。






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Last updated  2008.06.04 17:38:07
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