クルマ、バイク、鉄道模型など趣味で人生を楽しむ

クルマ、バイク、鉄道模型など趣味で人生を楽しむ

2024.11.23
XML
テーマ: 鉄道模型
カテゴリ: 鉄道模型
​​ 背景と概要:
ビンテージ蒸機は当初、​
棒モーターで駆動され、トルクと耐久性があるものの、鉄心にコイルを巻いたコアの大きな回転音とキャブ内にまで飛びだす大きさが、リアル感を求めるうえで大きな障害になっていました。
天賞堂の製品を例にとると、当初の黒ラベル製品は棒モーターとして ​​​MH-8とMH-9が盛んに採用されていましたが、 1980年に入ると缶モーターが主流 になり、 1985年から発売されたHGシリースでは全て缶モーターに統一 され、キャブにはバックプレートが装着されるようになりました。ただ、当時採用された缶モーター、「マシマ1630」や「フルイチ1623」はトルクを確保するために、それなりに大きいものでした。
なお、 ここで言う「缶モーター」とは、Y字形の鉄心にエナメル線を巻き付けた「コア」が付いたモーター、つまり「コアード・モーター」の意味で使っています 。「コアレスモーター」は全部缶に入っているので、これも缶モーターなんでしょうが、「コアードモーター」より「缶モーター」のほうが一般的に普及していますので、ややこしい言い方はしないようにします。ご了承下さい。


​​​
写真は1997年製の天賞堂HGシリーズC57に搭載された缶モーター「マシマ1630」です。全長は従来の棒モーターMH-8の45mmに比べ短くなったとは言え、 まだ32mm前後あります 。これは外径を小さくすると内壁のマグネットを薄くしなければならず、磁力が落ちてしまうので、全長を伸ばしてマグネットの量を増やしトルクを確保したためと思われます。
それでも缶モーターは何とかキャブ内のバックプレートよりも前に収まっていますが、モーターの小型化だけでなく、ギアボックスの一体化も図られたのが分かります。



ですが、これではC50やC56、C11のような小型機には収まりませんでした。そのため、当時はまだまだ非力でしたが、幅12mm前後のCOPALやキヤノンのコアレスモーターが一時的に使われていました。1997年や1999年になると缶モーターも小型化されて、「マシマ1628」や「フルイチ1623」がC50やC58に搭載されるようになりました。


写真は恐らく2000年頃のメーカー不明の缶モーター(コアード)ですが、幅は14mm、長さ25mmで「マシマ1630」に比べ、かなり短くなっています。


最新のマシマの小型缶モーター(コアード)3種 1970年代の棒モーターのベストセラーMH-8とMH-9 ​を比較のために並べてみました。
缶モーター(コアード)は2000年以降になって14mm幅からさらに小型化され、写真の3種では各々10mm、11.5mm、12mmです。重量も棒モーターの40g前後に対し、16g-18gしかありません。


缶モーターを主台枠に取り付けるアダプター(マウント)も数少ないAdachiやエンドウの旧来品(製品名モーターフォルダー等)だけでなく、最近では汎用のスグレモノが販売されるようになりました。


写真のモデルアイコン製の汎用アダプターは取付けビス穴と位置が工夫され、 ​14mmの標準サイズ缶モーターだけでなく、幅12mmの細身の缶モーターやコアレスモーターもM2ビスで取り付けられます。

​​ 概要は以上の通りです。
これから具体的な交換手順の説明に入ります。
​​まず、難関のC56やC11、C50、C58などのボイラーの細い小型蒸機の缶モーター交換作業から説明します。


1. KTM C56の缶モーターへの交換
​​​
​ボイラーの細いことが、単に缶モーターの選定の制約になっただけでなく、 取付けアダプターのかなりな加工を強いられました 。ただ、この経験は程度の差はあれ、中大型蒸機での缶モーターへの交換でも役立つことなので、ぜひご覧いただければと思います。
次々に課題が生じて、組立と分解を繰り返す紆余曲折がありましたが、皆さんはこれらを予見して遠回りせずに作業いただけたらと思います。
​​​​​​

​​​
KTMのC56を分解します。棒モーターが限度一杯の大きさであることが分かります。


棒モーターを外すと改めて分かりますが、元々かなり幅が狭くてコンパクトなうえ、モーター軸も20mm近くあって異様に長い特別仕様の設計モーターになっているようです。


缶モーターで現在よくヤフオクなどで出品されている 標準幅14mmの缶モーター(写真銀色)を仮置きすると収まらない のが分かります。😢
なお、写真一番左の棒モーターは天賞堂の中大型機に標準装備されていた
MH-8ですので、元々C56に装着されていた棒モーターのコンパクトさがよく分かると思います。


そこで、マシマの 幅12mmのより小型の缶モーター (写真の上側黒色)を付けることにしましたが、 探すのが大変でヤフオクで半年近く掛かりました。 😢
将来交換を計画されている方は 早めの手配 をお薦めします。
アダプターは前述のモデルアイコン製の汎用製品が適合するので装着しました。「ホビーサーチ」など通販で入手可能です。

アダプターを付けた状態で小型缶モーターを仮置きしてみると、幅は12mmで大丈夫ですが、 モーターの位置が高すぎるうえ、軸長が10mmと短いので、ギアに届きません。 😢


ウォームギアをモーター軸の軸長10mmのギリギリ端まで寄せて仮止めしましたが、まだまだ届きません。 😢

​​​​​​

モーターをギアのほうに寄せるためには、アダプターを主台枠の内側に落とし込む必要があります。それにはアダプターの幅を主台枠内寸まで削らなければならないことが判明 しました。😢​



アダプターの幅を現物合わせで削っては主台枠に当てて、収まるよう調整します。
​アダプターが主台枠にすっぽり収まったら、次にモーターの取り付け位置を低くする加工に入ります。


L字形に折り曲げられたアダプターをさらに低い位置で折り曲げ直す ためにアダプターにヤスリでV字形の溝を掘ります。


アダプターを万力に挟んで折り曲げなおし、缶モーターを仮に取り付けて、高さを調整します。
​​

折り曲げ直したアダプターの 折り目が切れないよう、 ハンダで補強 します。


アダプターの加工が一通り終わりました。


加工前のアダプター右側と比べてみて下さい。幅、高さとも縮減されています。

​​​​​​​​​​​​​​​​​
加工後のアダプターを缶モーターに仮止めしました。右側が加工前のアダプターです。


ウォームギアを仮止めして、ギアとの嚙み合わせを見ながら、モーターの取付け位置が適当か確認します。


缶モーターの軸を削って、ウォームギアの取付けビスが止まるようにします。


削った箇所は分かりやすいように私は赤マジックで印を付けました。


アダプターを主台枠に取り付けるための 2mmネジのタップ位置 を主台枠の裏側からヤスリの先で傷つけて印をつけます。


「主台枠側の2mmネジの調整用楕円形穴」に合わせるアダプター側の印が付きました。
アダプターの必要なステー長の目印も 付けておきます。あまり長くするとテンダーのドローアのセンターピンと干渉してショートしますので、注意してください。


アダプターを切断後、タップを切るための穴位置を センターポンチ で決めます。


2mmネジのタップを切るための 下穴は1.5-1.6mm径 で開けます。アダプターの真鍮版は厚さ1.2mmなので、非力なミニリューターよりコードレスの電動ドリルを使いました。


次に2mm径(通常のMネジなら0.4ピッチです)のタップを立てます。


アダプターに対してタップが 垂直 になるよう、注意します。


加工したアダプターに缶モーターを取り付けて 嚙み合わせに問題ないか 、確認します。


アダプターの 上半分の幅 が主台枠より広くて飛び出ています。これが後で問題になります。


アダプターの 下半分がすっぽり、主台枠の中に収まっている のが分かります。


通電して正常にクランクが動くことを確認します。万歳!  実はここからも大変でした 。😢


モーターに「右プラス前進」で配線を施し、テンダーを連結して試走させます。
私はミスを防ぐために写真の右側のように電極と進行方向をラベルで視認できるようにしています。


配線のハンダ付け状態です。モーターの側面を+の赤コードが横切っていますが、 これが後で問題に なります。


ルンルン気分で車体をかぶせたところ、 アダプターの上半分の幅が大きく、ボイラー内面に引っ掛かっているのが判明 しました。また、モーター側面に回していた赤コードもボイラーの内面に当たっていることが判明しました。😢


邪魔になっていた赤コードを取り外し、 アダプターの上半分 を缶モーター幅まで面一になるよう、ヤスリで削り取ります。


アダプターの上半分がボイラー内壁に引っ掛からなくなりました。


左側は加工前のアダプターです。ギリギリまで小さくなったのが分かります。


缶モーターの側面に回していた+側赤コードは モーターの 真上を通るように変更 し、目立たない黒コードに付け直しました。


車体裏面のボイラー内壁幅に缶モーターがギリギリで収まるようになりました。


最終缶モーターが収まった状態で、元々の棒モーターや14mm幅の標準缶モーターと比べてみました。 小型蒸機は取付け環境がかなり厳しい のを実感します。


レイアウトで実際に走行させた結果、ウェイトを追加で搭載する前で、ピポット車輪の2軸ブラス貨車なら7-8両、急行貨物のボギー台車の長尺ブラス貨車なら4両編成の貨物列車を牽引できる ことが分かりました。プラ製の客車であれば、5-6両は引けそうです。
小型缶モーターのトルクには満足 していますが、これ以上ウェイトを増量して無理をさせるつもりはありません。
当レイアウトでは通常はブラス客車7-8両は標準編成なので、C56は当面貨物列車や混合列車に活路を見出しそうです。
ヤレヤレ。ご覧になるほうも長丁場で大変だったと思います。
最後までどうも有難うございました。


​​​​​​​
​2. 天賞堂 C59の缶モーターへの交換​
次に中大型蒸機への缶モーター搭載事例をご紹介します。
先出のC56のような小型機と決定的に違うのは、スペースにゆとりがあるので、缶モーターアダプターの整形加工は必要ありませんが、トルクもあるので、缶モーターとギアボックスとの接続部分の加工が必要になることです。

まず、車体を分離して現状の棒モーター「MH-8」の搭載状況を確認し、交換予定の缶モーターにアダプターを取り付けて、交換後の取付け位置を検討します。


今回、使用する写真の缶モーターは恐らく 2000年頃に発売されたメーカー不明品ですが、比較的ヤフオクでも安価(@700-800円前後)に入手しやすく、幅は当時の標準14mmで、全長は25mmと最初に登場した缶モーター 「マシマ1630」や「フルイチ1623」に比べると 大分短くなっています。回転数、トルクも適当なので、ヤフオクでまとめ買いしてストックしています。軸長は10mm、軸径は2mmで、アダプターにはM2のビス2本で容易に取り付けられます。
現在、メーカー名や定格電圧など出品者に詳細を照会中ですので、分かる範囲で追記します。


缶モーターの軸径は2.0mmです。


他方、天賞堂のギアボックス側のシャフト径は規格の2.4mmです。棒モーター「MH-8」の軸径も同じです。



軸径が0.4mm異なります が、缶モーターを仮置きして「れーるぎゃらりーろっこう」で購入した手持ちの「 2.0-2.4mm用」のゴムジョイント をはめてみたところ、うまく接合できました。ジョイントの全長は30mmで少々長めですが、缶モーター軸は10mm長、ギアボックスシャフトも10mm長で各々入っているので、大丈夫かと思いました。
これでほっとしましたが、 実はあとで問題が起こります。
​​​
​​

缶モーターの取り付け位置が確定したので、アダプターに主台枠への固定用タップを開けます。写真は主台枠側の楕円穴にヤスリを入れてアダプターに穴あけの印をつけたところです。


中大型機の主台枠のモーター取付けビスはトルクが求められるので 通常M3の0.5ピッチ のはずです。
C59もその通りだったので、センターポンチで位置決めをしてから、 M3タップの下穴を2.5-2.6mmで開けます。


​​
C56の時と同様にアダプターは厚さ2.4mmで結構厚いので、非力なミニルーターに代えて、コードレスのハンディドリルを使いました。
​​

タップを垂直に注意しながら立てます。M3になるとかなり力を入れて押し込むように回す必要があります。


これで缶モーターが固定でき、通電テストをしたところ、快調に動きました。
喜んだのも束の間、 ​後で問題が起こります。​


「右プラス前進」の原則に注意して、配線します。私はミスのないよう、電極にシールを貼って+ーの区別をその後の作業で考えなくてもいいようにしています。


そして、実際にテンダーを連結させてレイアウトで貨物列車を牽引させたところ、 ジョイントゴムが空転して円滑に走行しないことが判明 しました。
ゴム系接着剤を塗って固定しようとしましたが、回転の負荷が掛かると簡単に外れてしまいました。
「れーるぎゃらりーろっこう」で分けていただいたジョイントは、「​
2.0-2.4mm用」の ゴム製でしたが、実際の ​​​​​内径が1.9mm前後であったため、軸径2.0mmの缶モーターでは滑ってしまったようです。 材質が硬化しやすいゴムだったことも弾性不足に拍車をかけたようです


そのため、再度分解して、ジョイントを交換することにしました。
「れーるぎゃらりーろっこう」の床次社長と相談し、写真の シャフト径変換ブッシュ (2.0mm→2.4、1.5→2.4、1.5→2.4)と シリコン製チューブ 内径1.4mm、1.5、1.9)を購入し、色々試すことにしました。 チューブは材質開発が進んだ現代ではやはりシリコン製がいいようです。


色々検討の結果、写真の IMON製シリコンチューブ に交換し、正常走行できるようになりました。


急行貨物列車5両を牽引して快走中。
ここまで作業時間は正味3時間くらい掛かりましたが、C56の小型機のようなアダプター整形加工は不要だったので、次はAdachiのC57も交換したいと考えています。材料は今回揃ったので、手慣れると簡単に済むと思います。
今後も交換事例を追加していきますので、よろしくお願いいたします。


​​​​​​​ ​3. 最新情報:トルクのある大型蒸機用コアレスモーターの出現​
​​2024/11/27にEKO MODELに伺った時に、つい最近モデルアイコンからトルクを最大限引き出したコアレスモーター「MIMO0104」が発売されたことを教えてもらい。 先出の事例2の缶モーター@700-800円に比べ、まだ@4,000と大変高価 でしたが、今後の可能性を検証するため、買って取り付けることにしました。


並べた5つのモーターうち、 一番左 が今回発売された大型蒸機用の「コアレスモーター ​​
MIMO0104 ​​」です。
その右側に並んだ4つのモーターは全て鉄心コアのあるコアードモーターです。先出事例2のメーカー不明の缶モーターは右から2番目で、一番右側は棒モータMH-8です。


早速、固定マウント用のアダプターをM2ビスで取り付けました。
また、 元々中国製の汎用モーターを鉄道模型用に仕様変更生産した製品であるため、 シャフト径は1.5mmしかなく、軸長も5mmしかありません。 そのため、モデルアイコンからシャフト変換ブッシュが併売されており、今回それで軸径を1.5mmから2.4mmに、軸長を5mmから7mmに変換しました。

これを棒モーターの付いた天賞堂のC62かAdachiのC57門鉄型に交換搭載したいと思いますので、作業が完了次第投稿いたします。
少々お待ち下さい。



​​​​​​​

​​ 閲覧数が48,000件を超えており、鉄道模型の別テーマに関しても、参考にしていただければ嬉しいです。​​

「HO・N複合レイアウト ジオラマ」​:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402090004/



「HO30-60年前のビンテージモデルを楽しむ」:
​​​ https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202408130000/ ​​

「HO天賞堂カンタム搭載機を極める」:​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402170000 /



HO蒸機 空気作用管を極める」:
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/20240229000 0/



「HOカプラーを極める」:



「HO/Nゲージ難関転写マークインレタを極める」:
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404120000/​



「HO/N 持っててよかった! ツール・サプライ」​:

https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404030001/



「HO/N 車両収納ケースを極める」:​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403160000/



「Nゲージ山麓レイアウト コンテスト入選作」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402090002/



「HO/Nゲージ 頼れる鉄道模型店探訪 れーるぎゃらりーろっこう」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202406060000/



​ほかにも色々ございますので、お気軽にどうぞ。​ ​​​
投稿テーマ一覧です。​​​​ ​​​​​​​ ​​​​ ​​​​​​​​​​​​ ​​ ​​​
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diaryall/



















​​​​​​​​​​​​​​​
​​ ​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.11.30 09:40:34
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: